原油価格の上昇、円安、補助金の縮小などにより、ガソリン価格の高騰が続いています。値上がりがしばらく続きそうと言われる中、価格が落ち着く見通しは見えるものでしょうか?(読了時間:約3分)

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日常生活に欠かせないガソリンですが、最近その価格が高騰しています。

資源エネルギー庁が2023年7月24日に発表したレギュラーガソリンの店頭販売価格は、174.8円。

前の週と比べて、全国平均で0.8円の値上がり、10週連続の上昇となっています。

どうしてガソリン代の高騰は止まらないのでしょうか?

また、今後価格がどうなっていくかの見通しは、分かるものでしょうか?

それらをサクッと解説します。

ガソリン価格の高騰の理由

ガソリン価格は、原油価格や為替レート、税金などに影響されます。

2023年7月現在、原油価格は1バレルあたり80ドル前後で推移していて、コロナ禍で落ち込んでいた需要の回復や産油国の減産などで、上昇傾向にあります。

日本に関しては、円安の影響も続いており、原油を輸入する際にコストがかかっています。

また、高騰を抑える目的のガソリン補助金を政府が段階的に縮小していることも、大きな要因の1つです。

さらには、ウクライナ紛争の影響もあります。

ウクライナ紛争は世界の政治・経済・安全保障に大きな影響を及ぼしていますが、エネルギー分野の影響も深刻で、ロシアがウクライナを通じて欧州に供給する天然ガスが危機にさらされているのは、ご存じの方も多いと思います。

実際、ロシアは欧州の天然ガス需要の約40%をカバーしており、そのうちの約80%がウクライナを経由しているので、紛争がエスカレートすれば天然ガスの供給が途絶える可能性も高まります。

その天然ガスですが、実はガソリンの原料となる石油と密接な関係にあります。

天然ガスの価格が上昇すれば、石油の価格も上昇する傾向があるのです。

これらの要素が相まって、ガソリン価格は高騰を続けているわけです。

今後の見通しは見えるもの?

そうなると知りたいのは、この高騰がいつまで続くのかということですよね。

最初に書いたように、ガソリン価格の今後の見通しは、原油価格や為替レート、税金などの動向によって変わります。

1つ目の原油価格は、世界的な経済活動や産油国の供給量などによって変動します。

現在は上昇傾向にありますが、コロナウイルスの変異株やワクチン接種の進捗などによって下落する可能性もあるので、正直なところ先行きは読みづらいものです。

2つ目の為替レートは、米国の金融政策や日本の経済指標などによって変動します。

現在は円安傾向にありますが、米国のインフレ懸念や日本の景気回復などによって円高になる可能性もあり、こちらも先行きが読みづらいです。

最後の税金は、言うまでもなく政府や国会によって判断されます。

ガソリン税は消費者が支払う最終的な価格に含まれている上に、消費税もかかります。

これは「Tax on Tax」と呼ばれ、 不合理だと批判されてはいますが、いまのところ国から廃止や見直しのアナウンスはありません。

つまりガソリン価格の今後の見通しは、様々な要素を紐解かないと見えてこない、かなり予測が難しいというのが現実です。

まとめ

先ほどの政府によるガソリン補助金は9月末に完全終了する予定で、今後もガソリン価格は上がっていくことが予想されます。

夏休みが始まりましたが、ガソリン価格の高騰は車での行楽や旅行に直接影響が出ますよね。

物流業界にも深刻な影響があるでしょう。

どこまで負担が減るかも難しいところではありますが、まずは価格情報の確認や計画的な給油をするくらいしか対応策はなさそうなのがつらいところです。

 

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