充当適状日は充当の申出書提出日

納付すべき額が確定している国税について充当適状前に充当したい旨の申出があった還付金等は、その充当の申出があった日が充当適状日となります。

e-Taxでの提出は無理

充当の申出書の提出はe-Tax送信の対象外のため書面による提出となります。

ここで注意したいのは、申告書をe-Taxで送信し、充当の申出書を書面提出となると、税務署の内部事務での連携がうまくいっていない場合に充当の申出の事実が反映されず、そのまま還付されてしまうといった事象が生じかねません。

この場合の対処方法として、e-Taxの送付状を使って充当の申出の意思表示をしておき、申出書は別途書面提出しておくと良いでしょう。

また、書面提出は、窓口提出の場合には所轄税務署へ、郵送の場合には業務センターへの郵送となりますので、事前に税務署へ送付先を確認しておくことをお勧めします。

還付金債権譲渡とは

国税通則法基本通達56-9(還付金等の譲受人への還付)

還付金等の請求権が譲渡され、民法第467条第1項《債権の譲渡の対抗要件》の規定による通知があった場合には、その事実を確認し、その譲渡に係る還付金等は、その譲受人に還付する。

なお、この場合、その還付金等の請求権に係る譲渡の通知が2以上あったときは、その通知を受けた時(その還付金等の請求権の譲渡登記に係る登記事項証明書(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律第11条第2項)が添付された通知については、その登記日時)のいずれか早い通知に係る譲受人に還付する。

≪参考≫第56条関係 還付(国税庁HP)

前述のとおり、還付金等に係る還付請求権は一身専属性を有していませんので、譲渡することができます。

したがって、仮に滞納法人の代表者個人に還付金等が発生した場合に、その還付金等を滞納法人へ債権譲渡することで、法人の滞納に充当してもらえます。

譲渡人と譲受人

還付金等に係る還付請求権を有する者を「譲渡人」といいます。

また、譲渡人からその還付金等を譲り受けた者を「譲受人」といいます。

還付金債権譲渡は書面による

還付金等の債権譲渡は、書面により税務署長へ提出することとされています。

その書面は、譲渡の確定日付(公証人役場で押印した日付ある印章等、証書の作成日に関し第三者に対して完全に証拠力があると法律上認められる日付)のある証書が望ましいです。

これは、譲渡が確定日付のない譲渡通知によってされ、その支払いまでの間に確定日付のある譲渡通知があったときは、確定日付のある証書に係る譲受人に還付されるからです。

しかしながら、これにより難い場合は、普通に書面による通知をすることで足ります。

参考として文末に見本を作成しました。

譲渡事実の確認

譲渡事実の確認は、譲渡通知書の書面によって行われるほか、事案によっては、譲渡人又は譲受人に対して税務署から照会を受ける場合があります。

未納への充当

譲渡人に係る納付すべき国税があれば直ちに充当され、残額が譲受人に還付されます。

なお、税務署長が譲渡通知書の受領後に生じた国税には充当されません。

また、譲受人に納付すべき国税があるときも充当されます。

この場合、充当適状日は税務署長が譲渡通知書を収受した日となります。

債権譲渡に係る還付加算金の計算

還付加算金の計算は、その譲渡通知書の特約または明示に従われますが、その特約や明示がないときは、以下のとおりです。

1.還付金等の全額が譲渡された場合には譲受人に対して支払います。

2.還付金の一部がその金額を明示して譲渡された場合には、税務署長が譲渡通知を受けた日までのものは譲渡人に対して、その翌日からのもののうち譲渡金額に対応する部分は譲受人に対して支払われます。

【参考】

【執筆者過去記事】

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