福岡のENJOINT税理士法人代表、智原翔悟氏の連載2回目です。前回はDXの基本的な概念と会計事務所がDXを実現するためのステップをご紹介しましたが、今回はツールの選定方法と導入事例について詳しく解説します。
この記事の目次
智原翔悟(ENJOINT税理士法人代表、税理士)
2017年4月開業、
また、オウンドメディア『
※智原氏も認定アドバイザーを務めるfreee認定アドバイザー制度とは?
「会計事務所とfreeeがパートナーシップを形成し、個人事業主・中小企業の方々のスモールビジネスを共に成功に導くパートナープログラム」 https://adv.freee.co.jp/advisor
ツール選定のポイント
ここ数年で多くのクラウド型のITツールがリリースされ、今も増え続けています。
その中で、自社に最適なものを見つけることは容易ではありません。気になるツールをすべて検証できれば理想的ですが、リソース(時間・費用)の制約から、なかなかそうもいかないのが現実です。
選定の負担を減らすために、いくつかのポイントを以下にご紹介します。
1. 業務の把握
まず、自社の業務プロセスを詳細に把握し、どの部分をデジタル化・効率化する必要があるのかを明確にします。例えば、会計データの入力、顧客管理、文書管理など、具体的なニーズを洗い出すことが重要です。
現状の課題を理解した上で、どのプロセスが最も改善の余地があるかを見極めましょう。
2. 市場調査
デジタル化すべき業務が明確になったら、次に市場調査を行い、導入候補のツールをピックアップします。
実際の使用感や効果が具体的にイメージしやすくなるため、同業者に直接話を聞ける機会があれば試してみるのもおすすめです。難しい場合は、導入事例やレビューを参考にし、同じ課題感を持つ企業がどのように解決を図ったかを調査しましょう。
3. ツールの機能性
選定するツールが自社のニーズに対応できるかどうかを確認します。ツールが提供する機能を詳しく調査し、自社の業務にどのように適用できるかを検討します。
また、ツールの機能を活用して自社の業務プロセス自体を見直し、再構築することも考えましょう。
トライアル期間を有効に活用し、実際の運用環境でテストすることを推奨します。
4. APIの有無
少し高度な要件になりますが、他のツールと連携することで、よりシームレスなワークフローを実現することが可能です。
単一のツールでは実現できない機能でも、複数のツールを組み合わせることで多くの課題を解決できるため、APIの有無は重要な選定基準となります。
5. コスト
多くのツールはサブスクリプション型で、利用者数に応じた従量課金が一般的です。
年払いにすると割引が適用される場合がありますが、ツールの継続使用が難しい場合でも柔軟に対応できるため、導入後しばらくは月払いにしておくのもおすすめの戦略です。
6. セキュリティとサポート
データのセキュリティが確保されているか、また導入後のサポートが充実しているかも重要なポイントです。信頼性の高いベンダーを選び、必要なサポートが迅速かつ確実に受けられるかを確認しましょう。
特にクラウドサービスを利用する場合は、データ保護とコンプライアンスの要件に注意が必要です。
ENJOINTの導入事例
続いて、弊社で実際に導入しているクラウドツールの一部をご紹介します。導入のご参考になれば幸いです。
Google Workspace
Googleカレンダーを活用し、社内外のスケジュールを効率的に管理しています。共有機能により全員がリアルタイムで予定を確認できるため、ミーティングの調整がスムーズに行えます。
また、GAS(Google Apps Script)による自動化にも取り組んでおり、業務の効率化をさらに推進しています。
Google Workspace:https://workspace.google.com/intl/ja/
GAS(Google Apps Script):https://workspace.google.com/intl/ja/products/apps-script/
kintone
顧客情報の管理および業務進捗の管理に利用しています。
契約状況や日報から集計した工数をBI(Business Intelligence)で可視化し、サービス品質向上のための分析も行っています。
さらに複数のシステムとAPI連携することで、kintoneを中心としたワークフローが構築されています。
freee
freeeは会計業務だけでなく、税務、人事、契約など、幅広い業務に活用しています。
kintoneとのAPI連携により、顧客管理や売上管理をシームレスに行い、業務効率化を実現しています。
また、弊社の顧問先の60%がfreeeを利用しており、freeeを中心にバックオフィスを構築することで、双方に大きなメリットをもたらしています。
Dropbox
重要なドキュメントやファイルをクラウド上で安全に保管しています。
アクセス権限の管理が柔軟に行えるため、セキュリティを保ちながらも、必要な情報を迅速に共有できる環境を構築しています。
またDropboxは、ストレージ以外にもパスワード管理やDropbox Paperといった豊富な機能を提供しており、活用の幅が広がっています。
トースターチーム(Toaster team)
社内の知識やノウハウの共有にはトースターチームを利用しています。
これにより、マニュアルのクオリティが向上し、社員間での情報共有がスムーズに行われるようになり、全体の業務効率が向上しました。
外部共有機能も備えており、顧問先などにマニュアルを簡単に共有することが可能です。
まとめ
会計事務所がDXを実現するためには、適切なツールの選定とその効果的な活用が欠かせません。
業務プロセスの把握、ツールの機能性と操作性の確認、コストとROIの評価、セキュリティとサポートの確認など、慎重な選定プロセスを経ることが重要です。
また、導入後の効果を定期的に評価し、継続的な改善を図ることで、DXの効果を最大限に引き出すことができます。
次回の連載では、弊社が採用しているfreeeを中心としたバックオフィスの運用方法について、具体的に解説します。引き続きご期待ください。
※参考資料
▼ITreview B2B IT / SaaS カオスマップ
https://www.itreview.jp/chaosmap
【あわせて読みたい】
ENJOINT流・会計事務所のDXロードマップ│第1回:デジタル化とDX
ENJOINT流・会計事務所のDXロードマップ│第3回:freeeを中心としたバックオフィス運用
ENJOINT流・会計事務所のDXロードマップ│最終回:ツール導入後の社内定着とIT人材の育成