税務署から突然「お尋ね」が来ることがある。お尋ねは文書や電話でくるが、では、どんなときに来るのか。基本的には、株の売却、相続、不動産の売買など、大きなお金が動いたときなどに来る。このお尋ねだが、「お尋ね」なのだから無視しているとどうなるのか。

税務署が「お尋ね」によって知りたい情報は、資金の流れなどを具体的に把握したい場合などだ。たとえば、賃貸用不動産を購入したときなど、支払代金の調達方法などを確認する。借入だけでなく自己資金も出している場合は、過去の所得に比べて、手持ちの資金が多すぎないか、共有で不動産を購入しているなら、その共有持分と資金を出している割合に相違がないかなどをチェックする。
では、こうした税務署のお尋ねには、きちんと応えなければいけないものなのか、疑問に思っている納税者も少なくないのではないか。
税務署に提出する書類は、法律上の提出義務がある「法定文書」と、そうでない「法定外文書」に大きく分かれる。法定外文書は法律上の提出義務がないため、あくまで「お願いベース」だ。普段、提出して当り前と思っている書類が、実はこの法定外文書なら、無理に回答する必要もないわけだ。
前述した不動産購入に関する「お尋ね」に関しては、基本的には法定外文書だ。たとえば、「お尋ね」では、売主との関係や売買契約書の有無、支払金額の調達方法など、いかにも税務署が欲しそうな情報ばかり回答を求めてくる。
また、土地建物を売却した際には「譲渡内容についてのお尋ね」があり、分離課税の申告書に添付して提出することになるが、こちらも実は提出義務のない任意の資料なのだ。
法定外文書、任意の文書ならば、法律的な決めごとではないため「無視しても問題ない」わけだが、無回答だと後々面倒なことになる。
まず、税務署から督促のハガキが送られ、これを放っておくと、税務署から電話がかかってくる。電話を無視する人も少ないと思うが、留守番電話で無視続けると、税務調査の対象になる可能性が高くなる。なぜなら、税務署からすれば、そこまで無視するのは何か隠しているのではないかと判断するからだ。
逆に細かく応えたために、税務調査となり痛くもない腹を探られるケースもないわけでもない。