年金受取額の目安や計算方法

老齢になると、国民年金から「老齢基礎年金」が支払われます。

令和4年度(令和4年4月分から)の老齢基礎年金額:777,792円/年です。

20~60歳までの40年間に保険料を納めていない期間がなければ、老齢基礎年金を満額受け取ることができます。

未納期間があると、その分の老齢基礎年金は受け取れません。

未納期間がある場合、老齢基礎年金として受け取れるのは、満額の777,792円に対して未納期間に応じて割り引かれた金額です。

また、厚生年金から支払われる老齢厚生年金は、報酬比例部分、経過的加算、加給年金の3つの要素で計算されます。

報酬比例部分

厚生年金の報酬比例部分は、厚生年金保険に加入していた期間に支払った保険料の金額から計算されることになる部分です。

報酬比例部分は、平成15年3月以前と平成15年4月以降で計算方法が異なります。

平成15年3月以前の場合は、平均標準報酬月額に 7.125(※1)/1000 を乗じ、平成15年3月までの加入期間の月数を掛け合わせます。

平均標準報酬月額=(平成15年3月以前の加入期間における各月の標準報酬月額の総額)÷平成15年3月以前の加入期間の月数。

平成15年4月以降の場合は、平均標準報酬額に 5.481(※1)/1000 を乗じ、平成15年4月以降の加入期間の月数を掛け合わせます。

平均標準報酬額=(平成15年4月以降の加入期間における各月の標準報酬月額・標準賞与額の総額)÷平成15年4月以降の加入期間の月数 

(※1)昭和21年4月1日以前に生まれた方は、給付乗率が異なります。

経過的加算

厚生年金に加入していた期間に応じて、給付金額が変わる部分が「経過的加算」と呼ばれます。

具体的には、次の式で計算されます。

「1,621円(令和4年度) × 生年月日に応じた率 × 加入期間の月数 - 老齢基礎年金の額」

昭和21年4月2日以降に生まれた人は、生年月日に応じた率は「1」となります。

加給年金額

被保険者期間が20年以上で、かつ生計を一にしている配偶者や子供がいる場合には加給年金が加算されます。

老後の年金受取額を増やす方法

この章では老後の年金受取額を増やす方法について説明します。

つみたてNISA

つみたてNISAは、1年あたり最大40万円まで投資された利益が最長20年間非課税になる投資制度です。

許可された投資信託やETF(上場投資信託)に投資することができ、長期投資に適したものが選定されています。

つみたてNISAには、iDeCoのような所得税や住民税の優遇措置はありませんが、途中解約が可能であり、60歳以上でも投資を継続することができます。

すべての人が100円から投資を始めることが可能です。

ただし、2024年の改正により、投資金額が年間120万円に拡大され、無期限で非課税の投資が可能になるなど、使い勝手が改善される予定です。

国民年金基金

自営業・フリーランスなど国民年金の第1号被保険者は厚生年金には加入できず、この厚生年金に相当する部分を自力で作る必要があります。

そのために存在するのが国民年金基金です。

国民年金基金には、毎月一定額の保険料を支払うことで、老後に年金を受け取ることができます。

基金内では、終身年金と一定期間の確定年金を組み合わせることができます。

ただし、付加年金とは併用できず、iDeCoと保険料の枠を共有(月額6万8,000円)することが必要です。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

「iDeCo」は、自分で投資商品を選んで掛金を支払い、老後(主に60歳以降)にその成果を受け取るための制度です。

iDeCoでは、掛金は全額所得控除の対象となり、毎年の所得税や住民税を軽減することができます。

また、運用で得た利益にかかる税金が非課税になるため、利益を増やすことができます。

さらに、一時金や年金として受け取る際にも、税制上の優遇が受けられます。

iDeCoは、国民年金や厚生年金の上乗せとなるお金を貯めるのに適しています。

財形貯蓄

財形貯蓄は、55歳未満の働く人が金融機関などと契約(1人1契約)を結び、5年以上の期間にわたって賃金からの控除によって、将来の年金受給資金として積み立てる貯蓄のことです。

契約は事業主を通じて結び、60歳以降に5年以上の期間にわたって年金として支払いを受け取ることができます。

まとめ

老後の公的年金には国民年金と厚生年金の2つがありますが、国民年金に40年間(20歳から60歳)と、大学卒業後38年間(23歳から60歳)厚生年金に加入した場合でも、年金だけで生活費をまかなうのは基本的に困難です。

老後にゆとりある生活を送るには、私的年金を活用したり、積立投資信託などの資産運用に取り組んで現役時代から老後資金を準備することが必要であると言えるでしょう。


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