採用力強化のために行ったこと② 資格取得支援の整備

資格取得制度を重視した理由と制度の中身

弊所では全国でもトップクラスの税理士資格取得支援制度を設けていると自負しています。

  • 教材費は全額事務所負担(合否にかかわらず何度も使用可)
  • 試験直前は最大2カ月間、給与を支払いながら勉強に専念
  • 大学院に行きたい方には2年分の授業料を事務所が全額負担(実績待ち)
  • 直前期は毎週私と一緒に勉強会
  • 本番を意識してTACの模擬試験は大阪会場で受験
  • 試験前日は私が受験生時代に宿泊して合格を勝ち取った縁起の良いホテルの個室を用意(1泊2-3万円相当)

直前期の問題演習、模擬試験、試験前日のホテル前泊の様子

直前期は週1回のペースで私と一緒に問題演習/模擬試験はTAC梅田校で/試験前日は縁起の良いホテルに前泊

資格取得支援を充実させている理由はいくつかありますが、1番の理由は自分自身がそうだったように、短期集中で取れるなら取ってしまった方がいいと考えているからです。

5科目合格するのに平均10年かかると言われる税理士試験ですが、10年かかっていたら自分自身のライフイベント(結婚、出産、子育て、介護など)に左右されますし、試験に対するモチベーションも続かないでしょう。
また会計事務所経験を積み重ねていくと難しい案件を任されるようになり、仕事と勉強の両立も難しくなります。

2番目の理由は、税理士試験勉強が最大の教育かつ基礎体力作りだと考えているからです。
弱小事務所が手取り足取り何でも教えることはできません。
研修動画を購入しても見ない人がほとんど。月1回研修会を開催していますが、その程度では必要十分な知識は身につきません。

業種や会社の規模感に応じて求められる知識は異なりますし、誰しもが初めての案件に出会います。
毎年税制改正もあります。税理士になる前もなったあとも自分で調べて自分で学ぶ姿勢が必要で、自走できる人材にならなければなりません
その練習が税理士試験だと捉えています。

私が税理士になることを勧めているわけではなく、税理士になりたい人が弊所に応募してきます。
「自分で税理士になりたいって言っているんでしょ?だったらこれぐらい知識をつけないとね」と言うだけです。後は自ら勉強しますし、勉強する習慣が身につきます。

制度を設ける上でのポイント

私は税理士試験を通じて、ウィズ総合事務所に対するロイヤリティ(帰属意識)を高めたいと考えています。

想像してみてください。給料を満額もらいながら2カ月間勉強に専念し、他の職員が受験生の仕事を巻き取ります。時には残業してもらうことになります。
この状況のなかで、ふがいない結果を職員に報告できますか?

合格しないといけないというプレッシャーを感じながら受験生は勉強をします。
今年の受験生のなかには、2科目受験して1科目合格しましたが、「みんなに申し訳ない」と悔し涙を流しながら結果を報告している方もいました。

自分一人で試験勉強しているのであれば、何か不都合なことが起きたとき、受験をあきらめることもできます。
しかし弊所では、そんな簡単に諦めることはできません。その環境こそが自己成長にブーストをかけられると思っています。
また、受験生が必死で勉強している姿を一般職員も見ています。そうすると一般職員の方も何か勉強してみようと思うようになるのです。

税理士受験生には「2カ月休むのだから、残り10カ月で12カ月分のパフォーマンスを出しなさい」と言っています。
「周りの職員があなたを応援したいと思ってもらえるように日々の仕事に取り組みなさい」とも言っています。

税理士受験生は5月末までの繁忙期を終えたら試験勉強に専念するのですが、その時に決意表明をしてもらいます。
8月の試験が終わったら、2カ月間仕事を巻き取ってくれた職員を慰労する会を受験生主体で開催してもらいます。
そして11月末にわかる合否を職員の前でも発表してもらいます。

8月に受験生が開催する一般職員向け慰労会の様子

8月に受験生が主体となって開催する一般職員向け慰労会

税理士試験は本来自分事ですが、それを年間を通じて事務所のイベントにしています。
応援し、応援されることで事務所全体として勉強を推奨する風土を築きたいと考えています。

税理士試験合格祝いの様子

合格したら盛大にお祝いします

税理士試験に合格したあかつきには、今後は後輩の受験生を応援する立場に回ってもらいます。自分が受けた恩は後輩に返す、「恩送り」という好循環を生みたいのです。

税理士事務所を経営する諸先輩方には、税理士になると独立されることを懸念される方もおられるでしょう。
私は、どうせ応援しなくても合格するやつは合格する。そして事務所に恩義を感じていなかったら合格したらすぐ独立すると思っています。
だったら徹底的に応援することで、ロイヤリティを高め合格後も弊所で働き続けてもらえる未来を妄想しています。

採用力強化のために行ったこと③ SNSでの採用広報

SNSを始めようと思ったきっかけ

これは本当に棚からぼたもちでした。

弊所の初期メンバーがHP制作などのweb系の仕事をしていて、SNSをやりたいと提案を受けていました。
これまでSNSとは無縁だったので何の効果があるのかわかりませんでしたが、「やりたいなら守秘義務があるので、お客様のことは発信せずにやってみて」と伝えました。
Twitter(現X)で今日の天気とか食事した写真などを上げてました。
ところが、その職員がご家庭の事情で海外に行かなければならず退職することに。
Twitterのアカウントはしばらく放置していたのですが、何かの拍子でそのアカウントをみることに。

そうすると全国の税理士がさまざまな情報発信をされていて、情報収集にはいいなと思い定期的に見るようになりました。
3カ月ぐらいしたときにちょっと自分でも投稿してみたいと思うようになり、事務所のことや私の考えを発信するようになりました。

そうしたら、たまに就職相談みたいなものを受けることになりました。
福井のど田舎事務所になぜ??という疑問もあったのですが、なかには県外から就職したいという人も。
そんな形で徐々に認知され、税理士受験生を応援する制度設計もあり、県外や市外からも求職者が増えていきました。

採用広報に力を入れた結果

ハローワークでの採用に限界を感じていたときに、新たに手にした武器がSNSでした。
SNSは基本無料で使えますし、事務所の雰囲気や自分の考えを発信できるので、採用のミスマッチを防ぐことができます
SNSを見て興味を持った方が、弊所のHPをくまなくチェックした上で応募に来られます。そういった方は熱量も非常に高いです。

田舎であってもやり方次第で採用はできると確信できました。
おそらく福井No.1の事務所規模になったとしても、全国から税理士になりたい人が地縁血縁もない福井に来ることはないでしょう。
でもSNSで情報発信をすると、県外からでも弊所を指名で応募してくることがあると実感できたのは驚きでした。

ウィズ総合事務所グループ統括代表の山本庸介税理士のX・法人のインスタ・受験ブログ

左から、SNSという偶然の出会い(https://x.com/wizyamamoto
スタッフ運営のインスタグラム(https://www.instagram.com/wiz_sougou_/
受験ブログでは模試だけでなく本番の結果まで赤裸々に公開しています(https://wiz-tax-recruit.com/category/blog/

現在はSNSを通じて弊所に就職した職員を含めて、リクルートチームを組成しています。
そこでは20代の若手税理士受験生を中心にリクルートHP改修や受験ブログ執筆、事務所公式インスタグラムの運用、インターンシップなどをやってもらっています。

これまで採用活動は私を含めた幹部メンバーでのみ対応しており、かなり時間を取られていました。
それがいまでは若手メンバーを中心に主体的に行動してくれます。

最近驚いたのは、1分程度のショート動画を作成してくれる事業者を紹介していただき、「リクルート活動に使えるなら外注しては?」とサンプル動画を見せたところ、「これぐらいだったら自分たちでできる」と自作してきたことです。
もうあまり口を出さず若い人の感性に任せようと思いましたね。

これまで実現できたことと現在の課題

求職者の問い合わせ増と科目合格を実現

開業して5年目の現在、従業員はグループで20名を超えました。
そのうち、半数弱が大野市外からです。県外から来た方には大野市内で社員寮を提供しています。市外から片道1時間程度かけて通勤する人も数多くいます。

正式な応募以外にインターンシップやカジュアル面談を含めると、平均すると週1回ぐらいの頻度で求職者とお話しています。税理士試験科目合格済みの人もちらほら。
開業当時は集客のスピードに採用が追いついていない状態でしたが、いまでは求職者の方が多く、仕事を増やさないといけない状況になりました。

人手不足の世の中で、特に会計業界は人手不足が深刻だと思いますが、独自路線である程度の求職者の数と質を確保できているのは、これまでの日々の努力の積み重ねと幸運によるものだと思っています。

税理士試験受験生についても、まだ4年と実績は少ないものの、

  • 1回あたりの科目合格確率 80%
  • 1回あたりの科目合格数 1.3科目

というかなり誇れる結果を出しています。
いまは簿財中心の受験ですので、税法科目の受験実績が増えると数字は下がっていくかもしれませんが。

課題は現実をていねいに伝えること

「教材費は事務所負担」「2カ月給料をもらいながら勉強できる」という外形的なメリットが大きいため、自分本位の方の応募が一定数あります。
面談していればわかるのですが、弊所で働きながら勉強することの厳しさを丁寧に伝えていくことが課題だなと感じています。
厳しい場所だけども成長しがいがある事務所だと理解してもらった上で来ていただきたいと思っています。

また、福井県の県民性というものがあるのだろうと感じています。
県外から来られた方の常識と我々が当たり前と思っている常識に若干の違いがあるのだろうと。
ここを言語化して県外から弊所に興味を持っていただける方にも、事前にお伝えして納得してもらった上で来てもらえるようにしたいと考えています。

最後にメッセージ

就職先・転職先を探している方へ

目指しているのは、「進学校」や「スポーツ強豪校」のような当たり前の基準が高い組織です。
高いレベルに身を置き、お互い切磋琢磨することで3年後、5年後に自走できる人材になってもらいたいと考えています。
もし弊所に興味をもったら、弊所のリクルートHPやインスタグラムもチェックしてもらえるとうれしいです。
職員たちが一生懸命受験ブログを書いたり、動画を投稿したりしています。
事務所のリアルな雰囲気も感じ取れるのではないかと思います。

ウィズ総合事務所 リクルートHP
https://wiz-tax-recruit.com/

ウィズ総合事務所公式インスタグラム
https://www.instagram.com/wiz_sougou_/

地方で開業された方、開業を検討されている方へ

地方事務所で積極的に採用できている秘訣について、記事を書いてほしいという依頼がありました。
都会の派手な成功事例はよく出てきますが、それがそのまま地方で、特に弊所のような田舎では当てはまらないこともしばしば。
開業5年目と経験浅い者が記事を書いていいものか躊躇もしましたが、少しでもお役に立てるのであればと思い、お引き受けすることにしました。
あくまで一事例として見てもらえれば幸いです。

地方にいると、人がいないので採用は不利と思いがち。都会がうらやましく見えてきます。
ですが、都会はそのぶん同業のライバルも多く、転職市場も活発なので苦労は絶えないと聞きます。
結局、隣の芝生は青く見える病だと思っています。

開業場所を決めたなら、その場所で取れる方法は何があるか考える。
できない理由を探すよりできる方法を考える。
いろいろ試して効果がありそうなものを深堀りする。
所長が試行錯誤しながらチャレンジしている姿は職員も見ているはずです。
所長の熱量が従業員に伝播していけば、より大きな行動力につながると思います。

結局のところ「所長のやる気次第で何でもできる!」という根も葉もない結論ですが、私はそのように考えています。

最後までご覧いただきありがとうございました。

ウィズ総合事務所
https://wiz-tax.com/

●所在地
〒912-0026
福井県大野市要町3-14

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【引用元】
https://www.city.ono.fukui.jp/shisei/seisaku-keikaku/jinkouvision/vision_senryaku.files/jinkouR2.pdf
https://www.ohnocci.or.jp/wp-content/uploads/2025/06/CCInews2025.%EF%BC%96%E6%9C%88%E5%8F%B7-1-2.pdf
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/koukou/jittai-kekka_d/fil/R7gaiyou.pdf
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/wakatei/gakusei_shushoku_d/fil/01_fukui_shukatsu.pdf

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