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飲食店専門税理士が指南 黒字倒産しないための飲食店経営のオキテ ~ 預金 編 ~

飲食店財務の基本「預金」をきちんと管理するにあたって大切なのが「通帳管理」。通帳管理をきちんと行えば、二重の支払いや支払い漏れの発生を防ぐことができます。今回は、通帳管理で失敗した事例を参考に、通帳の活用の仕方と管理のポイントを紹介します。

通帳管理が思わぬ落とし穴に

都内で居酒屋を2店舗経営しているBさんは、最近、会社を設立。業者との付き合いで通帳を作りすぎてしまったBさんが所有する通帳は7冊もあります。その結果、どの店舗の経費がどの通帳から支払われているのかが分からない状態になってしまいました。

このため、業者への支払い漏れが発生したり、二重で支払ってしまった業者から連絡を受けることが度々起こっており、個人事業主の通帳から会社名義の通帳を作る際に、通帳の運用を見直したいと考えていました。

店舗数が増えると、その分だけ入出金の機会も増えるので、資金の流れを把握することが難しくなります。Bさんのように、通帳を作りすぎてしまい、どの店舗の経費がどの通帳から支払われているのかが分からない状態になってしまっているなら、要注意です。これにより業者への支払漏れや二重支払が起こり、業者へ迷惑を掛けてしまっては、業者との信頼関係が損なわれてしまいます。

特に口座振替での支払となっている場合は注意が必要です。通帳を作りすぎてしまうと残高不足が起こってしまい、引き落としができないケースが出てきます。実際にあった例ですが、銀行からの借入金の返済の引落口座の残高不足により支払い遅延を繰り返した会社が融資を申し込んだところ、融資審査で過去の支払遅延が理由で断られた会社もあります。2期連続黒字の会社であり財務状況としては申し分なかったのですが、「過去の返済遅延による会社の信用不足」という理由でした。

このように、通帳管理をしっかり行わないと大きなダメージを受けることがあります。しかしながら、通帳には毎日の資金履歴が残るので、通帳をうまく活用することで、お金の管理を確実に行うことができます。

飲食店の預金をうまく管理するには

その後、Bさんは、通帳を①店舗専用通帳、②本部用通帳、③積立用通帳と用途ごとに分け、各通帳での使用ルールを決めました。

シンプルで分かりやすい財務管理の仕組みを整えるためには、通帳は用途別に用意しておくことです。さらに、使用ルールを決めておくことで、お金の管理が確実になります。

①店舗専用通帳
売上現金と小口現金の入出金用に使用します。本部用口座への送金については、半月ごと、月末など一定のルールを決め、規則的に行うことをお勧めします。

②本部用通帳
材料費、人件費、家賃の支払い、水道光熱費の引き落としなど、店舗の経費精算は本部用通帳で一括管理します。資金の出入りをまとめて管理することで支払い漏れ使途不明金の発生などを防ぐことができます。

③積立用通帳
消費税などの税金をはじめとして将来に支出が発生することが分かっているものがあります。その支払に備えて、毎月10万円などのお金を蓄える習慣を身に付けるためにも積立用通帳の運用をお勧めします。まずは、月商の1カ月分を貯蓄することを目標としてください。月商の1カ月分以上の現預金がある会社は自転車操業でない会社であると金融機関から評価されます。

飲食店財務の基本は預金から!預金とうまく付き合える仕組みづくりが重要です。

著者: 水野剛志

Credo税理士法人代表/税理士・経営コンサルタント

富山県出身で醤油屋の次男として誕生。慶應義塾大学商学部卒業後、税理士法人山田&パートナーズ、アビームコンサルティング(株)、OAG税理士法人/㈱OAGコンサルティングを経てCredo税理士法人/Credoコンサルティング事務所を設立。飲食店を専門に開業支援や多店舗展開支援を年間50件以上実施するなど、財務戦略に基づいた飲食店の繁盛店の仕組みづくりに強みを持つ。
■Credo税理士法人
http://credo-tax.com/

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