入国旅客の利便性の向上を図るため、到着エリア内に到着時免税店の設置が可能となりました。これを受け、成田空港では9月初旬に到着時免税店の開設が予定されています。新たなショッピングスタイルが生まれそうです。また、消費税が免税となる輸出物品販売場の許可を受けた酒類製造場において、訪日外国人旅行者に販売する酒類について酒税が免税となりました。「酒蔵ツーリズム」の振興により、日本産酒類の認知度向上を通じた輸出促進が期待されます。
1 到着時免税店制度の創設
入国旅客の利便性の向上等の観点から、全国各地の空港等の到着エリアにおいて、免税店(いわゆる「到着時免税店」)の設置が可能となりました。これにより、外国の免税店等で販売されている免税品と同等のものを到着時の空港等で購入できるようになります。
到着時免税店において購入した物品は、現行の携帯品免税制度(注)の対象に追加されます。
(注)携帯品免税制度:旅行者が海外で購入した物品を携帯して入国する際に、関税及び内国消費税(たばこ税・酒税を含む。)を一定の範囲で免税する制度(酒類3本、外国製たばこ1カートン、国産たばこ1カートン等のほか、合計額20万円まで(1万円以下のものは20万円の枠外で免税))。
入国旅客の免税品購入の流れ(イメージ)
空港到着時の免税店、成田の第2ターミナルに9月初旬オープン
成田国際空港は2017年6月29日、第2ターミナルの国際線到着エリアで、9月初旬に「到着時免税店」2店舗をオープンすると発表しました。空港関係者は、「到着時免税店を開設することにより、日本人のお客様は帰国時に免税品を購入でき、旅行中に重い荷物を持つ必要が無くなり、また、訪日外国人のお客様も到着時に免税品のお買い物ができるなど、これまでにない便利なショッピングスタイルをお楽しみいただけるようになります」と語っています。
なお、第1ターミナルと第3ターミナルでも到着時免税店の整備が進行中で、いずれも2017年内のオープンが予定されています。
2 輸出酒類販売場制度(酒蔵ツーリズム免税制度)の創設
地方創世の推進や日本産酒類のブランド価値向上等の観点から、「酒蔵ツーリズム」(注)の魅力を高めていくために、消費税が免税となる輸出物品販売場の許可を受けた酒類製造場において、訪日外国人旅行者へ販売する酒類について酒税を免税とする制度が創設されました。
(注)「酒蔵ツーリズム」とは、酒蔵を巡り、地酒を味わい、そのお酒が育まれた土地を散策しながら郷土料理や伝統文化を楽しむことをいいます。
◆場所:輸出物品販売場(訪日外国人旅行者向け消費税免税店)の許可を受けた酒類製造場(酒蔵)
◆物品:酒類(日本産酒類の全品目が対象)
この改正は、平成 29 年 10 月1日以後に輸出酒類販売場から移出する酒類について適用します。また、輸出酒類販売場の許可については、平成 29 年4月1日から申請を受け付けます。
制度創設により期待される効果
日本産酒類の輸出促進に向けて取組を進めてきた成果として、以下の通り、平成27年の酒類の輸出金額が、約390億円と過去最高を記録しました。この制度の創設により、外国人旅行者が「日本の酒」をより買い求めやすくなり、増加する外国人旅行者の地方への誘客が見込まれます。これにより今後、外国人に全国各地で「日本の酒」を体験してもらい、世界に知られていない「日本の酒」の魅力を知ってもらうことで、更なる輸出拡大が期待できそうです。
【参考】
『1.8L、アルコール分15%、税込価格2千円』の清酒については、酒税216円、消費税148円、合わせて364円が課税されています(酒税と消費税を合わせた税負担率は、約18%)。このことから、酒税の免税効果は大きいものといえます。