税理士の実務経験に関するよくある質問
税理士として登録の際によく質問されるのが実務経験です。
以下では、実務経験に関してよく問われる事項をまとめていきます。
無報酬で仕事に従事した場合は実務経験に含まれる?
対価の伴わない業務に従事したとしても、実務経験として認められません。
税理士登録において特定の業務が税理士登録に必要な実務経験に該当するかどうかは、最終的に税理士会への登録申請書・在職証明書を提出したあとで、税理士会の担当者との面接等で調査されてから判断されます。
無報酬で仕事をした場合、雇用契約書のような契約書面がないことから実務経験時間を証明する書類が用意できません。
対価を伴わない業務は、税理士登録に必要な業務(実務経験)でないケースの方が多いため、無報酬での仕事については実務経験に含まれないことになっています。
公認会計士や弁護士が税理士登録をする場合の実務経験は?
これまでに述べた通り、税理士として登録するためには2年間の実務経験が求められますが、これは試験に合格し登録資格を得る場合に適用される条件です。
一方で、公認会計士や弁護士のような資格をすでに持っている方は、試験の合格や実務経験の要件を満たす必要はありません。
これらの資格を保有していることを証明する書類を提出し、問題なく審査が通れば、税理士として登録されることになります。
すでに他の資格を持っていることが税理士登録の資格要件を充足するものと認められているため、改めて試験や実務経験を求められることはなく、資格を持つことが税理士登録の手続きを簡素化することにつながります。
在籍証明書が入手できない場合は?
税理士として登録する際に、2年間の実務経験を証明する必要があります。
その際に必要となるのが在籍証明書です。
しかし、様々な理由で在籍証明書が入手できない場合があります。
すでに勤務していた税理士事務所がなくなっていたり、在籍証明書の発行を拒否されてしまったケースなどです。
その場合には、申請書の送り先である税理士会に電話で確認してください。
代替案を示してくれます。
税理士事務所と会計法人の両方に勤務している場合はどうする?
もし税理士事務所と会計法人の両方で働いている状況で、その勤務期間を実務経験としてカウントしたい場合、給与の有無に関係なく、いくつかの書類が求められます。
まず、税理士事務所と会計法人の両方から、自分が在籍していることを証明する書類が必要となります。
これにより、両方の組織で働いていることが明確になります。
また、税理士事務所と会計法人の関係性を示す書類も必要です。
これは、両者の関連性や連携を確認するためのものです。
さらに、税理士法人および会計法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)も提出が求められます。
これは、両法人の登録情報や経歴を把握するために必要とされる書類です。
最後に、会計法人の株主名簿が必要です。
これは、代表者の署名や押印があり、出資者および出資比率が分かる形式のものであることが望ましいです。
この書類によって、会計法人の出資者や出資構成が明らかになります。
これらの書類を揃えることで、税理士事務所と会計法人の両方での勤務実績を実務経験としてカウントすることが可能となります。
税理士登録手続きの流れ
税理士として登録するためには、以下のような手続きが必要です。
手続き開始前の準備
税理士として登録するためには、まず日本税理士連合会のウェブサイトから税理士登録申請書をダウンロードして印刷し、必要事項を記入し、関連書類を添付して提出する必要があります。
提出先は、登録を希望する税理士事務所や税理士法人の所属事務所が所在する地域にある税理士会になりますので、書類はそちらに持参してください。
書類提出後、税理士会の支部で登録面接が行われます。
面接で問題がなければ、各税理士会や税務署による調査や日本税理士連合会の審査を経て、登録の可否が決定されます。
登録が認められた場合、税理士名簿に登録され、氏名や電話番号が官報に掲載されます。
申請者には登録された旨がハガキで通知され、提出した税理士会を通じて税理士の証票が交付されます。
登録の可否判断にはおおよそ2〜3カ月の期間が必要とされています。
登録申請中に税理士と名乗ると、税理士法第52条及び53条に違反することになりますので、注意が必要です。
税理士業務を請け負うだけでなく、名刺や挨拶状、事務所の看板などに税理士の名称を使用することも禁止されています。
登録申請書の作成と提出
税理士になるためには、日本税理士会連合会が管理する税理士名簿に、氏名、生年月日、事務所の名前と所在地など、財務省令で定められた事項を登録する必要があります。
税理士登録を申請するには、日税連が定める税理士登録申請書に必要事項を記入し、所定の書類を添付して、登録を受ける税理士事務所または税理士法人の所属事務所が所在する地域に設立されている税理士会を通じて、日税連に提出する必要があります。
必要書類の取り揃え
税理士登録に際しては以下の書類の提出が必要となります。
・全申請者が提出を要する書類等
項目 | 枚数/通数 |
(1) 税理士登録申請書(第1号様式) | 5通 |
(2) 登録免許税領収証書(6万円) | 1通 |
(3) 登録手数料(5万円) | 納付 |
(4) 写真 | 3葉 |
(5) 本籍の記載のある世帯全員の住民票の写し | 1通 |
(6) 身分(身元)証明書 | 1通 |
(7) 資格を証する書類 | 1式 |
(8) 履歴書(第3号様式) | 1通 |
(9) 誓約書(第4号様式) | 1通 |
(10) 税理士会会長宛の誓約書 | 1通 |
(11) 直近2年分の確定申告書のコピー | 1式 |
(12) はがき(日税連指定のもの) | 1枚 |
・実務経験期間の充足を確認する書類等(対象:試験合格者、試験免除者)
項目 | 枚数/通数 |
必須書類 | |
(1) 在職証明書(第2号様式) | 1式 |
(2) 在職証明書に係る印鑑登録証明書 | 1式 |
(3) 源泉徴収票又は確定申告書のコピー | 1式 |
場合により提出する書類 | |
(4) 税理士事務所関係説明書 | 1通 |
(5) 職務概要説明書 | 必要数 |
(6) 勤務時間の積上げ計算書 | 必要数 |
(7) 大学院通学状況説明書 | 必要数 |
・事務所の設置を確認する書類等(対象:開業税理士、新たに税理士法人を設立又は従たる事務所を設置する社員税理士)
項目 | 枚数/通数 |
(1) 税理士(法人)事務所の設置に関する書類 | 一式 |
・その他必要に応じて提出する書類
項目 | 枚数/通数 |
(1) 会社の履歴事項全部証明書 | 必要数 |
(2) 無職期間の事情説明書 | 1通 |
(3) 退職理由説明書 | 1通 |
(4) 業務執行に関する誓約書 | 勤務先1社につき1通 |
(5) 退職同意書 | 必要数 |
(6) 旧姓使用承認申請書 | 1通 |
(7) 戸籍抄本又は個人事項証明書 | 1通 |
(8) 税理士法人の社員資格証明申請書 | 1通 |
(9) 社員税理士・所属税理士同意書 | 1通 |
(10) 税理士法人の定款(案)の写し | 1通 |
(11) 登録抹消した理由及び再登録する理由書 | 1通 |
(12) 早期退職の理由書 | 1通 |
(引用: 税理士登録の手引 )
登録料の支払い
税理士登録するためには、以下の登録料を支払う必要があります。
(1) 登録免許税(6万円)
税理士登録の際には、登録免許税として6万円を支払う必要があります。
国税収納機関(日本銀行、国税を収納する代理店、郵便局)で品川税務署宛てに納付し、領収証書を登録申請書に貼り付けます。
(2) 登録手数料(5万円)
- 税理士登録申請を行う際には、日本税理士会連合会会則に従って、登録手数料として5万円を支払わなければなりません。
- この手数料は、登録申請書を提出する際に税理士会が指定する方法(税理士会受付時の現金、郵便振込など)で納付します。
まとめ
実務経験の通算2年以上を要件として税理士登録が求められますが、必ずしもその要件を満たした直後に登録申請を行う必要はありません。
自分が税理士として活動を始めると決断したタイミングで、申請手続きを進めることができます。
申請の要件や手続きの過程を把握し、自分のキャリア計画に沿った最適なタイミングで登録申請を進めましょう。
税理士登録において実務経験を申請する際は、業務の内容とその従事時間が条件を満たしているか確認することが重要です。
さらに、申請書類を用意する際には、在籍証明書など勤務先で対応が必要な書類に注意が必要です。
勤務先の事情によっては、書類発行に時間がかかることがあります。
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