公認会計士のキャリアパスと年収
最後に、公認会計士のキャリアパスと年収の関係について説明していきます。
会計事務所でのキャリアパスと年収
公認会計士の多くは、会計監査法人・会計事務所で働くことからキャリアをスタートさせます。
入社後は、監査、税務、財務アドバイザリーなどの業務を経験し、管理職やパートナーへのキャリアアップを目指すことが一般的です。
公認会計士になるためには、試験に合格した後、実務要件を満たす必要があります。
そのため、約90%の公認会計士試験合格者は、会計監査法人という職場に就職します。
特に、世界4大監査法人であるEY(アーンスト・アンド・ヤング)、デロイト(デロイト トウシュ トーマツ)、KPMG、PwCのメンバーファームである、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人/PwC京都監査法人は、「Big4」と呼ばれ、公認会計士試験合格者にとって人気の就職先です。
Big4を例に挙げると、公認会計士試験合格者の初任給は月額30万円〜35万円程度です。
また、公認会計士業界では、入社時の年齢によって初任給が変わることは基本的にないとされています。
さらに、毎年、厚生労働省は「賃金構造基本統計調査」という調査を実施し、税理士を含むさまざまな職種の賃金データを収集・公表しています。
令和4年度の調査結果によれば、公認会計士と税理士の平均年収は約746万円(固定給与×12か月+年間賞与や特別手当を含む)で、前年度の令和3年度は約658万円でした(引用元:賃金構造基本統計調査 )。
しかしながら、この調査結果は公認会計士と税理士が一括りにされたデータであり、各職種の比率や勤務形態の詳細が明示されていないため、実際の年収状況を的確に理解することが困難です。
公認会計士と税理士は、職務内容や専門知識が異なる別々の職種であることから、この統計データの活用に際しては注意が必要です。
内部監査・財務部門でのキャリアパスと年収
大企業などに勤める公認会計士は、内部監査や財務部門などで働くこともあります。
業務の幅が広く、企業内部でのキャリアアップも可能です。
近年では、公認会計士試験合格後に監査法人ではなく、企業で働く組織内会計士も増えてきています。
組織内会計士とは、日本公認会計士協会の会員および準会員の中で、企業やその他の法人(監査法人、税理士法人、およびネットワークファームに該当する法人は除く)または行政機関に雇われているか、その業務に従事している者(役員を含む)のことを言い、日本公認会計士協会でも、調査が行われるなど、近年注目されています(「組織(企業)内会計士に関するアンケート最終報報告書」の公表について )。
日本では、資本市場の公正性と透明性を向上させるために、会計および監査基準の国際化が求められており、コーポレート・ガバナンスにおいても財務情報に関する内部統制の充実が重要視されています。
これに伴い、会計・監査の専門家である公認会計士への需要が増加しています。
しかし、同時に過去数年間で試験合格者の大量の未就職者問題が発生しているという状況もあります。
こうした状況への対応策として、組織内会計士という存在が注目されるようになっており、公認会計士のキャリアパスとして関心を集めています。
独立・開業でのキャリアパスと年収
公認会計士が独立した際のキャリアパスとしては、主に認定会計士と税理士という、2つのカテゴリーに分かれます。
また、独立・開業によるキャリアパスを選択した場合の年収ですが、引き受ける仕事によって大きく異なるのが一般的です。
認定会計士の場合は、仕事としては会計に関するコンサルティング(M&Aのデューデリジェンス・企業価値評価(バリュエーション)、企業の再建、IFRS(国際会計基準)の導入、内部統制の整備、決算支援業務など)、非常勤経営幹部(CFO、非常勤取締役、非常勤監査役)、そして監査(金融商品取引業者の監査、企業法の監査、IPOの準備監査、任意監査、リファード監査、派遣労働者業務の監査など)があります。
税理士のキャリアパスを選んだ場合の仕事は、企業や個人経営者の税務顧問、決算報告、個人の所得税申告、相続税申告などが含まれます。
まとめ
公認会計士は、たとえAIの開発が進んだとしても、今後も必要とされる職業です。
年収も高止まりしている傾向にあり、需要に対して供給が追いついていない側面もあります。
今後公認会計士として生きていくためには、AIを活用することが求められるでしょう。
どのキャリアパスを選択するとしても、公認会計士として生きていく以上、日々の研鑽が欠かせません。
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