飲食店の利益確保の生命線が「食材やドリンクの原価管理」。売上と一緒に増える変動費である原価をうまく管理すれば、利益をしっかりお店に残すことができます。今回は、原価管理で失敗した事例を参考に、原価管理のポイントを紹介します。

食材やドリンクの原価管理が利益確保の生命線

都内で居酒屋1店舗をオーナー兼店長として20年以上経営しているEさんは、最近、売上が好調にもかかわらず、手元にあまりお金が残っていない状況でした。税理士から見せられた試算表を見ると、原価率が昨年度よりも5%も高くなっていました。現場で見ている限り調理方法などは特に今までと同じなので、原因が分からず悩んでいました。

飲食店において原価率を管理することは経営の生命線となります。なぜなら、食材やドリンクは家賃などの固定費とは異なり、売上が増える分、一緒に増える変動費だからです。原価率が高くなってしまうと、売上が増えても手元に残る利益は少なくなってしまうという怖い現象が発生しています。

原価率が高くなるのは、食材・ドリンクの仕入、調理、販売のどこかの工程に原因があります。どの工程に原因があるのかによって取るべき対策が異なるため、どの工程に原因があるのかを見極める必要があります。

たとえば、食材・ドリンクの仕入の工程では、仕入業者の価格が見直され、いつの間にか高くなっていることも原因として考えられます。その場合は、仕入業者を変えることにより原価率を低く抑えることができます。

なお原価率を見る際は、2カ月平均で見ると正しい数値が見えると言われています。特に棚卸を行ってない場合は、必ず2カ月平均で見るようにしましょう。原価率を管理できているお店は2カ月平均で見ると上下の変動は小さくなります。

飲食店の原価率を低くコントロールするためには

その後Eさんは、食材・ドリンクの仕入、調理、販売の工程のどこに原因があるかを調査したところ、①5年前は地域で一番安い食材業者であったはずが、半年前に値上げしており、今はかなり高く食材を仕入れていたことが分かりました。(仕入工程に問題あり)

また、②最近、売れ筋の商品が原価率の高い商品ばかりになっていることが判明しました。(販売工程に問題あり)

そこで①仕入業者を安い業者へ変更し、②売れ筋の商品を利益のとれる商品へ変えるようメニューブックを作り直すことで、原価率を低く抑えることに成功しました。

飲食店の利益アップの基本は原価管理から!
お店の食材・ドリンクの仕入、調理、販売の工程ごとの状況の把握と対策を打つことが重要です。