憲法第84条「租税法律主義」とは何か

ま「次に第84条。租税法律主義を定めているんだけど、国民主権の考え方がここに表れているよ」

第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

ま「重要なのは『法律又は法律の定める条件による』ってところね」

よ「法律は、国会で審議して議決を取って成立するものだね(第41条)」

ま「そう。で、国会に集まる人ってどんな人?」

よ「選挙で選ばれた国民の代表者」

ま「国民の代表者が集まって税法や税金を課す条件が決められているわけ」

よ「間接的に、ではあるけど、国民主権が実現しているのね」

ま「『税金=取られる』とよく言われるけど、制度的には『国民が代表者を通じて自ら税金のありようを決めている』のよね」

よ「自分たちで自ら払うべき税金のありようを決めているのだから、過度に負担が大きくなることはない。そして30条と併せて考えると、自分たちが決めたルール以上に財産が強制的に徴収されることはない…という話なのね」

参議院「法律ができるまで」を参考に筆者作成

「国民主権」がしっくりこない理由

よ「理屈は分かるけど、しっくりこないよね。税の負担感は大きいのは事実だし。国会中継を見ると、居眠りしている議員はいるし。納得いかない」

ま「いくつか理由はあると思う。一番大きいのは『国民の税金に対する関心のなさ』じゃないかな。『税金高い!』と言いながら、実際に自分が納めている税金がいくらなのかを分かっていない人が多い」

よ「確かに…なんでだろう」

ま「正社員とかバイト・パートだと、給料や賞与から税金を天引き(源泉徴収)される上、年末調整があるからね。確定申告しない限り、税金を自分の手で計算することなんてないもん」

よ「『納税で自分のお財布の中のお金が減る』という痛みがなければ、いくら払ったかなんて意識しないなぁ」

ま「意識しなければ、税の使い道には興味を持たないでしょ。当然、政治や行政にも関心がなくなる。メディアだって感情を刺激する話はするけど基本的で重要なテーマは扱わない。財務省の歳出・歳入の資料なんてほぼ取り上げない」

よ「選挙そのものも、ただのお祭りだよね。選挙って国民の参政権の行使の場面なのに、深く考えられず、知名度だけで選ばれているように感じる」

ま「『政治家がー!社会がー!』と言われるけど、現状を招いたのは国民自身なのかもしれないね。私もその一人だから反省…」

よ「今の憲法は、民主主義国家の根底を支えるものだしね。国民主権の精神は大事にしていきたいね」

【参考文献】

芦部信喜「憲法 第六版」(岩波書店)

金子宏「租税法 第二十四版」(弘文堂)

関野満夫「財政学」(税務経理協会)

税制調査会「わが国税制の現状と課題-令和時代の構造変化と税制のあり方-令和5年6月」

日本税理士連合会「租税教育 講義用テキスト 2023年改訂版」

新井隆一「租税法の基礎理論 第三版」(日本評論社)

 

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