飲食店の開業には少なくとも1千万円ほどかかると言われているため、自己資金だけで賄える人はほとんどおらず、大半の開業予定者が創業融資を避けては通れません。創業融資を受ける際に重要となってくるのが自己資金です。そこで今回は、「どこまでが自己資金にあたるのか?」について紹介します。

自己資金とは!?

神奈川県で焼肉店を開業希望のOさんは、開業資金を調達するために日本政策金融公庫から創業融資を受けようと考えています。融資の審査で自己資金のチェックがあると先輩経営者から教えてもらいましたが、どこまでが自己資金にあたるのか分からず悩んでいました。

飲食店を開業するために創業融資を受ける場合、自己資金として開業資金の約3分の1程度用意する必要があります。なぜ3分の1程度を用意した方がよいのかは前回のコラムの創業融資編【融資可能額】を参照いただければと思います。この自己資金を用意するときに、どこまでが自己資金にあたるのでしょうか?

自己資金とは、その名前のとおり「自分で用意する資金」のことを指しますが、融資の審査では「資金の履歴」が特に重視されます。通帳のコピーなどを確認し、開業に備えて積み立ててきた資金か、借金などで一時的に手にした資金かを見定めるわけです。もちろん後者は自己資金とは認められません。同様に、現金も履歴の確認ができないため、自己資金とは見なされないので注意しましょう。

自己資金であることを証明できるよう履歴を残して貯めていくことが重要!

その後Oさんは、飲食店専門の税理士に相談し、自己資金の貯め方についてアドバイスを受け、自分で貯めてきたお金に加えて、両親からの援助資金100万円についても贈与契約書を日本政策金融公庫へ提出することで自己資金として認めてもらい、融資金額を増やすことに成功しました。

親や友人等からの資金援助が自己資金に含まれるか?否かは、「もらったもの(贈与)」なのか、「借りたもの(借入)」なのかで異なります。贈与であれば自己資金と認められます。ただし、親が資金をどうやって工面したのかを確認する場合もあり、借金をして資金を集めていれば自己資金とは認められません。一方、借入であれば無利子で返済期限を設定していなくても借入金と同じ扱いになり、自己資金には含まれません。

「もらったもの(贈与)」であることを証明するために、親からの贈与であっても贈与契約書をしっかりと作成しておくことをお勧めいたします。なお、110万を超える贈与の場合、贈与税の申告が必要になるので注意が必要です。

また自己資金は、融資申込時点の金額で判断されますが、半年前に使った設備などのお金も領収書などを提出すれば、自己資金と認められますので、領収書などはしっかりと保管しておきましょう。

飲食店開業の第一歩は自己資金の確保から!創業融資を有利に進めるためにも自己資金をしっかり準備することが重要です。