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創業(3年)で倒産しないために…!知っておきたい開業準備のオキテ ~創業融資編 【融資可能額】~

飲食店の開業には少なくとも1千万円ほどかかると言われているため、自己資金だけで賄える人はほとんどおらず、大半の開業予定者が創業融資を避けては通れません。今回は、「創業融資はいくらまで受けることができるのか?」について紹介します。

創業融資はいくらまで受けることができる!?

都内で居酒屋を開業希望のNさんは、開業資金を調達するために日本政策金融公庫から創業融資を受けようと考えています。日本政策金融公庫のHPやパンフレット等で調べて見たけれど、いくらまで融資を受けることができるのかが全く分からず悩んでいました。

日本政策金融公庫が行っている創業融資は一つでなく新創業融資など複数の商品があります。また、日本政策金融公庫のHPやパンフレットには商品ごとの融資限度額の記載はありますが、実際の融資額の目安などは明確に記載されておらず、「自分はいくらまで融資を受けることが可能なのか!?」が不明瞭です。

飲食店を開業するためには物件取得、内装工事や厨房機器の購入、運転資金など多くの資金が必要となるため、自分がいくら資金を用意できるのかを明確にしないまま、開業準備を進めることは非常に危険ですし、融資可能額が商品の選択をする際の判断基準にもなるため、事前に融資可能額を把握しておくことは非常に重要です。

飲食店の創業融資の融資可能額は自己資金によって判断できる!

その後Nさんは、飲食店専門の税理士に相談し、開業予定のお店の投資計画と現在の自己資金の額等から融資可能額についてアドバイスを受け、日本政策金融公庫の複数ある創業融資制度の中から最適な商品を選択することができました。融資可能額を事前に把握することで、お金をかける部分とそうでない部分を事前に明確にできるようになりました。

日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金について厳しく審査されます。開業希望者は事業の実績がまったくないので、自己資金を審査することで開業準備の本気度を客観的に把握することできるためです。そのため自己資金の審査では「金額」だけでなく「資金の履歴」についても確認されます。毎月、通帳や給与明細書などを基に開業に備えて積み立ててきた資金なのかを通帳を基に厳しく精査されます。

代表的な新創業融資という商品では、自己資金要件が存在します。この自己資金要件によると「開業資金の10分の1」まで自己資金を用意する必要があります。つまりは、自己資金の9倍まで制度上は借入をすることができるわけです。例えば、100万の自己資金であれば900万まで融資を受けることができます。

しかしながら、これはあくまで制度上の上限額の話です。近年の改正により「開業資金の3分の1」から「開業資金の10分の1」まで自己資金要件を下げられましたが、飲食店の場合、実際、自己資金の9倍まで借入をできるという事例はほとんど無いでしょう。(少なくとも私は見たとことはありません。)
なぜなら、融資の割合が大きいとその分借入金の返済負担が大きくなり、毎月の返済額負担が大きくなるためです。初期投資に多額の資金が必要となる外食業の事業モデルを鑑みると、毎月の資金繰りにて困らないためには、やはり自己資金は開業資金の3分の1以上が必要といえるでしょう。また、日本政策金融公庫の担当者も未だに審査上、開業資金の3分の1を一つの目安にしている担当者も多くいるそうです。

飲食店において創業融資を受ける場合には自己資金の2倍までを融資可能額(開業資金の3分の1を自己資金で用意する)と考えておく方がよいでしょう。融資可能額を増やしたい場合は、時間をかけて自己資金を増やすという準備が必要になります。

飲食店開業の第一歩は自己資金の確保から!創業融資を有利に進めるためにも自己資金をしっかり準備することが重要です。

著者: 水野剛志

Credo税理士法人代表/税理士・経営コンサルタント

富山県出身で醤油屋の次男として誕生。慶應義塾大学商学部卒業後、税理士法人山田&パートナーズ、アビームコンサルティング(株)、OAG税理士法人/㈱OAGコンサルティングを経てCredo税理士法人/Credoコンサルティング事務所を設立。飲食店を専門に開業支援や多店舗展開支援を年間50件以上実施するなど、財務戦略に基づいた飲食店の繁盛店の仕組みづくりに強みを持つ。
■Credo税理士法人
http://credo-tax.com

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