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会計事務所の担当者が、AIに請求書の画像を読み取らせ、日付と金額の一覧を作らせるとします。担当者は、AIが作った一覧を元の請求書と見比べ、読み間違いがないか確かめます。前回は、このようにAIに任せる作業と、人が確認する作業を分けて考えました。
では、請求書の画像をAIに読み込ませる前に、何を確かめればよいのでしょうか。サービスの提供元から「入力した資料をAIの学習には使いません」と説明されても、資料を外部のサーバーに送るのか、処理後に保存するのかまでは分かりません。
私は、AIに資料を読み込ませる前に、その資料の処理先を確認し、事務所での利用記録の残し方も決めておくべきだと考えています。
請求書の読み取りは、どのコンピューターで行うのか
PCの画面でAIを操作していても、請求書を読み取る処理がそのPCで行われるとは限りません。画面はPCに表示し、実際の処理はインターネット経由で接続したサーバーで行うサービスもあります。
まず、請求書を処理する場所を確認してください。自分のPCに入れたAIで、読み取りから一覧作成まで終わるのか。事務所が自分でAIを動かしているサーバーで処理するのか。AIサービスの提供元が運用するサーバーへ請求書を送るのか。さらに、提供元が別の会社に処理を委託しているのか。
たとえば、契約したサービスが、請求書の読み取りを別の会社のAIに依頼する場合です。利用者が契約している相手は1社でも、請求書の内容を受け取る会社はその1社だけとは限りません。提供元に、委託先にも資料が渡るかを確認すべきです。
処理や保存を行う国も確認が必要です。所属する会計事務所の資料の取扱規程や顧問先との契約に保管場所の条件がある場合は、その条件に合うかを確かめる必要があります。委託先があれば、その会社が処理・保存を行う国も確認の対象です。
図1 自分のPC、事務所がAIを動かすサーバー、サービスの提供元、提供元の委託先を区別して確認する。処理・保存を行う国も確かめる。
「学習に使わない」と「保存しない」は別の確認事項
「学習には使いません」という説明を聞くと、請求書が処理後すぐに消えるように感じるかもしれません。しかし、AIの学習に使うかどうかと、資料を保存するかどうかは別です。
提供元に確認すべき点は4つあります。
第一に、請求書の画像や読み取った内容を、外部のサーバーへ送信するか。第二に、送信した画像や内容を処理後も保存するか。保存するなら、保存期間と削除の方法はどうなっているか。
第三に、資料をAIの学習に使うか。第四に、提供元や委託先の担当者が資料を閲覧することがあるか。人が見る場合は、不具合の調査など、どのような条件で、誰が、どこまで見られるのかを確認する必要があります。
利用規約、プライバシーポリシー、提供元の説明資料を読む際は、利用するプランと機能に当てはまる条件を確かめてください。書かれていない点は、提供元に質問すべきです。
「PC内で処理する」場合も、何を通信するかは確かめる
資料をPC内で処理するAIでも、ソフトの更新や、AIを動かすためのファイルのダウンロードには通信が必要なことがあります。通信があるというだけで、請求書も外部へ送っているとは判断できません。何のために、どの情報を通信するのかを分けて確認する必要があります。
利用するサービスについて、PC内で行う処理と、外部へ通信する処理を提供元に確かめてください。設定によって外部送信の有無が変わるなら、どの設定で送信されるのか、現在の設定をどこで確認できるのかも、質問に含めてください。
AIに読み込ませる資料を減らす
提供元が資料をどう扱うかを確認したうえで、その作業に必要な資料だけで済まないかも検討してください。
たとえば、請求書を会計帳簿へ入力するために日付と金額を読み取るなら、取引先名や税率など、ほかに必要な項目もあります。目的に必要な情報まで削れば、作業ができなくなります。
一方、担当者が確認した集計結果から、上司に経費の増減を説明する文章の下書きを作るだけなら、請求書の画像を全部送る必要があるかは考え直せます。集計後の金額と担当者が確認した増減の理由だけで下書きを作れないか、検討するとよいでしょう。
この場合も、集計後の数字や取引先名が入った要約なら、送信してよい資料かどうかの確認は必要です。資料を短くしただけで、顧客情報が含まれなくなるわけではありません。



