難関である公認会計士試験を突破、実務経験を積み、修了考査に合格することでようやくなれる公認会計士は、年収が高いことでも有名です。この記事では、公認会計士の年収と今後目指すべきキャリアパスについて解説します。
この記事の目次
公認会計士の年収の現実とは?
公認会計士の年収は、一般に高いと言われています。
なぜ公認会計士の年収は高いと言われるのでしょうか?
また、今後、公認会計士の仕事は人工知能(AI)によって奪われると言われていますが、はたして本当にそうなのでしょうか?
ここでは、公認会計士の年収が高い理由と公認会計士の将来について解説していきます。
公認会計士の年収が高い理由
公認会計士の年収の高さは、いくつかの要因によって決まっています。
まず、高度な専門知識と技術が求められる職種であるため、その能力に応じた報酬が支払われることが一因です。
公認会計士は、厳格な試験プロセスを経て資格を取得し、継続的な研修を通じて専門性を維持しているのです。
また、公認会計士は限られた人数しかいないため、その希少性が高く評価されます。
需要と供給のバランスから考えても、高い年収が支払われることになります。
さらに、公認会計士は企業の財務報告や監査において重要な役割を果たし、経営層とのやり取りも多いため、その責任の大きさが報酬に反映されています。
加えて、公認会計士のキャリアパスは多様であり、監査法人や会計事務所での経験を経て、企業の経営陣やCFO(最高財務責任者)などの役職に就くことができます。
これらの地位は、一般的に高い報酬が支払われることから、公認会計士の年収が高くなる要因となっています。
ただし、年収は業務内容や経験年数、勤務先の規模や業種などによって変わることがあり、すべての公認会計士が同じように高収入であるわけではない点に注意してください。
公認会計士の未来は明るい?
AI技術は急速に進化しており、会計業界も例外ではありません。
AIはデータ分析や取引処理、経理業務の自動化など、多くの繰り返し作業を効率化することができます。
これにより、公認会計士がこれまで行っていた一部の作業はAIに取って代わられる可能性があります。
しかし、公認会計士の仕事は単にデータ処理や記録作業だけではありません。
専門的な知識や判断力、人間とのコミュニケーション能力が求められる部分が多く、これらは現時点のAI技術では置き換えることが困難です。
例えば、監査業務では企業の経営陣と対話し、リスク評価や内部統制の効果性を判断する必要があります。
そのため、AIは公認会計士の仕事を補完し、効率化を促進するツールとして活用されるでしょうが、完全に置き換えられるとは考えにくいです。
むしろ、AI技術を理解し、活用できる公認会計士は、将来的により重要なポジションを占めることが予想されます。
公認会計士は、AIの進化に適応し、新たなスキルや知識を身につけることが求められるでしょう。
公認会計士を目指すべきかどうかの判断基準
公認会計士は、年収が高い人気の職業ではあるものの、試験の難易度も高く社会的責任も求められる存在です。
以下では、これから公認会計士を目指す方に向けたアドバイスをしていきます。
年収以外の魅力やメリット
監査業務を通じて得られる実践的な知識と経験は、希少性が高く大変価値があります。
これを利用して、会計コンサルティング、上場企業のCEO(最高経営責任者)・CFO(最高財務責任者)、IPO支援(株式上場支援)、海外赴任や独立開業など、将来的な選択肢を広げることが可能です。
公認会計士は、自分が望むキャリアパスを自分で設計し、実現する力を持っていると言えます。
上場企業や大手企業を対象に、多種多様な業界や事業形態のクライアントの監査を行います。
そのため、日本を代表する製造業から最先端のIT企業まで、幅広いビジネスモデルに触れる機会が豊富です。
もちろん、業務を通じて得た機密情報などは守秘義務がありますが、積み重ねた経験やノウハウをコンサルティングサービスに応用することができます。
さらに、企業の経営陣と接する機会も多く、経営者の思考や先見性に直接触れるチャンスがあります。
公認会計士資格取得の労力とコスト
公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格するだけでなく、3年以上の実務経験と公認会計士補習所での実務補習の修了が求められます(これらは並行して進めることができます)。
その後、修了考査という最終試験に合格することで、ついに公認会計士として認められます。
ただし、現実的には、公認会計士試験に合格した段階で監査法人への就職が一般的です。
このため、公認会計士として認定されるまでには時間が掛かりますが、試験に合格し監査法人に入社することで、直ちに実務に携わることが可能です。
公認会計士試験に合格するためには、最短でも1.5年、平均して約2~2.5年の勉強が必要です。
365日ほとんどの時間を勉強に費やしてようやく合格が目指せるレベルの試験ですから、その労力は計り知れません。
したがって、公認会計士になる前に、しっかりとその労力とコストに見合った成果が得られるか自分自身でよく考えておく必要があります。
報酬に限らず、自分なりの働き方ができるかどうかもよく検討しましょう。
自身の目標や価値観との整合性
公認会計士となったあとのことも十分に考えて、自分なりのキャリアを考えることが大切です。
公認会計士として一生働き続けるというのはまれです。
むしろ、公認会計士として専門性を身に着けつつ、幅広い会社業務をみて、転職を考える人も多くいます。
多くの日本の企業は3月決算です。
3月31日で一会計年度が終わり、企業の経理部は年間の取引を集計し、外部に開示する財務諸表を作成します。
開示には期限があり、公認会計士の監査業務にも締め切りが厳しく求められます。
日本の企業のほとんどが3月決算であるため、監査業務が集中する4月から5月は過酷な労働が伴います。
そうした働き方に耐えられるかどうかも、自分が公認会計士を目指すべきか判断する重要なポイントです。
近年では、監査法人の労働環境も改善されており、長時間の残業を抑制する取り組みが行われています。
公認会計士試験に合格しても、勉強が終わるわけではありません。
プロフェッショナルとして働くためには、常に知識を更新することが不可欠です。
特に、法改正は毎年行われ、会計基準も変更されます。
公認会計士は、会計知識や実務スキルの能力を維持することを目的として、毎年一定の学習単位の取得(継続的専門研修)をしなければなりません。
要するに、公認会計士としてプロフェッショナルな仕事を続けるには、絶えず学び続けることが求められます。