インボイス制度の開始まであと少し。国税庁ホームページに2割特例の自動計算についての情報がアップされました。本当に「手軽に」申告書の作成ができるのか、確認してみましょう。

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インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者(=課税事業者)になった事業者に適用される「2割特例」。

この2割特例の消費税申告について、国税庁ホームページに情報がアップされています。

2割特例とは

2割特例とは、免税事業者がインボイス発行事業者となった場合にのみ適用することができる、消費税の計算方法です。

現在、消費税の計算方法には2つあります。

原則:売上時にもらった消費税 ― 経費で払った消費税
簡易:売上時にもらった消費税×(1割~6割)←割合は業種によって決まる
(2年前の課税売上高が5,000万円以下の場合のみ適用可)

ここに、今回もう一つ計算方法ができることになります。

2割特例:売上時にもらった消費税×2割
(免税事業者がインボイス発行事業者になった場合のみ適用可)

2割特例は3年間の経過措置です(詳細は後述)。

例えば、1年間の売上が700万円(税70万円)、経費150万円(税15万円)のサービス業(簡易の割合5割)の場合、計算方法によって納税額は次のようになります。

このケースの場合、2割特例が、一番納税額が少なくて済みます。

そのうえ計算方法が簡単なので、自分で申告書を作成することもできそうです。

主に小規模な個人事業主の方には朗報と言えます。

インボイス発行事業者になるハードルを下げて、より多くの事業者に登録してもらうための政策かなと思います。

個人事業主におすすめ!国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で手軽に作成

個人事業主の場合、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で消費税の申告書も作成できます。

消費税の申告書自体は、これまでもできました。

そして、令和5年分確定申告からは、2割特例の申告書も作成することができるようになります。

現時点(令和5年9月)では、まだ令和5年分の申告書の作成はできませんが、国税庁ホームページによると、売上金額等の入力だけで税額が自動計算されるようです。

これまでも簡易課税の消費税申告書を作成する場合には、「2年前の課税売上高」、「業種」、「売上金額」等を記入していたので、それと似た感じになるかと思います。

参考:令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!|国税庁

免税取引、非課税取引がある場合は、分けて集計する必要がありますが、多くの事業者は、売上は「課税売上のみ」ということが多いと思います。

また、飲食店のテイクアウトや、食料品を売っている場合には、標準税率(10%)と軽減税率(8%)の区別は必要となります。

経費でかかった消費税については考える必要はありません。

売上金額を入力すれば、自動で消費税の納税額が計算されます。

これであれば、税理士に頼まずに自分で申告書を作成することができる方も多いのではないかと思います。

なお、令和5年分については、インボイス発行事業者になってから(令和5年10月1日~12月31日)の売上を入力することになります。

令和5年9月末までは免税事業者なので、消費税の申告には関係ありません。