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飲食店専門税理士が指南 黒字倒産しないための飲食店経営のオキテ ~ 人件費 編 ~

飲食店の店舗運営の重要指標となっているFLコスト。FLコストは原価(Food)と人件費(Labor)の合計ですが、その中でも店舗運営の肝である人件費の管理は難しく、経営者の悩みの種となっています。今回は、人件費の管理で失敗した事例を参考に、人件費管理のポイントを紹介します。

人件費の管理が店舗運営の生命線

都内で居酒屋3店舗を経営しているFさんは、3店舗のうち1店舗だけいつも人件費率が高く、それが原因で赤字になってしまうことがよくありました。店長に人件費率を下げるように何度注意しても一向に改善されず、どうすれば人件費率を低く抑えられるか悩んでいました。

人件費の増減を人件費率で管理している経営者は多いですが、人件費率が高くなってしまう理由としては、

① シフトを組む段階で人数を入れ過ぎてしまった
② その日の売上が目標売上に対して大きく下回ってしまった

の2つが挙げられます。

人件費率は人件費を売上で割った比率なので、売上の好調・不調に大きく左右されてしまいます。人件費が高くなってしまわないよう、まずは、シフトを組む際に必要以上に人数を入れ過ぎないようにすることです。ただし、人件費率は売上の要因によっても数値が変動するため、人件費を的確に把握するためには、人件費率だけでなく社員・アルバイトごとに「人件費額」「労働時間(総労働時間と深夜残業時間)」を区別し、どこに問題があるのかを把握することが重要です。

飲食店の人件費を低くコントロールするためには

その後Fさんは、人件費を管理する指標として人件費率に加え、「労働時間の指標」を追加しました。これにより1日の労働時間をあと何時間減らせばよいのかが分かるようになり、店長にも人件費を管理する意識が出てきました。

経営者が店長や現場のスタッフに人件費のことを伝える場合、「人件費率をあと3%落として」や「人件費をあと15万円下げて」と言っても伝わりません。

現場のスタッフに人件費を管理してもらうためには、「1日あたりのどれくらいの労働時間を削減すればよいか」まで具体的に伝える必要があります。たとえば30日営業で5名体制のお店なら、「現状、目標よりも月間150時間多い。これを1日に置き換えると150÷30日で5時間。さらに、それを5名で割ると、1人あたり1時間多いから、その分労働時間を削減して欲しい」ここまで伝えてあげると、店長は人件費を意識しながらシフトを組むことができるようになります。

このように、人件費の管理には、社員・アルバイトごとに「人件費額」「労働時間(総労働時間と深夜残業時間)」を区別し、どこに問題があるのかを的確に把握した上で適切な対策を打つ必要があります。

このほかにも人件費を分析する上で有効なのが「人時売上高」です。これは、1人のスタッフが1時間あたりにどれだけ売上を上げているのかを表したもので、「その日の売上」÷「その日の全スタッフの総労働時間の合計」で算出できます。

中小規模の飲食店なら、人時売上高はまず4千円台を確保したいところです。「その日の目標売上」÷「目標とする人時売上高」で、その日に使っていいシフト時間の合計を算出することができるので、これもシフトを組む際に有効活用できます。

飲食店の利益アップの基本は人件費管理から!従業員の生産性を上げるためには、「人件費率」だけでなく「人件費額」「労働時間(総労働時間と深夜残業時間)」「人時売上高」などの指標を組み合わせながら、どこに問題があるのかを的確に把握することが重要です。

著者: 水野剛志

Credo税理士法人代表/税理士・経営コンサルタント

富山県出身で醤油屋の次男として誕生。慶應義塾大学商学部卒業後、税理士法人山田&パートナーズ、アビームコンサルティング(株)、OAG税理士法人/㈱OAGコンサルティングを経てCredo税理士法人/Credoコンサルティング事務所を設立。飲食店を専門に開業支援や多店舗展開支援を年間50件以上実施するなど、財務戦略に基づいた飲食店の繁盛店の仕組みづくりに強みを持つ。
■Credo税理士法人
http://credo-tax.com

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