監査実務経験を積んだ会計士のなかには「そろそろ監査以外の仕事をしてみたい」と考える方が少なくありません。自分と同じような経歴の会計士がどのようなキャリアを歩んでいるのか?年収はどうなるのか?気になっている人は多いようです。監査法人からのキャリアパスと年収について、大まかな傾向を解説していきます。

事業会社への転職
事業会社の経理・財務、経営企画職への転職は、公認会計士のキャリアとしてスタンダードになりつつあります。通常の経理・財務ポジションはもちろん、M&Aや経営企画関連のポジションでの採用も増えてきています。IPOを目指す成長企業では、CFO候補としての採用も増加傾向です。年収は長期在籍をすれば高い水準で確保されますが、細かな規定に則って出されるため、社内バランスを大きく逸脱してのオファーは期待できません。しかし、長期的な目線で見ると、新しい経験やスキルが身に付くことによる先々のキャリアアップも考えられるため、一時の年収以外の要素もよく考慮することをおすすめします。
FAS・会計系コンサルティングファームへの転職
監査経験を積んだ会計士に人気の転職先のひとつとして、会計系コンサルティングファームがあげられます。デューデリジェンスやM&Aアドバイザリー、IPO支援など会計や監査の知識を生かせる業務が多数あるため、転職後も比較的スムーズに業務に入っていくことができます。しかし、監査法人から会計系コンサルティングファームへの転職の場合、10~15%程度年収が下がる傾向にあるため、年収を大きく下げたくないという場合は、監査法人のアドバイザリー部門を検討してみることも一つの方法です。
監査法人のアドバイザリー部門
アドバイザリー未経験であっても、ある程度現年収を維持したまま仕事内容を変えることができます。内部での異動が難しい方は、アドバイザリー分野に強い法人へ転職してみるのも一つの手です。
税理士法人・会計事務所
税務を身に付けておきたいと考える公認会計士の方も多いです。中小企業の事業承継や相続に関わることができれば、次のステップの布石とすることができます。しかし、キャリアとしては一からのスタートとなり、年収は大幅にダウンすることも。組織再編、M&A、再生支援に伴う財務デューデリジェンスから入れる法人を選べば、監査経験を生かせるでしょう。
転職は長期目線で考えよう
公認会計士の活躍フィールドは年々広がりつつあります。転職により一時的に年収が下がることがあるのは事実ですが、長期的な目線で見れば、新しいナレッジを身につけたことによって将来前職を上回る収入を得る可能性は十分にあります。また、刺激を受けることでモチベーションを高く保ったまま働き続けることもできます。転職を考えるときは、一時的な要素だけではなく、長期的な目線でよく考慮することをおすすめします。転職やキャリアに関してお悩みの方は、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。