2. インボイス導入の税務調査に与える影響について

次に、インボイス制度ではインボイス発行事業者は、課税事業者である取引の相手方の求めに応じてインボイスを交付し、その写しを保存しなければならないという義務が新たに課されました。

したがって、取引当事者の双方がインボイスを保存し、売手側と買手側の適用税率と税率ごとの消費税額等の認識が一致されることになります。

このことが税務調査ではどのような影響を与えることになるのか、さらに国会の質疑の内容を見ていきたいと思います。

令和5年3月15日の衆議院財務金融委員会における、国税庁次長の発言の要旨です。

○国税庁次長

「インボイス制度の開始後は、仕入れ税額控除の適用を受けるためには、原則として、課税仕入れに係る帳簿及びインボイス発行事業者から交付されたインボイスの保存が必要となります。

具体的には、買手の行った課税仕入れにつきまして、適正なインボイスの保存がない場合、その不足する内容を他の書類等から確認できない限り、原則として仕入れ税額控除の適用を受けることはできないこととなります。

したがいまして、税務調査におきましてもこのような確認が必要となるということでございます。

それから、インボイス制度開始後は、インボイス発行事業者と通謀等しない限り、仕入れ税額控除、架空仕入れを計上することは困難になると考えられますので、消費税の不正還付につきましても一定の抑制が働くものと考えてございます。

また、国税当局といたしましても、税務調査の際に、登録されたインボイス発行事業者の情報や発行されたインボイスを通じまして、消費税不正還付の解明、是正に活用することが可能となると考えてございます。

引き続き、様々な情報を活用しながら、的確な税務調査等を通じまして、不正還付の防止に努めてまいりたいと考えてございます」

このように取引当事者双方がインボイスを保存することにより、通謀等をしない限り架空仕入れ計上等を行うことは困難となり、不正還付にも一定の抑制効果があるのではないかといった答弁がなされています。

消費税においては、請求書等を交付した者に対する保存義務は今回新たに課されるものであり、今後の調査においては、そのインボイスに疑義がある場合には、取引相手方に対する反面調査を行うことも考えられます。

まとめ

インボイス制度実施により準備すべき工数が増え、事業者にとっては様々な事務負担が増加しています。

皆さん、改正後の消費税に対応すべく準備しているところだと思いますが、今後実際にどのような調査が行われるのか心配でもあるでしょう。

またこれまで免税事業者であったが、取引相手との関係からインボイス発行事業者となって課税事業者として消費税の申告・納付義務を新たに負う者も、相当数いると考えられます。

できるだけ余裕を持った準備を心掛けたいものです。


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