退職金を一時金として受け取る場合の税金

一時金で退職金を受け取る場合の計算は、以下の手順で行います。

計算1:退職所得の計算

計算2:所得税率と税額の計算

計算3:住民税の計算

要するに、退職所得に所得税率をかけて所得税額を求め、さらに住民税を求めます。

退職所得

最初に行うべきは退職所得の計算です。

改めて説明すると、退職所得は、退職金額から「退職所得控除額」を差し引いた金額に1/2を掛けたものです。

退職所得=(退職金額ー退職所得控除額)×1/2

退職所得控除額は、勤続年数に応じて次のように決まります。

退職所得控除額:勤続年数が20年以下の場合は 400,000円×勤続年数、20年を超える場合は 8,000,000円+700,000円✕(勤続年数ー20年)。

退職金の金額から退職所得控除額を差し引いた金額を1/2倍することで、退職所得が算出されます。

所得税額

退職所得が計算できたら、次は所得税額について計算します。

所得税率は、退職所得が増えるほど高くなる累進性を持ち、所得税額は速算表を用いて計算されます。

所得税額 = 退職所得 × 税率 – 控除額

この式を使うことで、退職所得に対する所得税額が求められます

住民税

所得税の計算が完了したら、次は住民税の計算を行います。

住民税の所得割は、都道府県税4%と市区町村民税6%の合計で所得の10%に相当します。

つまり、退職金を一時金で受け取った場合には退職所得の10%が住民税として加算されます。

一時金として受け取る場合のメリット・デメリット

退職金を一時金で受け取る場合のメリットは、主に以下のようなものがあります。

  • 控除額が大きく、税金がかかりにくい
  • 社会保険料の負担がない(分割型では社会保険料負担が発生する)
  • その他の収入に関わらず、退職金だけで税金の清算が完了する

一方で、一度に大きな金額を手にすることに対して不安や戸惑いを感じたり、退職金を取り崩して使っていくことに悩んだりするデメリットもあるでしょう。

退職金を年金として受け取る場合の税金

年金で退職金を受け取る場合は雑所得となりますので、計算方法は先述の一時金で受け取った場合と異なります。

計算1:雑所得の計算

計算2:雑所得は総合課税で税額計算します。

年金で退職金を受け取る場合、非課税枠を超えると、その他の所得と合算して税額が計算されます。

雑所得

退職金を年金で受け取る場合、老齢基礎年金や老齢厚生年金と同様、公的年金等控除を受けることができます。

この控除額は、65歳未満は600,000円、65歳以上は1,100,000円です。

一方、雑所得の計算方法は、年金額と年齢に応じた速算表によって計算されます。

総合課税

雑所得を計算したら、給与所得などの総合課税の対象となる所得を全て合算して、所得税を計算します。

この場合、所得税額の計算には、先に説明した「所得税の速算表」が使用されます。

また、住民税も総合課税の対象となるため、住民税が非課税でない場合、雑所得の10%が住民税に加算されます。

年金として受け取る場合のメリット・デメリット

公的年金を受け取るまでの間でも定期的な収入があるため、安心感があることや一時金よりも受給総額が多くなる可能性があることなど、分割受け取りにはメリットがあります。

しかし、他の収入状況によっては、一時金で受け取る場合よりも税金が多くなったり、国民健康保険料が増えたりする可能性があるため、思わぬ負担が生じることもあります。

まとめ

退職金は会社員にとって、人生で最も大きな収入源になることが多いです。

全額を一時金で受け取り、リスクの高い投資につぎ込んでしまい退職金が一瞬で消えてしまう悲しい相談もよく聞かれます。

そこで「お金の管理が苦手だ」とか「当面はまとまったお金が必要ない」という場合は年金を選択し、逆に「住宅ローンの繰り上げ返済をしたい」とか「今すぐ大きな金額が必要」といった場合は一時金を選択するなど、用途に合わせた選択をすることが大切です。

退職金は、数十年働いた結果としてもらえるものです。

一時金であろうと、年金であろうと、損得だけでなく、退職金は老後の人生を豊かにするための大切な財産であると考えましょう。


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