確定申告一番乗り!すでに確定申告を済ませた人もいるようだが、3月に入ると税務署も混雑するので、早めの申告に努めたいもの。税務署に行くと、あれあれ、こんなに部署があるのかとビックリする。せっかく、税務署に行くのだったら、どんな部署がどんな仕事をしているのか、邪魔にならない程度に税務署を観察し、楽しんでほしい。税務署組織について紹介する。

確定申告書の受付窓口を探していると、さまざまな部署が目に入ってくる。一体、日ごろは何をしている部署なのか?
国税の組織は、国税庁を頂点に、全国12カ所に国税局(沖縄は沖縄国税事務所)が置かれ、国税局の指揮・監督のもと、512税務署が設置されている。国税庁は、財務省の外局として、内国税の賦課徴収を担当、国税庁の仕事は、税務行政の執行に関する企画・立案等を行い、国税局(沖縄国税事務所を含む)と税務署の事務を指導監督している。国税局は、管轄区域内の税務署の賦課徴収事務について指導監督を行うとともに、自らは大規模企業や富裕層等の賦課徴収を行う。そして税務署だが、対象は中小企業や一般納税者。国税の賦課徴収を行う第一線の執行機関だ。
税務署には、次のような課や部門がある。
(1)総務課
役所における総務課は、出世コースの重要ポスト。署長をはじめとした幹部と直接仕事ができるほか、署のお金の流れや事務管理全般を行っているためだ。
総務課には、総務係が置かれ、署内の総合調整や庶務、広報事務を行っている。また、管理運営・徴収部門が設置されていない小規模の場合は、管理運営事務及び徴収事務も行う。中規模以上の税務署の総務課には、総務係の他、署の会計係が置かれている。
(2) 管理運営・徴収部門
滞納している納税者などを指導して、税金を納めてもらう部署が徴収部門。徴収部門だけを設置できない税務署が設けるのが管理運営・徴収部門で、管理事務運営及び徴収事務を併せて行う。
(3) 管理運営部門
納税証明書の発行、申告書・申請書等の収受、申告・納税等に関する基本情報の処理、租税債権の管理、国税に関する還付金等の還付、相続税の延納、物納の許可等といった管理運営事務を行う。
(4) 徴収部門
納付の相談や滞納となった国税の滞納処分等の徴収事務を行う。なお、一定額以上の大口滞納については、国税局の徴収部がその処理に当る。
(5) 調査部門
小規模税務署に置かれ、個人課税部門及び法人課税部門の事務を併せて行う。
(6)個人課税部門
主に所得税等事務と資料事務を行う。所得税および個人事業者の資産の譲渡等に係る消費税に関する事務を所掌する所得税担当が、営業、農業、その他事業による所得、配当による所得、不動産貸付による所得などのある個人を対象とする申告相談や調査・指導を担当する。資料事務を所掌する資料担当は、所得計算の基となる収入、支出等に関する資料(給与等の支払調書、各種の取引資料、不動産の登記資料等)を収集し、調査等に際し有効に活用できるよう整理する。また、資産課税部門が設置されていない税務署は、資産税担当が置かれており、相続税、贈与税等及び所得税のうち譲渡所得と山林所得の申告相談や調査・指導を行う。
(7)資産課税部門
相続税および贈与税等の申告相談、調査・指導を行う。また、所得税のうち譲渡所得と山林所得の申告相談や調査等も行う。この他、登録免許税に関する事務もこの部門で行う。
(8)法人課税部門
法人課税部門は、法人税・法人の資産の譲渡に係る消費税、源泉所得税および印紙税等の事務を行う。法人関係事務を所掌する法人税等担当では、法人税・法人の資産の譲渡に係る消費税および間接諸税の申告相談や調査・指導を行う。
税務署では原則、資本金1億円未満の法人調査を行い、その他の法人は、国税局の調査査察部(東京、大阪及び名古屋局は調査部)が調査する。
源泉所得税担当は、源泉徴収義務者の納付状況を把握し、納付のないものは納税告知を行うほか、源泉徴収義務者に対する調査等の事務を行う。