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女性記者のひとりごと vol.31 税法と民法

…トボケているのは私だった。法務省が提示した優遇案は、あくまで民法上の話。贈与税の配偶者控除を適用して贈与した財産でも、贈与者の死亡後は、特別受益として遺産分割協議や遺留分減殺請求の対象となってしまい、配偶者が住宅を確保できない可能性がある。

相続時における配偶者優遇策を盛り込んだ民法改正法案が今国会に提出されている。

長年連れ添った夫婦間で生前贈与や遺言による遺贈があった場合、贈与(遺贈)された配偶者を相続シーンで優遇するという内容。

対象となるのは、婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用の家屋や土地の贈与があったケース。贈与者の死亡後に相続人たちが遺産分割する際、配偶者に贈与された居住用財産については遺産の計算に含めないことになる。
ようやくここまで来たか、と思う。

1年ほど前、この法務省案を新聞報道で知ったときの私の反応↓

「はて、どこかで聞いたような…?」
「そうだ、贈与税の配偶者控除だ」

「相続税法には、20年以上連れ添った夫婦間で住宅や住宅取得資金の贈与が行われた場合に、2千万円まで非課税とする贈与税の配偶者控除の規定があるけど、これって相続開始前3年以内の贈与でも持ち戻ししないんじゃなかったけ?」
「それなのに、また『遺産に含めない』なんて…。法務省はトボケてるね〜」

…トボケているのは私だった。

法務省が提示した優遇案は、あくまで民法上の話。

贈与税の配偶者控除を適用して贈与した財産でも、贈与者の死亡後は、特別受益として遺産分割協議や遺留分減殺請求の対象となってしまい、配偶者が住宅を確保できない可能性がある。

税法と民法は別物だからだ。

今回の改正法案は、相続税法の「贈与税の配偶者控除」の考え方を民法にも連動させるもので、遺された配偶者が住宅を確保しやすくなるとともに、住宅以外の遺産についても取り分を得やすくなるという。

税金の記者を長くやっているのに、税法と民法をごっちゃにしていたとは…ああ恥ずかしい。

カッコ悪いからこのことは内緒にしておこう。

著者: 川瀬かおり

記者/税金ライター

社会部を根城とする税金オタクの女性記者。財務省・国税庁を中心に取材活動を展開すること20余年。事件モノを得意とし、裁判所にも日参する。税金ネタをこよなく愛する一方で、税制の隙間や矛盾を見つけては叩きまくるサディスティックな一面も。趣味は夜討ち朝駆けとクラブ通い。

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