「公表裁決から学ぶ税務判断のポイント」、連載第48回目です。
請求人が売却した車両は、売却時点においても生産開始から10年ないし20年程度経過したにすぎず、歴史的価値又は希少価値を有して代替性のないものであるとまではいえないから、時の経過により価値が減少する資産に該当しないという判断が示されました。今回はその判例について解説します。

国税不服審判所令和2年3月10日裁決(T&Amaster No.866 2021.1.18 20~27頁 裁決事例集未掲載)

1.事実関係

本件は、原処分庁が、審査請求人(請求人)の平成27年分及び同28年分の所得税等について、車両の売却益等に係る所得の申告漏れがあるとして更正処分等をしたのに対し、請求人が、売却した車両は「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当しないとして、更正処分等の取消しを求めた事案である。

請求人は昭和43年4月に事業を開始した個人事業主であるところ、平成27年4月30日にフェラーリF50(本件車両A)を売却し、平成28年5月16日にフェラーリ512TR(本件車両B)、フェラーリ360MODENA(本件車両C)及びフェラーリ612S ANNIVERSARY F1(本件車両D)をそれぞれ車両買取販売会社に売却(これらの車両を併せて「本件各車両」という。)した。

請求人は平成27年分及び平成28年分の所得税等について、法定申告期限までにそれぞれ申告したが、平成27年分の確定申告書には、平成27年4月30日に売却した本件車両Aの譲渡所得に関する記載はなく、また、平成28年分の確定申告書には、平成28年5月16日に売却した本件車両B、C及びDの譲渡所得に関する記載はなかった。

2.争点

本件各車両は、所得税法38条2項に規定する「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するか否か(他の争点は省略)。