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マスコミ報道から見る!最近の脱税事情について

儲けがでると、税金を安くしたいと思うのは人情かもしれない。しかし、節税が行き過ぎてしまうと、脱税になることもある。そこで今回は、最近のマスコミ報道から3件の事件を取り上げ、脱税問題に絡む諸事情について考えたい。

■社員の不正による所得隠し

2017年8月上旬の朝日新聞の記事は、自社のグループ会社である『朝日広告社』の所得隠しを伝えている。2016年3月期までの6年間に1億円の所得隠しがあり、社員2人が会社の接待費を捻出するために、外注経費を水増ししていたというのだ。

取引先に水増しした経費を払ったうえで、一部を還流させて接待費として使っていたのだろう。結果として、税務署に申告する会社の儲けが、そのぶん少なくなっているというわけだ。会社は重加算税を含め5600万円の追徴課税をされ、従業員2人は処分を受けることとなった。

接待費は予算で管理されているため、関与した社員は、会社が決めた枠を超える接待費が必要になり、取引先と組んで経費の水増しを図ったことが憶測される。税の専門家なら、注意してこの記事を読みたいのが、社長の行為であっても重加算税が賦課されている点だ。一般的には、役員なら会社の行為と同一と判断されたことが多いが、このケースではあくまで社員だ。どこまで責任ある立場にあったのか、一連の報道からは分からない。うがった見方をすれば、重加算税で手を打つ理由がほかにあったのかもしれない。

会社ぐるみとはいえないが、会社には「関係者が不正行為を働いて会社に損害を与えること」を防ぐ仕組みを作る義務があるため、会社の統治機構がうまく働いていなかったと言える。会社の規模が大きくなってきたら、構造的に不正ができない仕組み作りを心がけることが大切だ。

■会社ぐるみの所得隠し

次に紹介したいのが、会社が不正を働いたケースである。9月上旬の毎日新聞は、名古屋のリース会社「丸商物産」の所得隠しを伝えている。値下がりした土地を元社員に売り、7000万円の損失を計上して、納税額を減らした架空取引を行った。

正当な経済的理由があって土地を売却したのであれば、なんら問題のない取引であるが、会社はこの元社員に土地を買う資金を貸しつけたうえに、土地の買戻しも約束していた。

国税局は、元従業員への土地売却と貸付金の処理は、利益調整のための所得隠しとして認定、会社に対して追徴税額として重加算税を含めて3500とみられる。見た目は税額を低くするための節税策にもみえるが、正当な理由なく税額を下げる行為は否認される。とくに、「隠蔽・仮装」行為は税のペナルティとして重加算税の対象となるだけに、適正申告を心がけたい。

■個人による所得隠し

最後に紹介したいのが、個人の所得隠しだ。これは、10月上旬の日本経済新聞の記事で、尼崎市にある金属加工会社の役員の相続税脱税事件である。母親からの相続財産の一部を申告せず、1億3千万円の脱税をしたとして、国税局は神戸地検に告発している。

報道によると、相続財産の預金約15億円のうち、約2億6千万円を申告していなかった。手口としてはもっとも簡単な意図的な過少申告だ。

ただ、この報道のケースでは、査察から検察に告発されていることからすると、単純な過少申告ではなく、極めて悪質な行為だったと分かる。とくに、マスコミ報道されていることを考えても最上級クラスの悪質行為と判断されていることが推測される。

銀行預金は反面調査で国税当局はほぼ把握しており、自宅などに保管していた現金なども相続税調査においては厳しく確認される。また、その税金が相続人名義であっても
調査によって名義預金と判断されると、被相続人の財産として課税される。

相続税は、今後も引き上げられる公算が強いとみられているため、早めに専門家に相談して、関係者の間で計画的な財産引継ぎを図るのが手堅い対策といえるだろう。

■おわりに

以上は、3件とも国税当局によって脱税が発覚した事件である。税金対策も、節税策と脱税の境目をよく認識して、賢い行動をとるように心がけていただきたい。

参照
朝日新聞「朝日広告社が1億円所得隠し 東京国税局が指摘」
http://www.asahi.com/articles/ASK874D79K87ULZU008.html
毎日新聞「「丸商物産」が1億円 名古屋国税局から指摘」
https://mainichi.jp/articles/20170907/k00/00m/040/170000c
日本経済新聞「相続税1.3億円脱税 大阪国税局、尼崎市の金属加工会社役員を告発」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22032730X01C17A0AC8000/

著者: KaikeiZine編集部

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