退職金は一度にまとめて支払われたり、年金のように長期間にわたって分割で支払われたりして、支払うべき税金の金額に差が生じることもあります。この記事では、退職金の種類と受け取り方法について説明します。

この記事の目次

退職金の税額のシミュレーション

この章では退職金を一時金で受け取った場合と年金で受け取った場合の所得税と住民税のシミュレーションを行います。

退職金を一時金で受け取った場合のシミュレーション

勤続30年、20,000,000円の退職金を受け取ったと仮定した場合の税額を計算します。

退職所得控除額=8,000,000円+700,000円×(勤続年数30年ー20年)=15,000,000円

退職所得=(退職金額20,000,000円ー退職所得控除額15,000,000円)×1/2=2,500,000円

次に、所得税の速算表を用いて所得税額を計算します。

所得税額=退職所得2,500,000円×税率10%ー控除額97,500円=152,500円となります。

最後に、住民税を計算します。

退職金を受け取って加算される所得割の税率は10%です。

よって退職所得(2,500,000円)の10%で250,000円となります。

所得税と住民税の合計金額は152,500円+250,000円=402,500円となります。

退職金支払い時に会社が税金を差し引いて支払うため、退職金支払日に課税されることになります。

これらの計算について詳しくは後ほど説明します。 

退職金を年金で受け取った場合のシミュレーション

60歳で退職し、年金額が1年で1,000,000円でありその他の収入がないと仮定した場合で、退職金を年金で受け取った場合の税金を計算する方法を説明します。

年金受け取りの場合、国税庁のHPにある公的年金等に係る雑所得の速算表を用いて金額を計算します。

雑所得=年金収入(1,000,000円)×割合(1.00)ー控除額(600,000円)=400,000円

その他の収入がない場合、合算する所得がないため、所得税の基礎控除480,000円を差し引くと課税所得は0円になり、この場合は税金はかかりません。

一方、65歳以降に年金を受け取る場合は、公的年金等控除額が1,100,000円に増えます。

しかし老齢年金を受給するケースであれば、課税される可能性があります。

例えば、老齢年金が200万円である場合、65歳以降の雑所得は次のようになります。

雑所得=年金収入(3,000,000=1,000,000円+2,000,000円)×割合(1.00)ー控除額(1,100,000円)=1,900,000円

その他の控除がない場合、1,900,000円の所得に対して、5%の所得税(95,000円)がかかります。

また住民税の所得割の税率は10%です。

よって雑所得1,900,000円の10%で190,000円となります。

所得税と住民税の合計金額は95,000円+190,000円=285,000円となります。

退職金に関する所得の種類とは?

退職金とは、所定の条件を満たした会社員が退職する際に、会社から支給される金銭のことです。

退職金は、退職時に一時金で受け取る方法と毎年一定額を受け取る年金方式の2種類があります。

受け取り方法によって異なる点は、税金の種類です。

一時金として受け取る場合は「退職所得」

退職時を一時金で受け取る場合、所得税と住民税がかかる退職所得という種類があります。

退職所得は、退職金の金額から所定の控除額を差し引いて計算されるため、この金額は退職金の金額とは一致しません。

退職所得は、退職金以外の所得とは独立して課税されるため、給与等に関する税金とは別に分離課税がされます。

年金受け取りの場合は「雑所得」

年金を受け取る場合、その年金は所得税法上の「雑所得」として課税され、毎年の所得税と住民税がかかります。

雑所得についてはその他の所得と合算して総合的に課税されます。