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財務省 国税庁の業務用車の使い方に“喝”  業務効率上げレンタカー利用の削減促す

財務省はこのほど、業務用車の利用に当たって外局である国税庁に「喝!」を入れた。財務省は平成26年の調査で、国税庁に対して、業務用車の使用方法の改善を促していた。ところが、同29年の調査でも一部改善は見られたものの、局署間での取組みに大きな差があったことが分かった。

財務省の今回の指摘は、このほど公表した「2017年度予算執行調査結果」の中で行われたもの。

予算執行調査は、財務省主計局の予算担当職員及び、日常的に予算執行の現場に接する機会の多い財務局職員が、各省庁の予算の執行実態を調査して、改善すべき点等を指摘する一方で、予算の見直しや執行の効率化等につなげていくもの。

具体的には、調査事案の必要性、有効性、効率性について調査を行い、事業等の廃止を含め、今後の改善点、検討の方向性を指摘する。

2017年度予算執行調査は、今年3月に調査対象を選定し、52件にわたり実施され、調査が終了した37件について記載されている。

この37件には、新規項目の調査とともに、必要に応じて調査後の状況を確認するためのフォローアップ調査も含まれる。国税庁に対する業務用車の稼働率及びレンタカーの利用状況の調査もその1つで、この項目に関しては、3年前の平成26年(平成25年度実績)の実施結果に基づく改善点がどのような状況になっているのかが調査された。

交通の利便性を考慮して配車

官公庁で使用される車には、運転手付きで専ら幹部クラスが移動用として利用する「公用車」と、それ以外の用途に利用する「業務用車」がある。国税当局の場合は、税務調査や税金の徴収、滞納処理等を行う際の移動手段として電車やバスといった公共交通機関のほか、業務用車を使用する。首都圏の国税局及び管内の税務署、地方の国税局管内の税務署でも比較的都市部の税務署であれば、電車やバスの本数もあり業務への支障は少ないだろうが、地方都市の駅から離れた税務署では、業務用車は必須となる。そのため、各局署の調査・徴収担当職員、管内の交通機関の状況や管内面積の状況等を勘案して、国税庁が業務用車を割り振る。また、業務用車が一時的に不足する場合や広域案件の際などは、レンタカーを使って対応している。

国税当局への調査は、全国の12国税局(所)及び524税務署で使用している業務用車の稼働率と業務用車が不足している場合に代替手段として使用しているレンタカーの利用状況について、3年前の平成26年度に指摘した事項等の改善がみられたかどうか(なお、レンタカーの調査では、出張時の利用は除かれている)。 ちなみに、前回調査(2016年3月末時点)では、(1)業務用車の稼働率状況では、局署別の稼働率に偏りがみられ、各国税局(所)間での比較においても偏りがあったこと、(2)レンタカーを年間で延べ100台以上利用している局署が42あり、この 42局署の年間利用延べ台数は3万219台で全体の約9割にのぼること、が把握され、各国税局(所)内及び全国税局(所)横断的な配備の見直しと状況を精査したうえで優先的な業務用車を割り当てることにより、レンタカー総使用料を削減すべきとの指摘が行われていた。

業務用車は全国で4701台

今回のフォローアップ調査(2017年3月末)時点の全国の配備台数は、3年前と比べ28台増えて4701台となっていて、局(所)別でみると最も多いのは、埼玉や新潟など6県を管轄する「関東信越国税局」の716台で、以下、「名古屋国税局」681台、「大阪国税局」551台と続き、「東京国税局」はやはり交通機関が発達していること等からか217台と少ない。また、前回に比べ関東信越国税局が16台増台した反面、大阪国税局が27台減台している。

 

(表1) 各国税局(所)署数及び業務用車の配備台数(台)

業務用車の平均稼働率全く変化なし

業務用車の平均稼働率(各国税局(所)の業務用車の稼働日数を開庁日日数で割ったもの)は全国ベースで57.8%(前回57.8%)と変化は見られなかった。また、局署別でみると、平均稼働率60%以上が前回の170局署から167局署と3減少、50%未満は142局署から130局署と12減少、40%未満が12局署から14局署と2増加するなど、数字的には改善されていない。

ちなみに、局署ごとの稼働率の最大値は88.7%(前回91.2%)、最小値は25.5%(同22.6%)となり、4日に1日程度の利用に止まっている署もあった。
(表2) 業務用車の稼働状況

その一方、レンタカーの利用状況では、年間利用延べ台数の合計が2万3370台と、前回調査の3万5831台より1万2461台減少した。

国税局(所)別に見てみると、札幌国税局を除き利用台数は減少しており、最も減少したのは名古屋国税局で、前回調査時の7504台から1889台と、5616台減らした。

前回調査時に年間延べ100台以上利用していた42署のうち、33局署で業務用車の配備見直し等が行われた結果、レンタカー依存度(各国税局(所)の業務用車とレンタカーの利用日数に占めるレンタカー利用日数の割合)も3万292台から1万9398台まで減少し、改善されていた。

一方で、新たに52局署が業務用車の稼働率が低下しているものの、レンタカー依存度が上昇していることも判明。局署間での取り組み姿勢に差が見られた。
(表3) レンタカーの利用状況

業務用車の効率的配備とレンタカーの経費削減を求める

財務省では、これらの調査結果受けて、改善点及び検討の方向性として次の点を挙げている。

まず、業務用車の稼働状況については、「なお局署間の稼働率に差が見受けられることから、その原因を分析し、各国税局(所)内での配備の見直しに加え、全国税局(所)横断的な見直しを積極的に進め、より効率的な利用を早急に図るべき」と分析している。また、レンタカーの利用状況については、「全体的な依存度は減少しているが、局間において依存度に差が見られることから、各局(所)各署横断的な業務用車の 配備見直しを図り、効率的な業務用車の利用を行うことで、レンタカー借上経費の削減を図るべき」と指摘した上で、平成30年度概算要求や今後の予算執行に確実に反映するよう要請した。

官庁の中でも予算及び予算の執行について国民から厳しい目を向けられる財務省・国税庁。9月には明らかになる30年の国税庁の予算の要求内容が注目される。

著者: イーター侍

税金ライター/元税金専門誌編集者

四半世紀以上、税金専門誌の編集者として国税庁、国税局、税務署、会計事務所に出入りする。数年前に独立した後、編集者時代に築いた人脈をいかし、ネットワークビジネスを手がける。その傍ら、趣味と副業を兼ねて税務関係ニュースを追いかける“中年ライター”だ。

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