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景気回復の実感ナシもサラリーマンの平均給与は10万円超アップ

2017年の1年を通じて勤務したサラリーマンやOLの平均給与が、前年に比べ10万円以上増加し、432万円になったことが、国税庁がさきごろ公表した「平成29年民間給与の実態調査」(民給)で分かった。アベノミクスの成果が労働者の賃金にも反映してきているわけだが、景気回復を実感している納税者はどのくらい居るのだろうか。

国税庁発表の「民給」は、民間事業所での年間の給与実態を給与階級や事業所規模別等に明らかにしたもの。国税庁としては、民給で税収を見積り、税務行政運営等の基本資料として活用している。昭和24年分から調査が開始され、以後毎年実施されていて今回で第69回目。ちなみに今回の調査では、標本事業所(標本として抽出された源泉徴収義務者)(2万383所)及び標本事業所に勤務する給与所得者(31万6885人)から得た標本値にそれぞれの標本抽出率及び調査票の回収率の逆数を乗じて全体を推計している。

昨年末現在の給与所得者は5810万人超と過去最高

平成29 年12 月31 日現在で国家公務員等、全従事員について源泉所得税の納税がない事業所の従事員、労働日に給与額が算定され支給を受けるものを除いた民間事業所に勤務する給与所得者は5810万8千人と前年に比べて67万人増え、過去最多を更新した。また、昨年中に民間事業所が支払った給与総額は215 兆7153億円で、こちらも前年より7兆8498億円増加となり、平成25年分から5年連続で200 兆円を超えている。
これにより、源泉徴収義務者数も1万6千件増え353万3千件となり、源泉徴収された所得税額は復興特別所得税含めて10兆390 億円と同10年分以来の10兆円の大台を記録。給与総額に占める税額の割合は4.65%となった。

賞与の伸びは景気上昇の証し!?

平成29年の1月から12月までの1年を通じて勤務した給与所得者数は4945万人と、前年より76万人増えて平成25年分から連続で過去最高を塗り替えた。これを男女別にみると、男性2936万人(前年比2.6%増)、女性2009万人(同0.1%増)といずれも増加し、男性よりも増加率は低いものの女性の給与所得者数は過去最高を更新し、女性の社会進出が伸びている。

(図1)1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与

また、雇用形態を正規・非正規別でみると、正規3288万人(同3.3%増)、非正規1134万人(同1.8%減)と正規雇用が伸び非正規が減っていることから、企業は景気上昇等による人手不足の状況を打開するため労働者が求める「非正規から正規」の雇用へとシフトしている傾向が伺える。
給与所得者数4945万人の給与総額は、213兆7167億円と同28年に比べて8兆4175億円伸び、給与所得者1人当たりの年間平均給与は10万6千円増加の432万円に達した。給与総額が過去最高だった同9年の467万円と比べればまだ35万円も少ないが、リーマンショック以降初めて5年連続増加となった。
平均給与を男女別にみると、男性は10万4千円増の531万5千円(正規548万円、非正規229万円)、女性は7万3千円増の287万円(正規377万円、非正規151万円)。平均給与の内訳は、平均給料・手当が364万円(男性444万円、女性247万円)、平均賞与が68万円(男性87万円、女性40万円)となっている。前年と比べると、給料・手当は男性が1.4%、女性が2.4%増加したのに対して、賞与はそれぞれ5.1%、4.2%増加しており、景気に左右される賞与の伸びが著しいことも景気上昇を証明している。

平均給与トップは電気・ガス・熱供給・水道業

平均給与を事業所規模別にみると、従事員10人未満の事業所では352万円(男性437万円、女性252万円)になっているのに対して、従事員5千人以上の事業所になると507万円(男性672万円、女性272万円)となっており、事業所規模が大きいほど給与が高くなっていることが分かる。また、年齢階層別にみると、男性は55歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、50~54歳の階層(677 万円)が最も高くなっているが、女性は管理職等の割合がまだ低いことから年齢による較差はあまりみられない。業種別の平均給与をみると、インフラ事業の「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高い747万円で、次いで「金融業・保険業」の615万円となっている。一方で、最も低いのは非正規雇用が多い「宿泊業・飲食サービス業」の253万円で、「電気・ガス・熱供給・水道業」は「宿泊業、飲食サービス業」の3分の1と業種間格差が大きいことが分かる。

 

(図2)業種別の平均給与

源泉徴収税額は10兆円目前

1 年を通じて勤務した給与所得者4945 万人のうち、源泉徴収により所得税を納めた者は前年より85万人増の4198万人、その税額は6966億円増の9兆7384億円となり、このまま景気の好調が続けば次年度は10兆円を超えるのも時間の問題となっている。なお、納税者の給与総額に占める割合は4.89%となった。
給与所得者数及び税額を給与階級別にみてみると、年間給与額 800万円超の給与所得者は457万人で、その税額は合計6兆1911億円となっていて、給与所得者の9.3%の者が税収の63.7%を納めていることとなる。
年末調整を行った者は4465 万人おり、このうち配偶者控除または扶養控除を適用した者は30.5%の1363万人で、扶養者がいる者1 人当たりの平均扶養人員は1.46 人。また、配偶者特別控除は123万人で平均控除額は30.3万円だった。平成30年分から配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われていることから、次回の発表が注目される。
その他の控除では、社会保険料控除は3950万人(平均控除額63.9万円)、生命保険料控除は3249万人(同6.8万円)、地震保険料控除は784万人(同1.6万円)が適用を受けているが、このうち地震保険料控除の適用者は、大きな地震の発生が増えていることも影響してか前年より6%増加している。

著者: イーター侍

税金ライター/元税金専門誌編集者

四半世紀以上、税金専門誌の編集者として国税庁、国税局、税務署、会計事務所に出入りする。数年前に独立した後、編集者時代に築いた人脈をいかし、ネットワークビジネスを手がける。その傍ら、趣味と副業を兼ねて税務関係ニュースを追いかける“中年ライター”だ。

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