今後の税理士とAI
AIに任せられる業務が増えている中で、税理士の担う役割も変化しています。
今後の税理士とAIの関係や、AI活用の注意点について見ていきます。
AIで変化する税理士の役割
AIの進化に伴い、税理士の役割も変わりつつあります。
税理士は単なる税務会計の専門家を超えて、顧客企業の信頼あるビジネスパートナーとしての役割に集中しなければ生き残っていけないというのは、以前からいわれてきました。
AIを活用する中で、税理士の役割はさらに変化してきています。
たとえば以下のように、企業からAIに関するコンサルティング業務も求められるようになっています。
・AI活用の旗ふり役
企業は税理士にAIを活用した財務データの分析や、分析データを使った経営コンサルティングなどの役割も期待しています。
最新の技術やトレンドを把握し、顧客企業に適切なアドバイスを行ってAIの導入を支援するような役割が今後は増えていくでしょう。
・AI活用の倫理的指針の策定
AIが出力したデータが差別的な評価や選別をしていないかなど、公平性を担保できているかを常に確認することも重要になっています。
そうしたAI時代ならではの課題に対し、税理士が倫理的な指針を示し、顧客企業や業界にルールを提示していく役割も期待されています。
そのほかAI活用の注意点
ほかにも注意すべき点があるのを忘れてはいけません。
生成AIはインターネット上の膨大なデータを元に学習をしているので、不正確な情報や古い情報を参照することがあり、事実とは異なる回答を生成してしまうことがあります。
これを「ハルシネーション」といいます。
正しい判断が求められる税務分野で、生成AIの回答をそのまま信頼するのは危険です。
生成AIを活用する際は、税理士自身が最新の税制や基準を熟知したうえで、回答をしっかりと検証するプロセスを構築しておくことも求められます。
注目のAI関連サービス
税理士業界で注目のAI関連サービスを3つ紹介します。
どれも、生成AIを取り入れた税務関連の便利なサービスです。
税務相談ロボット:日本初の税務特化型生成AIチャットボット
(出典:https://cms1.robon.co.jp/sodan/zeimu/)
株式会社ROBONが提供する税務ロボットシリーズの「税務相談ロボット」は、日本初の税務特化型の生成AIチャットボットです。
法人税、所得税、消費税、相続税、地方税に関する相談をチャット形式で投げると、国税庁やその他省庁、地方自治体の公式なデータを学習した生成AIが、出典の明示と共に回答してくれます。
ほかにも同シリーズには、「申告ロボット」「決算ロボット」「通算ロボット」があります。
申告書作成などの税務業務の定型的な作業を自動化し、業務効率化を支援するサービスです。
高速で高精度のデータ処理を可能にすることで、記帳や税務申告にかかる手間を削減し、税理士がより専門的な業務に集中できる環境を提供してくれます。
L-Chat:対顧問先の業務に特化した会計事務所専用の生成AIシステム
(出典:https://i-lchat.com/)
株式会社iDOORが提供する「L-Chat」は、顧問先からの相談や質問、顧問先への提案業務に特化した会計事務向けサービスです。
生成AIに事務所ごとの独自データを学習させることで、最適な回答や提案を作成してくれます。
属人化しがちな顧客からの質問・相談対応や提案業務の標準化を実現することで、事務所スタッフの負担を軽減し、対応時間の短縮により顧客満足度を高めてくれます。
文章生成やアイデア出しなど、一般的な生成AIの使いかたで活用することも可能。
L-ChatにはChatGPTが組み込まれていますが、学習データや顧問先情報がChatGPT側に漏洩する心配もありません。
税金スッキリくん(β版):ChatGPTを活用した納税者向け情報収集ツール
(出典:https://lp.tax-startup.com/chatbot)
スタートアップ税理士法人が提供する「税金スッキリくん(β版)」は、無料で使える納税者向けのAIチャットボットです。
起業に向けての会計・税務に関する情報収集の手間を減らすことで、起業への一歩をふみ出すサポートをしていきたいという思いから、ChatGPTを活用して開発されています。
対話型のAIチャットに会計・税金・起業に関する質問を投げると、回答が自動抽出されます。
起業準備中の個人事業主や企業経営者のほかにも、税金や会計の専門知識がない、気軽に相談できる税理士がいない、バックオフィスの業務を効率化したいかたの疑問を迅速に解決でき、基礎的な知識を得ることができます。
まとめ
オズボーン博士の予測発表から約10年がたっても、税理士はいなくなっていません。
むしろAIの進化は税理士業界も進化させ、業務効率化だけでなく新たなサービス提供の可能性を広げています。
これからの税理士には、AIを深く理解し、効果的に活用する力が求められるでしょう。
さらに、AIにはできない倫理的判断を担うことなども期待されています。
DXや労働者不足といった課題を見据え、税理士業界と顧客企業がともに進化していくために、税理士はAIの力を最大限に引き出しながら、同時に専門性を発揮することがさらに求められていくでしょう。
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【参考・出典】
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/146.html
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
https://www.jdla.org/column/ai-business-examples-12-cases/
https://www.hikari-tax.com/column/accounting/7516.html
https://www.tsurutax.com/blog/14599/
https://pandora-climber.jp/article/category_ai/ai_financial_taxcounselor.html
https://www.pwc.com/jp/ja/services/tax/tax-technology-transformation/artificial-intelligence.html
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/generative-ai/vol13.html