平成30年税制改正では、外国人旅行者向けの消費税免税制度の利便性向上策が盛り込まれました。また、近年大幅に増加し、社会的な問題となっている金の密輸入に対応するための罰則の引き上げが行われました。

■外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の拡充

訪日外国人旅行者が日本で買い物した際の、消費税の免税制度が拡大しました。現行では、免税販売のためには、「一般物品」と「消耗品」のそれぞれで下限額の要件(5,000円以上)を満たす必要があり、それぞれ5,000円以上となれば免税対象となりました。これについて外国人旅行者からは、商品購入時の「一般物品」と「消耗品」の判別が難しい等の不満の意見が多数寄せられていました。

今回の改正では、免税販売の下限額の判定に際し、「一般物品」についても特殊包装を行う等を条件に、「一般物品」と「消耗品」の購入額の合算が認められることとなりました。したがって「一般物品」と「消耗品」の購入額を合算して5,000円以上となれば免税の対象になります。この改正は、平成30年7月1日から適用されます。

(出典:財務省資料)

■外国人旅行者向け免税制度における手続きの電子化

外国人旅行者の利便性の向上及び免税店事業者の免税販売手続きの効率化を図り、外国人旅行消費のより一層の活性化と地方も含めた免税店数の更なる増加を図る観点から、紙による免税販売手続(購入記録票のパスポートへの貼付・割印)を廃止し、免税販売手続が電子化されました。

これまでは、外国人旅行者は免税店において旅券に購入記録票を貼り付け、割印を受けることが免税販売の要件とされていたため、「購入記録票が貼られた結果、パスポートが分厚くなった」等の声が多数ありました。また、免税店からも、「購入記録票をパスポートに貼付、割印する手続きに時間がかかる」との指摘もありました。今回の改正によりこうした問題点の解決が期待されます。

この改正は、平成32年(2020年)4月1日以後に行う免税販売について適用されます。ただし、平成33年(2021年)9月30日までは、紙による免税販売手続も認められます。

(出典:国土交通省資料)

■金の密輸に対応するための関税・消費税の罰則強化

近年、金の密輸事件が多発し、社会的に大きな問題となっています。財務省の発表によれば、2017年の1年間に全国の税関が摘発した件数は前年比66%増の1,347件と過去最高を4年連続で更新。消費税増税前の13年は12件で、4年で100倍以上に増加しました。2017年の密輸では韓国、香港、台湾の3カ国・地域からの密輸が9割ほどを占めました。

こうした金の密輸に対する抑止効果を高め、密輸者に一層の経済的不利益を与える観点から、関税法上の無許可輸出入罪等の罰則、及び輸入に係る消費税のほ脱罪の罰則を、次の通り強化することとされました。

 

≪関税法上の無許可輸出入罪の罰金上限額≫

≪関税法上の無許可輸出入罪の罰金上限額≫

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