今回の会計人ライブラリーでは、人気シリーズ『こんなところに落とし穴!税理士業務のヒヤリハット』の第4集をご紹介。編者であるABC税務研究会から冨永昭雄税理士に登場いただき、直近の改正となる贈与税やインボイスを含む豊富な事例を集めた書籍について、またミスを防ぐ心構えについて伺いました。
こんなところに落とし穴!税理士業務のヒヤリハット 第4集
ABC税務研究会/編
ぎょうせい・発売日:2025/7/11
https://shop.gyosei.jp/products/detail/12382
著者が語る本の見どころ
Q はじめに、『こんなところに落とし穴!税理士業務のヒヤリハット 第4集』の紹介をお願いします
A 本書は、月刊『税理』(ぎょうせい)に令和4年10月号から令和7年5月号まで連載した「こんなところに落とし穴!税理士業務のヒヤリハット」を基に、令和7年4月1日現在の税制などを踏まえて加筆などをし、1冊にまとめたものになります。
日々の税理士業務のなかで出合う、ヒヤリとしたりハッとしたりするようなミス寸前の事例を集め、その経緯や対応策を平易に解説しています。
平成28年の第1集、令和元年の第2集、令和4年の第3集に続いて、今回、第4集として発刊させていただくこととなりました。
第1集から合わせますと、足かけ10年間の事例が集積できました。
今回、このように第4集を発刊させていただけたのも、第1集、第2集、第3集をご愛顧いただいた読者の皆様のお陰と思っております。
読者の皆様にこの場をお借りして改めて感謝を申し上げます。
Q 本シリーズの編著を担当しているABC税務研究会について教えてください
A ABC税務研究会は平成11年から始まり、今年で26年目になります。
当初は税理士登録したばかりの新人税理士の集まりでした。
試験に受かって登録はしたものの分からないことばかり、という焦燥感が当時の勉強会の原動力でした。
そこから四半世紀たちますが、ここまで続いている有志による勉強会もそうないのではと自負しています。
現在の会員数は約30人で、勉強会は実務に関する情報交換を行うことが目的です。
いろいろな分野を指向するメンバーが揃っていますので、法人税はもとより、資産税や医業、国際税務など、さまざまな報告や質問が勉強会やメーリングリストで行えるのが特徴です。
また、現在は多くのメンバーが開業しましたので、事務所運営に関する情報交換なども行うようになっています。
皆、ベテラン世代にはなりましたが、この勉強会を通じて引き続き税実務の研究と情報交換にいそしんでいきたいと考えています。
Q 今回、読者にわかりやすく伝えるために工夫した点などがあれば教えてください
A 本書の執筆者は、ABC税務研究会に所属し、日々税実務に接している税理士や公認会計士といった職業会計人になります。
職業会計人として実務の現場で経験したヒヤリハット事例を読みやすく、分かりやすく読者の皆様にお届けしたい。
この一心から、会話形式やイラストを用いるなどの工夫を重ね、臨場感をもってお読みいただけるよう腐心しました。
そして、日々の業務のなかの失敗や間違いを減らせるような「気づき」を「ヒヤリ防止の処方箋!」として紹介しています。
ぜひ税実務の危機管理のチェックリストとしてご活用くだされば幸いです。
Q 本シリーズは第4集となり、引き続きさまざまな税務分野でのヒヤリハット事例が紹介されていますが、今回はどのような基準で事例を集めましたか?
A 基本的には第4集も、引き続き月刊『税理』に掲載されたものを加筆・修正したものになります。
メンバー各自が体験した事例を、個々の判断で採り上げていますので、これまでの第1集から第3集までと同様、さまざまな事例が自然に集まったかと思います。
メンバーおのおのがそれぞれの業務スタイルや個性に応じた活動を行っていることが、こうしたバラエティーな構成につながっているかと思います。
また、大きな改正となった令和6年からの贈与税、令和5年10月に始まったインボイスなどは、勉強会でも制度の開始前に熱心に採り上げていましたし、実務が動き出すにつれ、執筆者のなかでも関心が高かったと思います。
Q 具体的にどのような事例が掲載されているか、いくつか例を挙げて紹介していただけますか?
A 第4集の最初を飾るのは、「控除対象外消費税額でヒヤリ」です。
ヒヤリハットで消費税は、やはり常連になっていますね。この他にも「年末の消費税の届出未提出にヒヤリ」や、消費税の申告期限延長に関するヒヤリハットも掲載しています。
また、インボイスの登録時期(令和5年3月)とスタート時期(令和5年10月)がちょうど第4集の期間でしたので、インボイスについてもいくつか掲載しています。
その他では、タイトルだけ挙げますと、「保険の契約者変更でヒヤリ」、「退職期周辺の源泉徴収」、「外国人のスタッフが入社しました!」など、これまでと同様にバラエティーに富んだ構成となっています。
Q 本書ではヒヤリハットの事例とその防止策を解説されている点が大きな魅力だと感じます。税理士が陥りがちなミスを防ぐために、特に重要な「心構え」や「実務上のチェックポイント」があれば、一つアドバイスをいただけますでしょうか?
A 本書をお読みいただくと分かるかと思いますが、税理士業務のヒヤリハットと一口に言っても、税理士が10人いれば、10人それぞれのヒヤリハットがあるかと思います。
ヒヤリハットで済むのか、あるいはそこをスルーしてしまい大きなミスに発展してしまうかの分岐点も、それぞれの仕事の方法やスタイルによっても、また異なるかと思います。
ミス防止ということでは、時間管理やダブルチェックなどが一般的には挙げられますね。これはこれで正しいかと思います。
ただ、あくまで個人の意見なのですが、自分とは異なるいろいろな意見や考え方、取り組み方を見聞きすることが結構大事かなと思っています。
「この人は、こんな工夫をしているのか」とか、「この人は、こういう考え方の下で事務所を運営しているのか」などですね。
こうした気づきの機会が多ければ多いほど、仕事の精度は上がる気がします。
その結果、大きなミスも避けられるかもしれません。保証の限りではありませんが。
「本書を読んだら必ずヒヤリハットも避けられ、それによってミスも完全に無くなります。」のような謳い文句は残念ながら言えませんし、税制改正も必ず毎年あるわけです。
税理士業務もAIの力も借りる時代になりましたが、人間が最終判断を行う以上、ミスが全滅することもないでしょう。
そういう意味では、ミスの手前にあるヒヤリハットにぶつかる都度、この経験を事務所内はもちろんのこと、相談しあえる仲間同士でも広く共有しましょうというのが、現実的な対処法かと思っています。
Q 出版後、事務所のみなさんやお知り合いの税理士など周囲の反響はいかがですか?
A 周りの税理士から、「いつも読んでいるよ」などと言われることもありますが、まさか第4集まで続くとは正直思っていませんでした。
継続して購入いただいている方もいらっしゃるようですし、本当にありがたい限りです。
書籍の反響に関連して1点触れておきたいのは、書籍化に当たって月刊『税理』での連載には無いイラストが追加されています。
事案の重さをユーモアで包んだイラストのセンスがとてもいいという感想もいただきます。
ご好評いただいているのには、こうした装丁の工夫も大きいかと思います。
著者・編者紹介
研究会メンバーで著者のひとりの冨永昭雄税理士
| 団体名 | ABC税務研究会 |
| 紹介 | 各税理士事務所などの垣根を越えて、税務をはじめその業務実務全般を研究し合う、税理士・公認会計士によって構成・運営される研究会 |
| 氏名 | 冨永昭雄(税理士) |
| 所属 | 税理士法人 コスモ総合会計事務所 |
【あわせて読みたい】
70の失敗事例から学ぶ!税理士事務所のトラブル予防本(冨永税理士:著)




