遅れていると言われることの多い、会計事務所のDX化。顧問先のDX化が進んでいるだろう中でのその状況は、顧客喪失に直結する可能性があります。つまりいま会計事務所は、自身のDX化を通じてDXに関する知識を身に付ける必要に迫られているのです。
この記事の目次
近年、政府もDX推進のためデジタル庁を発足し、IT補助金の拡充など積極的に投資を行っている状況ですが、その中で会計事務所のDX化は他の業界と比較すると遅れていると言われています。
顧問先のDX化が進んでいる中で、会計事務所にDX化の素養が無ければ顧問先のロストにつながる恐れもあります。
経営者と接する機会の多い会計人は、会計事務所自身のDX化を通して最低限のDX化知識を身に付けて行きましょう。
会計事務所のDX化について3回に分けて解説していきます。
第1回:これからの会計人に求められるのが会計事務所のDX化※今回
第2回:最低限知っておきたい会計事務所のDX化ツール(初級編)
第3回:最低限知っておきたい会計事務所のDX化ツール(中級・上級編)
会計事務所のDX化とは?
DX化とはDigital Transformationの略称で、デジタル技術を活用して業務や組織を変革することです。
会計事務所のDX化とは、主に紙やアナログのツールをデジタルに置き換え、業務の可視化・標準化・ペーパーレス化を進めることになります。
「現状の働き方」と「DX化後の働き方」の違いから見ていきましょう!
「現状の働き方」では、働く場所・時間に制約があり、情報の共有化も難しい等のデメリットがあるため、業務が属人的になりやすい傾向があります。
続いてDX化後の働き方を見ていきましょう!
DX化後では「現状の働き方」で紹介したデメリットが解消されています。
これらの働き方はあくまで一例です。
上記以外にもDX化後のメリットが複数存在しますので、それぞれ詳しく見ていきましょう!
会計事務所のDX化の必要性
ここでは、より具体的にDX化のメリットを解説していきます。
DX化のメリットは主に4つあり、「業務の効率化・省略化」・「情報共有の円滑化」・「顧客サービスの向上」・「人材の定着化・採用強化」と、分けられます。
ここで上げた4つは、会計事務所を運営する上での課題であると思います。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)業務の効率化・省略化
- 実際の業務時間の削減
- 業務標準化(特定の担当者依存回避)
- 教育時間の削減
など
これまで手作業で実施していた記帳業務を、システムによる自動化を行うことで作業時間の大幅削減につながります。
さらに、DX化を進めるには業務の洗い出しを行い、業務の標準化(ルール化・マニュアル化)を行うことが重要です。
業務の進め方を揃えていくと担当者による品質の差が無くなり、簡単な作業は分業化するなど、より効率的な業務が実施可能となります。
業務が標準化・可視化されていくと、業務改善を進めることも容易になり、業務内容も良くなっていきます。
また業務のルール化・マニュアル化が進むと、職員の教育時間も短縮でき、教育担当者の質も向上させることが出来ます。
(2)情報共有の円滑化
- データでの共有のため物理的な制約がない
- メールなどで直ぐに情報共有可能
- 情報を検索できるため情報取得が楽
など
すべての業務及び情報を可視化・クラウド化すると、インターネットにつながっていればどこからでも情報にアクセス可能となり、場所にとらわれず作業が出来るようになります。
さらに、口頭での発言内容もすべてデータ化されるため、情報共有が楽になり、「言った・言わない」などの不毛なやり取りも発生しません。
また、資料を紙で保存した場合、過去資料を探す手間や紛失・消失のリスクがあります。
しかし、クラウド上で保存した場合は検索可能となるため、データを復元することができ、データ消失のリスクも回避できます。
(3)顧客サービスの向上
- 税務業務以外の提案
- 遠隔での顧客対応
- ペーパーレス納品
など
業務が効率化していくと、時間的制約によりこれまで提案出来なかったような税務業務以外の提案を検討する時間が生まれます。
また物理的な制約が無くなるため、これまで対応できなかった遠方のお客様も対応可能となります。
(4)人材の定着化・採用強化
- ワークライフバランスの実現
- キャリアアップ機会の提供
- 多様な人材の受け入れ
など
単純作業を切り出し、分業化することで業務時間が短縮可能です。
分業により職種に応じた業務に専念できるようになるため、これまで対応出来なかった相続税・事業承継等の新たな税科目にチャレンジする時間が生まれます。
また事務所以外での作業も可能となるので、午前だけ自宅で勤務し、午後は事務所へ出勤するなどの柔軟な働き方ができます。
自宅での勤務が容易になれば、子育て中の主婦の方や遠隔地に住む方など採用の幅も広がります。
会計事務所のDX化で会計人に求められるもの
「税務知識」と「実務能力」をつけていくことは、会計人として当たり前のことです。
2024年1月から、電子帳簿保存法の電子取引における電子データ保存が完全義務化となり、今後もデジタル化が進んでいく流れは変わりません。
中小企業の経営者とコミュニケーションを取る機会が多い会計人として、DX化の知識があまりにも乏しいと、たとえ税務知識があったとしても顧問先の信頼を毀損する可能性が出てくるかもしれません。
また今後少子化が進んでいくことが間違いない中で、いかに生産性を向上させるかも、会計事務所にとって非常に重要です。
すべてを一度に変更する必要はありません。できることから少しずつDX化を進めて行きましょう!
辻・本郷ITコンサルティング株式会社では、辻・本郷税理士法人で培った会計事務所のDX化のノウハウを辻・本郷税理士法人以外の会計事務所様へ提供を行っております。
DX化と言ってもまず何から検討して良いか分からない方も多いと思いますので、ぜひDX化についてお気軽にお問合せください!
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