業界のトップランナーが旬なテーマを熱く語った、「税理士サミット2023」。その中でKaikeiZineは「第6講:ここだけでしか聞けない採用のコツ」に注目、会計事務所の採用活動成功の秘訣が語られた貴重な登壇の様子をレポートします。

この記事の目次

さかのぼること2023年の12月8日、ベルサール東京日本橋にて「税理士サミット2023」が開催されました。

副題に「税理士業界のトップランカーが一堂に集結!」「今こそ!世代を超えた知識の共演!夢の祭典」と銘打たれた本イベントは、そのタイトル通り、以下のような税理士業界のトップランナーの方々が旬なテーマを熱く語る、一大イベントとなりました。

第1講:今後の税理士業界について

  • 辻・本郷グループ 会長・本郷孔洋先生
  • ベンチャーサポートグループ 総代表・中村真一郎先生
  • 税理士法人古田土会計 代表社員・古田土満先生

第2講:会計事務所のM&A

  • ミカタ税理士法人 グループ総代表・柴田昇先生
  • 日本クレアス税理士法人 グループ代表・中村亨先生

第3講:ChatGPT(AI)と会計事務所の今後

  • セブンセンス税理士法人・大野修平先生
  • スタートアップ税理士法人 代表社員・大堀優先生
  • サン共同税理士法人 CTO/サン共同デジタルコンサルティング(株) 取締役・宮川大介先生

第4講:大手事務所のインボイス・電帳法対応

  • 辻・本郷 ITコンサルティング株式会社 取締役・猪野茂先生
  • 辻・本郷 ITコンサルティング株式会社 取締役・菊池典明先生

第5講:DX・AI・デジタル最先端事務所の活用事例

  • 南青山アドバイザリーグループ 代表・仙石実先生
  • 名南コンサルティングネットワーク/株式会社名南経営ソリューションズ 代表取締役社長・浅井克容氏
  • 会計事務所RPA研究会 代表取締役/税理士法人リライアンス 代表税理士・大城真哉先生

第6講:ここだけでしか聞けない採用のコツ

  • 税理士法人松本 代表税理士・松本崇宏先生
  • サン共同税理士法人 統括代表・朝倉歩先生
  • ユアクラウド会計事務所 代表税理士・村井隆紘先生

第7講:相続の現状と将来

  • 円満相続税理士法人 代表税理士・橘慶太先生
  • 税理士法人レディング 代表税理士・木下勇人先生
  • 辻󠄀・本郷 ITコンサルティング株式会社NEXTA事業部執行役・大下宏樹先生

第8講:超有名税理士YouTuber降臨

  • 税理士法人 Five Starパートナーズ 代表税理士・田淵宏明先生
  • 芸能文化税理士法人 会長・山田真哉先生
  • 税理士法人グランサーズ 代表・黒瀧泰介先生
  • 河南恵美税理士事務所 代表・河南恵美先生
  • ArtBiz税理士事務所 代表税理士・大河内薫先生

この中から、「会計プロフェッショナルの活躍を応援するキャリアマガジン」のKaikeiZineは、第6講の「ここだけでしか聞けない採用のコツ」に注目。

サン共同税理士法人・統括代表の朝倉歩先生がファシリテーターをつとめ、税理士法人松本・代表税理士の松本崇宏先生とユアクラウド会計事務所・代表税理士の村井隆紘先生が登壇し、税理士業界の採用活動と成功のコツについて、データや実体験を交えながら語られた様子をお届けします。

第6講「ここだけでしか聞けない採用のコツ」

【登壇者】

税理士法人松本・松本崇宏先生税理士法人松本 代表税理士
松本崇宏先生

渋谷、新宿、錦糸町、横浜、柏、大阪の6拠点を展開し、スタッフ200名規模に成長拡大中。税理士が敬遠しがちな水商売・風俗業界に特化。水商売・風俗業界専門の税理士として風俗店の税務申告、税務調査、節税提案、開業をサポート。北海道、本州、四国、九州、沖縄と全国の風俗店から寄せられた相談は累計5,000件を超え、税理士業界で随一。競合相手のいないピンクオーシャンの開拓事例として、税理士業界でも注目されている。また、国税OB税理士が多数在籍しており、税務調査を意識した指導や調査の立会対応にも精通している。他の税理士にはない独自の経験を元に多くのテレビ、ラジオに出演。書籍「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)と「風俗業限定 最強の『節税』」(幻冬舎)を出版。

 サン共同・朝倉先生サン共同税理士法人・統括代表
朝倉歩先生

2004年より約12年間、デロイト トーマツ税理士法人にて経験を積んだのち、2016年にサン共同税理士法人を設立。2023年6月までに全国10拠点、職員120名以上を有する組織に成長。2019年にサン共同デジタルコンサルティング株式会社を設立。自社開発システムやRPA等最新のITを利用した会計事務所業務の効率化に力を入れており、一般事業会社だけでなく、会計事務所向けのDXコンサルティング事業も行っている。2020年には在宅経理株式会社を設立し、在宅経理スタッフの人材紹介業も開始(2023年4月時点で求職者登録約1,300名)。2021年に辻・本郷ITコンサルティング株式会社の取締役に就任し、DXに関する社外取締役としても活動中。日本中小企業大賞2022にて「働き方改革 最優秀賞」受賞。

 ユアクラウド・村井先生ユアクラウド会計事務所 代表税理士
村井隆紘先生

大学在学中よりベンチャー企業に勤務をしながら、起業などを経験し、大学在学中に公認会計士試験に合格。大学卒業後、大手監査法人に就職。監査法人では、日本の公認会計士資格に加え、米国公認会計士資格を取得し、日米の公認会計士として金融部・国際金融グループにて大手金融機関の監査、コンサルティング、事業再生、IFRS導入支援、IPO支援等を担当。その後、大手都市銀行へ転職し、VC業務や、ベンチャー企業の支援、融資等を担当。ベンチャー企業を支援する中で、クラウドサービスの可能性を強く感じ、クラウド会計を専門とする「ユアクラウド会計事務所」を設立。
現在は、クラウドパートナーズグループとして、税理士法人クラウドフォーカス、社会保険労務士法人クラウドパートナーズ、株式会社クラウドパートナーズのグループ代表を務めるとともに、会計業界専門の人材サービス「ユアキャリア」を展開している。

採用成功のために行っていることは?

画像01_税理士サミット2023

村井:採用人数を増やすためには、やっぱり事務所の魅力を高めないといけないと考えています。その意味で給与はすごく大事だと思うので、これまではうちの事務所も相場よりちょっと高く設定をしていました。いまも高めに設定しているのですが、同時に、事務所の成長に応じてだんだんと相場に近づけていっても応募は増えるという手ごたえもあります。つまり事務所が大きくなればなるほど、一律で給与水準を高めに設定しなくてもよいとも思っています。

そうした給与面に加え、働きやすさを整えていくのもポイントだと思っています。自分は、採用成功のマイナス要因にみなし残業があると思っていて、実際うちの事務所はみなし残業はありません。もしみなし残業のある事務所ならば、まずは変に隠したりせずに、条件にきちんと書くことから始めるべきですよね。

朝倉:いまの村井先生の話は、事務所がある程度大きくなれば、ブランディングで採用も楽になるということですよね。さらに、それより前段階の小さな事務所の場合はこうやって採用すべき、もしくは独立したらこういう風に採用すべきというポイントがあれば、それもぜひ聞かせていただきたいです。

村井:そのフェーズでも、まずはやはり働きやすさですかね。これは採用だけでなく組織作りの話にもなってくると思うんですが、テレワークやフレックスなどで工夫をして、働きやすい組織を作る。あとは単純に、求人媒体に乗せる写真も重視していますね。笑顔の写真、楽しそうな写真、きれいなオフィスの写真を使う。いまってスマホで流し見をしながら求人を探す人も多い、実際写真を見てこの事務所いいなと思うケースも多いと思うので。写真はコストをかけずにできるという意味でも重視していて、実際掲載写真を変えただけで応募数がかなり増えたりしました。

朝倉:みなし残業はゼロということですが、土曜出勤も無しですか?

村井:そうですね、土曜出勤も無しです。

松本うちは、人によってみなし残業ゼロのスタッフもいるという感じです。土曜出勤もだいぶ少なくなりましたけど、ある人はありますね。

朝倉:うちも有給消化の課題があったりするんですが、そうした労働環境の改善は、実際すぐ改善できるとも思っています。

村井:そうですよね。給与や労働環境の改善に関しては、うちは採用コストの一部として考えています。求人媒体やエージェントにコストをかけるのも、認知度を高めるために重要だと思いますが、いい人材を採用するためには、給与や労働環境にコストをかけていくことも大事かなと思っています。

大人数をどうやって採用しているのか?

税理士サミット2023

松本:うちは、採用は総務の方で担当をしています。スカウトメールは外注して、問い合わせがあった後の面接日程の調整などは総務で、実際の面接はオフィスの責任者でという感じでやっています。

村井:うちも似たような感じですね。これもやっぱり成長フェーズによって変わってきていて、いまは自分自身がやる部分は減らして、分担しています。採用は特になるべくいろんな人に見てもらいたいので、選考を複数人でやるようにしています。

朝倉:リファラルもやっていますか?

村井:やっていますね。紹介のインセンティブとかは特にないのですが、それでもけっこう紹介してくれるのは、スタッフが「いい事務所だ」と思ってくれているからこそだと思っています。しかも紹介で来てくれるのがいい方ばかりで、それも事務所の魅力を高める相乗効果になっているかなと思います。

松本:うちもリファラルはけっこうやっていて、いま国税OBの税理士先生が10人ぐらい在籍しているんですが、そのほとんどがリファラルです。うちに在籍する国税OBの先生が、「うちはこういう事務所なんだけど、どう?」と声をかけてくれています。

朝倉:新卒と中途採用の割合はどうですか?

松本:うちは、2023年の新卒採用者は6名ですね。さらに2024年は新卒が19名入ってくる予定です。

村井:うちは最近は新卒は0ですね。いままでの採用実績でも新卒は2名だけで、どうしても中途の割合が高い傾向にあります。教育体制も含めて、大きな事務所でないと新卒採用はなかなか難しいところがありますよね。

朝倉:なるほど。松本先生は新卒以外も含めてたくさんの人数を採用しているとも聞いています。それについても教えてもらえますか?

松本:2023年で言うと、4000人ぐらいから求人のお問い合わせをいただいて、そのうち履歴書が届くのが3000弱ぐらい。その10%の300人ぐらいを面接して、60~70人ぐらい採用しています。中には残念ながら退職されてしまう方もいるので、最終的に2023年はスタッフが50人ぐらい増えています。どうやってそれだけの問い合わせを集めているかで言うと、リクルート系のサイトのテキストコンテンツを活用していますね。ライターさんに、検索に引っかかりやすいようなライティングをしてもらっています。あとは、スカウト機能をしっかり活用したり、自社での求人サイトの運営やインスタグラムなどのSNSもやっていたりします。その意味では、やっていることはみなさんとそんなには変わらないかもしれないですが、4000件の問い合わせってやっぱりすごい数なんですよね(笑)。うちの事務所はスタッフの人数がある程度いるのでなんとかこなせていますが、同時にそこには課題感を感じていますね。

税理士業界全体としては、採用にどう取り組むべき?

税理士サミット2023

朝倉:税理士業界として採用にどう取り組むべきかというテーマも、お話しいただいてもいいでしょうか?

村井:やっぱり、業界の魅力を高めるというところに尽きるのかなと。どうしてもブラックとか給与が低いって印象がいまだに残っているので、まずはやっぱり給与を上げたい。冒頭でもその重要性について話しましたが、採用に有効なのって、結局売り上げを上げることだと思っていて。売り上げが上がると、給与も出せて、採用も進む。そうなるとみんなやる気が出てくる。つまり売り上げが上げられる高付加価値なサービスを、業界全体として適正価格で提供できるようになれば、給与というみんなの幸せにつなげていると考えています。

朝倉:これから業界に入ってこようという人に憧れられる、仕事として選びたくなる業界になるという点でも、業界全体の給与水準を上げていくことは重要ですよね。

松本:今日のイベントの第1講(「今後の税理士業界について」)で、(辻・本郷グループの)本郷先生が、『人にいかに気持ちよく多くの給料を払えるかだ』という話をされていて、本当にその通りだなと思いました。

またその第1項、あとは第3講(「ChatGPT(AI)と会計事務所の今後」)や第5講(「DX・AI・デジタル最先端事務所の活用事例」)でも言及されていたと思いますが、テクノロジーの進化もものすごく早いですよね。記帳代行などを筆頭に、そのテクノロジーの進化に乗っかりましょうということになります。それに関連して、うちが今年ガツッと人を増やした理由のひとつとして、人にしかできない「ホスピタリティ」を大事にしようと考えてのところもあります。我々のお客様の多くは中小企業の経営者様ですよね。人づてに聞いた話ですが、会社経営に悩んで自ら命を絶った経営者の方がいたと聞きました…。そうした経営者さんのそばにいるのが我々税理士なので、そこまで思い詰める前に力になれるはずなんです。つまり日本の多くの企業を再活性化できる仕事だと言えるので、そうした点も業界の魅力として伝えていければと思っていたりします。そうやってより社会に必要とされる存在になることで、売り上げが上がり、給与が上ることにもつながりますよね。

朝倉:業界の話で言うと、私自身は他業界と比較してどうなのかも意識しています。うちの事務所では、それでITに力を入れたり、給与を高めに設定したり、テレワークを採用したり、カジュアルな服装で仕事ができたりといったことを実践しています。そうすることで、他の業界と比較しても選ばれるようにしていきたい。

その意味で、SNSもうまく活用していきたいと考えています。他の業界では、SNSやYouTubeで代表の思いを発信し、共感してもらい、カルチャーフィットした状態で入社してもらうということをやっていますよね。以前は先輩に話を聞かないと分わからなかったそうした情報を、SNSなどで伝えること意識しています。採用でもそうしたメディアをうまく使い、自分に合った事務所が選びやすい環境になればいいなとも思います。たとえば、次の第7講(「相続の現状と将来」)でお話しされる(円満相続税理士法人の)橘先生は、税理士試験の受験生向けにXのスペースをやられたりしています。そうして税理士業界の人たちも、すでにX、YouTube、TikTokなどで情報発信をしています。私としても、SNSなどを使った情報発信にさらに強い業界になるといいなと思いながら、日々やっています。

■税理士サミット2024
開催予定:2024年11月1日(金)10:00~18:00、18:30~20:30(懇親会)
開催場所:JPタワーホール&カンファレンス(千代田区丸の内)
※その他の詳細が決まり次第、あらためてWebにて告知をいたします

■資格次世代税理士研究会
https://tax-accountans.com/
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