サラリーマンが、本業のほかに副業を始めようとすると、たくさんの疑問が出てくるのではないだろうか。今回は、よくある3つの疑問について紹介したい。

■事業所得と雑所得、確定申告の必要性

まず、「確定申告をしなければならないのは、どのような場合か」ということ。一般的なサラリーマンの場合、確定申告は不要だ。なぜなら、年末に会社が年末調整をしてくれるからだ。

給与所得のみである場合、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除(2年目以降)、ふるさと納税(5団体以内)控除については、年末調整で調整が可能なため、確定申告の必要がない。

しかし、サラリーマンが副業をはじめる場合は、上記に該当しないため、原則として確定申告が必要となる。「原則」としたのは、確定申告が不要となる場合もあるからだ。

給与が、本業の会社1カ所のみの場合は、そのほかの所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が、20万円を超える場合は確定申告が必要とされている。つまり、20万円以下の場合には、確定申告は不要ということだ。

この20万円は「収入金額」ではなく「所得金額」で判定される。所得金額とは簡単に言えば、収入から経費を引いた、残りの利益のこと。つまり、この利益の金額が20万円を超える場合には、確定申告が必要というわけだ。

■健康保険と厚生年金、国民年金

次に、健康保険や年金などの社会保険料についての違いを見ていこう。一般的にサラリーマンは、会社で健康保険や厚生年金に加入し、給与から保険料が毎月天引きされる。そして、給与が増加するにつれて、保険料の金額も増加していくことは、みなさんもご存知の通りだ。

それでは、副業により収入が増加した場合はどうなるだろう。「保険料も同様に増加するのか」という疑問が生じるのではないだろうか。

実は、サラリーマンが副業で得た収入は、この社会保険料算定の対象からは除外されるため、副業収入は影響せず、給与の金額に応じて、保険料は決定されるので、とくに個人で手続きをする必要はない。

■住民税の特別徴収と普通徴収

最後に、住民税について見ていこう。サラリーマンの場合、給与から住民税が天引きされていることがほとんどだ。これを「特別徴収」といい、この住民税が徴収されるまでの一連の流れについては、以下の通りだ。

会社は従業員に対して1年間でいくらの給与を支払ったかを記載した書類として「源泉徴収票」を作成している。この源泉徴収票とほぼ同様のものとして、「給与支払報告書」があり、これを各従業員の住んでいる市区町村へ提出する。

この情報を基に市区町村は各住人の住民税を計算し、会社宛に徴収額を通知する。そして会社は従業員の給与から天引きし、従業員から預かったものを市区町村に納付する、という流れである。

しかし、税務署に確定申告をした場合は、税務署から市区町村に確定申告の内容の通知がされ、その内容に応じて住民税が計算されることになる。副業収入についても上記の流れで会社に通知され、給与から天引きされるのだろうか。

結論としては、必ずしも天引きされるということはなく、副業分の住民税の納付方法については、確定申告時に自ら選択が可能だ。確定申告書の第二表に「住民税に関する事項」という欄があり、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で「給与から差引き」または「自分で納付」のいずれかを選択できるのだ。

自分で納付することを「普通徴収」といい、会社の給与から合算で天引きされたくない場合は、必ずこの欄を選択しよう。そうすれば、給与に対する住民税は給与からの天引きとなり、副業に対する住民税は自分で直接納付することができるのである。

意外と知らない副業を行うときのあれこれ。はじめてから困らないよう、疑問点をひとつずつクリアにして、副業と上手に付き合っていこう。