清原容疑者…。ファンからすれば、これほど屈辱的な表現はない。かつての球界のスーパースターだけにマスコミも世間も騒いでいるが、警察の捜査機関からしたら、密売組織を叩かなければ大した事案ではない。今後の捜査が重要になってくるのだが、密売人が見つかれば、納税していたかも気になるところだ。こうしたスポーツ選手や芸能関係者の麻薬事件でマスコミ報道されないものの、密売人がその売上を納税しているなんて聞いたことがない。そもそも違法商品を販売しているのだから、課税関係はどうなるのだろうか。

日々マスコミを騒がせている、かつての球界のスーパースター清原和博容疑者(48)の覚せい剤所持事件。清原容疑者はプロ野球の西武から巨人に移籍した直後の1996年末、暴力団関係者と知りながら一緒にゴルフをしていたことが99年になって発覚。その際に撮影された写真を巡って金銭を要求されたとして警視庁に相談。その結果、暴力団関係者ら男3人が恐喝未遂容疑で同庁に逮捕されたことがあった。
2008年にオリックスで現役を引退した後は、野球解説者や評論家やバラエティー番組にも数多く出演していたが、14年3月以降、週刊誌が薬物疑惑を伝える記事を度々掲載したことにより、一時はテレビなどメディアから姿を消した。
何かと黒い噂が飛び交った清原容疑者だが、今後、覚せい剤の入手ルートの自白と引き換えに、仮釈放ということになるかもしれない。

麻薬の売上は課税できるのか

入手ルートが分かってくると、売人の逮捕ということになってくるが、こうした事件でほとんど報道されないものの、気になるのが覚醒剤で儲けた売人の納税関係だ。大元の売人も、麻薬などの違法物については、売り上げとして申告していないだろうから、摘発されたら課税関係についても考える必要がある。
「違法な取引への課税は現実的ではない」ものの、実は税法にはこんな規定がある。それは、所得税法基本通達36‐1(収入金額)。そこには「その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」とあり、違法行為によって儲けようと、納税して貰うというのだ。つまり、麻薬売買であっても、その売り上げには課税するということだ。
国税不服審判所も、平成2年4月19日の裁決(裁判でいうところの判決的な意味合い)で、覚醒剤の密輸入・密売で得た多額の利益を申告しなかった事案に対して雑所得と認め、所得の決定及び重加算税の賦課決定を適法だと判断している。

これを受けて、平成3年10月5日に、薬物犯罪収益等の剥奪を目的とした「~麻薬及び向精神薬取締法の特例等に関する法律」が、また平成18年12月1日には暴力団などによる薬物・銃器犯罪など、組織的な犯罪を規制する「組織犯罪処罰法」(被害回復給付金制度も付加されています)により犯罪による収益の没収と追徴(税金では有りません)の特例が施行されている。
つまり現在では、麻薬など違法商品などで得た利益に対しては、「課税」ではなくすべて「没収」してしまうわけだ。