「いま、本当に価値のある顧客企業の支援とは何か?」をテーマに、中小製造業や卸売業の利益創出のプロフェッショナルである株式会社KUROJIKA代表取締役・早川伸夫氏による連載がスタートします。連載では、顧客企業の経営改善・利益創出のための実践的なメソッドについて執筆いただきます。

この記事の目次

KUROJIKA代表取締役早川伸夫氏

早川伸夫
株式会社KUROJIKA代表取締役。利創経営参謀。
銀行、製造業、小売、海外新規事業など多業界・多職種を経験したのち独立。中小企業の現場に入り込み、売上アップやコスト削減による利益創出を支援。2025年1月より、士業・コンサルタント向けに再現性の高い経営支援メソッドをお伝えする「利創経営参謀養成講座」を主宰。また、現在は中小企業の経営改善や利益創出を支援するDX・AIシステム「FOCAL」の事業開発にも取り組んでいる。

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いまあらためて、「本当に価値のある顧客企業の支援とは?」という問いが税理士などの会計人に投げかけられています。

全4回となる今回の連載では、中小製造業や卸売業の利益創出を専門とする株式会社KUROJIKA代表取締役・早川伸夫氏に、顧客企業に利益をもたらすための本質的な支援のありかたを執筆いただきます。

特に、年商5億〜50億円規模の製造・卸売業をクライアントに持ち、経営支援に力を入れている税理士にとっては必見の内容です。
(※この連載の一部に広告が含まれます)

顧客支援の“本質”を問い直すとき

正直、この話題はもう聞き飽きた ——「AIに仕事が奪われる」といった話は、税理士や公認会計士の皆さんであれば何度も耳にしてきたことでしょう。
事実、会計ソフトの自動仕訳やチャット形式の税務相談、申告書の自動作成などはすでに普及しはじめています。
こうした状況から、昨今は「財務コンサル」こそがAIに奪われない領域として注目されてきました。

ところが2025年2月、ChatGPT Proに搭載されたDeep Research機能が、その新たな道すらも揺るがしはじめました。
複雑な経営課題への仮説構築や業界分析、改善提案までもが数分で出力される時代に入り、経営コンサルタントである私自身が誰よりも衝撃を受けました。

「本当に価値のある顧客支援とは何か?」—— すべての税理士、会計士、コンサルタントがこの問いに真正面から向き合うことを迫られています。

本当に価値のある顧客支援とは一体何なのか?

この問いに対して、私がたどり着いたひとつの答えは、顧問先の経営改善 ── すなわち、「利益を生み出す支援をすること」でした。
顧客がもうかれば、顧問料を上げる提案もしやすくなり、お互いに成果を感じられる。
短期的な契約にとどまらない、持続的なWin-Winの関係が築けます。

この考えに至った背景には、自身の現場経験があります。
私は銀行員としてキャリアをスタートし、多くの経営者の資金繰りや融資の相談に携わってきました。
しかし、経営の現場での実務経験がない私には、制度や数字の説明はできても、経営の本質に踏み込んだ支援はできない ── そのようなもどかしさを強く感じていました。

その後、製造・小売・海外・新規事業など、さまざまな業界・職種で現場経験を積むことを選びました。
売上が上がらない、商品が売れない、在庫が膨らむ、人材が育たない…。
そうしたリアルな経営課題に正面から向き合いながら、戦略を考え、実行し、時には失敗もしながら、経営の本質に少しずつ触れてきました。

現場での経験を通じて、ようやく私は「経営者と同じ目線で会話ができるようになった」と実感しています。
独立後は株式会社KUROJIKAを立ち上げ、中小企業の利益創出を支援する「経営参謀」として、年商数千万円から一千億円規模の企業まで幅広くご支援してきました。

支援をしてきたどの企業にも共通しているのは、「数字だけでは経営は動かない」という現実です。
だからこそ私は、「売上を伸ばす」「コストを下げる」といった数字目標を現場に落とし込み、実行まで伴走するスタイルを大切にしてきました。

また、現場で培った知見をもとに、より多くの企業の判断支援ができるよう、現在は中小企業向けの経営DX・AIシステムの開発にも取り組んでいます。
財務や売上などのデータをもとに、「どの事業・商品・顧客に集中すべきか」といった経営判断をサポートするツールです。
経営者が「本当に注力すべきこと」に気づき、意思決定できる状態を作ることを目的として、開発を進めています。

とはいえ、もちろんAIツールがすべてを解決してくれるわけではありません。
本当に大切なのは、「その先の支援」です。
意思決定を後押しし、実行に移し、現場に根付かせる ── この一連の流れを支える役割を担えるのは、経営者と長く信頼関係を築いてきた税理士の皆さんです。

いま私たちに求められているのは、税務や会計といった「処理」を超えて、「課題を見つけ、解決する」ことで経営に貢献できる支援者へと進化していくこと。
その第一歩として、「顧問先の利益創出」をどう支援していけるか ── ぜひ一緒に考えていきましょう。