度重なる総務省の返礼品の改善要請
その後も寄附額の増加に伴い返礼品合戦は過熱。返礼品問題はとうとう国会の委員会でも俎上に上がり、また地方交付税を受けない東京都特別区などの地方団体から住民税の減少に早く歯止めをかけるように要望が出された。このため、総務省は平成29年以降も断続的に返礼品の是正に向けた要請等行っていく。
時系列的にみると、以下のようになる(総務省資料)。




ふるさと納税に係る指定制度の導入
そして、今年3月27日にふるさと納税制度の見直しが盛り込まれた「地方税法等の一部を改正する法律」が成立した。
法律では、総務大臣が定めた「募集適正実施基準」、「返礼割合3割以下基準」、「地場産品基準」の各種基準に適合している地方団体に対して、総務大臣がふるさと納税の対象となる地方団体として指定する「ふるさと納税に係る指定制度」が導入され、返礼品について規制を掛ける“ふるさと納税制度の法制化”が実現した。
各種基準の内容をみると、「募集適正実施基準」では、募集の方法として、
1) 特定の者に対してお礼を渡して寄附者を紹介させる
2) 返礼品等を強調した宣伝広告
3) 適切な寄附先の選択を阻害するような表現を用いた情報提供
4) 区域内に住民に対する返礼品等の提供
を禁じている。
また、募集に要した費用の額の合計額が寄附の50%以下であること、制度の趣旨に反する方法により他の地方団体に多大な影響を及ぼすような上記1)~4)の方法での募集を行い、他の地方団体と比べて著しく多額の寄附を集めないこと。また、「地場産品基準」では、区域内において生産されたもの、原料の主要な部分が生産されたもの、製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行っているものまたは提供される役務、キャラクターグッズやオリジナルグッズなどに限定されているが、地場産品等が少ない地方団体等への配慮として、市区町村や都道府県が近隣、区域内の市区町村と共同、連携して市区町村の区域内で生産・製造等をしたものを共通の返礼品等として提供することも認められている。
ふるさと納税に係る指定制度への手続は、ふるさと納税の募集の適正な実施に関する事項を記載した申出書等を総務大臣へ毎年7月1日から同月31日までに提出し、総務大臣が内容を確認。指定を受けると、その年10月1日から翌年9 月30日まで1年間(制度初年度は今年6月から来年9月末までの1年4カ月)ふるさと納税の対象自治体とされる。
総務省では4月1日、指定制度の申出を前に地方団体に制度を理解してもらうため、成立した法律や指定制度の運用についての説明及びQ&Aを地方団体宛に事務連絡等で周知を行った。またQ&Aでは、上記の適正募集や返礼品割合、地場産品の基準も詳細に説明している。