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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:居住者と非居住者③ 居住者・非居住者の判定(ケーススタディ)

居住者か非居住者かによって、課税範囲や課税方法などが異なるため、居住者・非居住者の判定は正確に行う必要があります。海外での勤務期間が明確に決まっていない場合や、状況の変化により滞在期間が変更となった場合はどのように判定するのでしょうか。

【ケース1】海外での勤務期間が明確に決まっていない場合

社員Aは、本年4月より同社の香港支店に勤務することとなり、4月2日に出国しました。香港支店での勤務期間については決まっていません。この場合、Aの居住形態は?

 

(回答)

出国の日の翌日から、非居住者となります。

国内又は国外で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合には、その者は、それぞれ国内又は国外に住所を有する者と推定されます(令14,15)。しかし、国内又は国外の支店に勤務するためにその地に居住することとなった者については、必ずしもその地における在留期間が予め契約等により定められていない場合もあります。また、定められていない場合でも、通常は、相当の期間にわたって継続してその地に居住することが予定されているものと考えられます。

そこで、所得税基本通達3-3において、その在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除き、これらの者は、その地において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有するものとして取り扱うことになっています。

このケースでは、香港での勤務期間が決まっていないとのことなので、「香港での在留期間が1年未満であることが明らか」とはいえません。したがって、Aは、香港において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有するものとして、出国の日の翌日から非居住者に該当するものとして扱われます。

【ケース2】状況の変化により滞在期間が変更となった場合

①外国人Bは、東京支店に2年間勤務する予定でフランス本社から来日しました。しかし、業務の都合により1年未満で本国での勤務となり帰国しました。この場合、Bの居住形態は?

②外国人Cは、1年未満の予定で東京支店に赴任しました。しかし、プロジェクトが当初の予定以上に長引いたため、東京支店での勤務期間が1年以上になりました。この場合、Cの居住形態は?

③社員Dは、ベトナム支店に3年間の勤務予定で平成27年6月に出国しました。しかし、業務の都合で平成28年3月に帰国し国内勤務となりました。この場合、Dの居住形態は?

 

(回答)

事情変更が生じて勤務期間の変更があった場合には、事情変更が生じたときに居住者・非居住者の再判定を行うこととなりますが、遡及して居住者・非居住者の区分が変更されることはありません

①当初、東京支店に1年以上勤務する予定で来日した外国人Bは、入国の当初から居住者として扱われます。その後、勤務期間が1年未満となることが明らかになった場合には、その明らかになった日から非居住者となります(入国時に遡及して非居住者となることはありません)。

②当初1年未満の予定で来日した場合には、非居住者として扱われますが、その後状況が変化し、勤務期間が1年以上となることが明らかとなった場合には、その明らかとなった日から居住者となります。

③Dは、3年間の予定でベトナム支店にて転勤しましたので、出国の日の翌日から非居住者となります。その後の事情変更により結果的にベトナムでの勤務期間が1年未満となりましたが、遡って居住形態を変更することはありません。ベトナムでの勤務期間が1年未満となることが明らかになった日から居住者となります。

 

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租税調査研究会事務局
tax@zeimusoudan.biz

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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