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飲食店専門税理士が指南 黒字倒産しないための飲食店経営のオキテ~助成金・補助金 編 ~

助成金や補助金は借入とは違い、返済義務のない、「もらえるお金」です。しかしながら、この資金調達を飲食店の経営に活用するためには注意するべきポイントがいくつかあります。今回は助成金・補助金の活用に失敗した事例を参考にその活用方法を紹介します。

助成金・補助金は国や地方自治体からの資金調達!

都内で居酒屋を2店舗経営しているKさんは、友人の経営者のアドバイスを受け、新規出店の際に補助金と助成金を活用して出費を抑えて出店することを検討しました。しかしながら出店に関する物件や内装に関する支払までに助成金・補助金の着金が間に合わず、出店時に非常に厳しい資金繰りとなってしまいました。

5店舗未満の飲食店の場合の資金調達の方法としては、金融機関からの借入がほとんどとなります。しかしながら、資金調達については、もう1つ方法があります。それは、国や地方自治体から支給される助成金・補助金を受けることです。助成金・補助金は借入とは違い、返済義務のない、「もらえるお金」です。この助成金・補助金は国・地方自治体の予算を財源としていますから、そのタイミングで使える助成金・補助金も変わってきます。

<飲食店が活用しやすい助成金・補助金>
・キャリアアップ助成金(正社員化コース)
アルバイト、契約社員を社員へ雇用することで1人あたり60万円がもらえます。

・小規模事業者持続化補助金
商工会議所と一緒に事業計画書を作成する事で、最大50万円がもらえます。

・軽減税率対策補助金
レジ購入時に使える補助金で、20万円前後がもらえます。

・IT導入補助金
国の認定を受けたITツールを2つ以上導入する場合に最大で100万円がもらえます。

・インバウンド対応力強化支援補助金
インバウンド対応力強化のために新たに実施する取組みにつき1店舗あたり300万円がもらえます。

※2017年12月時点の状況(2018年度も継続されるかどうか未定のものも含む)

助成金・補助金を活用する際の注意点

その後Kさんは、助成金・補助金を出店に関する資金計画から外し、銀行から融資にて調達し、何とか出店時の初期費用を支払うことができました。お店の出店後から数ヶ月経った後に助成金と補助金を獲得することができ、次の店舗を当初の予定よりも早く出店することができました。

助成金・補助金を活用する際には、どの助成金・補助金であっても共通して注意すべき点があります。

①助成金・補助金は後払いである
助成金・補助金としてお金がもらえるのは申込から約半年から1年ぐらい経過してからとなります。それまでは、自己資金や融資などでお金を用意し、自力で事業を回す必要があります。助成金・補助金は資金繰りを優位に進めるためのプラスアルファの要素として捉え、事業計画では助成金や補助金がなくても資金不足に陥らない資金繰りを組み立てる必要があります。

②対象期間に必要以上に固定費をあげてはいけない
「1年後に戻ってくるお金だから」といって、ちょっとぜいたくをして、必要以上に家賃が高めで広めの店舗を借りたり、従業員を多めに雇ったりすると、助成金・補助金をもらった1年目はよいですが、2年目以降は完全に自腹になります。特に家賃や人件費は固定費であるため毎月必ず発生してしまい資金繰りを圧迫するので、くれぐれも必要以上の経費を使わないようにしましょう。

③助成金・補助金をもらうことが主目的ではない
助成金・補助金の募集が始まるまで新規出店のタイミングを遅らせる、助成金・補助金タイミングをあわせるために物件を急いで決めてしまうという場合、それが本当に事業にとってプラスなのかどうか、考える必要があります。あくまで本業を成功させることが主目的ですので本末転倒にならないようにしましょう

著者: 水野剛志

Credo税理士法人代表/税理士・経営コンサルタント

富山県出身で醤油屋の次男として誕生。慶應義塾大学商学部卒業後、税理士法人山田&パートナーズ、アビームコンサルティング(株)、OAG税理士法人/㈱OAGコンサルティングを経てCredo税理士法人/Credoコンサルティング事務所を設立。飲食店を専門に開業支援や多店舗展開支援を年間50件以上実施するなど、財務戦略に基づいた飲食店の繁盛店の仕組みづくりに強みを持つ。
■Credo税理士法人
http://credo-tax.com

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