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「ふるさと納税返礼品3割以下」 総務省通知に自治体の対応に温度差

総務省は、4月1日付で過熱するふるさと納税の返礼品競争を抑制するため、総務大臣名で寄附額に対する返礼品の価格割合を「3割以下」とするなどを具体的に示したガイドラインとも言える通知を全国の都道府県知事宛てに出した。これを受けて、早々に通知に従い見直す自治体や、独自の方針を打ち出し継続することを表明する自治体もあり、総務省、自治体とも対応に苦慮している。

返礼品が寄附対価の提供と誤解

地方創生の一環として平成21年に創設された「ふるさと納税制度」。自分の好きな都道府県・市区町村(自治体)に寄附(ふるさと納税)した場合、寄附額のうち2千円を超える部分について、一定の上限まで原則として所得税・個人住民税の控除が受けられる同制度では各自治体が寄附のお礼として送る返礼品が話題となり、同制度の適用者は右肩上がりで増え続け、平成27年の納税額は1470億円、28年度課税における控除対象額は998億5千万円とそれぞれ前年に比べて約4.3倍と約5.4倍に増加し、適用者数も100万人を超える129万5千人に達した。

しかし、返礼品の中に、1)高額なもの、2)換金性の高いもの、3)地元物産等とは関係のないものなどが含まれていることが取りざたされたため、総務省は一昨年から

①寄附金が経済的利益の無償の供与であることを踏まえ、返礼品(特産物)の送付が対価の提供との誤解を招きかねないような返礼品の価格・価格割合などの表示により寄附の募集をする行為を行わないこと
②換金性の高いプリペイドカードや高額又は寄附額に対し返礼割合の高い返戻金の送付を行わないこと

などを要請する通知(技術的な助言)を自治体に行っていた。

しかし、過熱する返礼品合戦は沈静化せず、さらにふるさと納税を“する住民”に比べて“してくれる住民”の数が少ない自治体では、住民税が減少して住民サービスにも影響が出始めていることから、今年の通常国会でもこのことについての質問が行われる状況となり、高市早苗総務大臣は3月の記者会見の席で「ふるさと納税制度の意義をしっかりと踏まえて、まずは、自治体が自らの御判断と責任の下で、良識ある対応を行っていくことが重要だ」「ふるさと納税が寄せられても、地域の施策に充てる財源が実質的に減ってしまう」とコメント。自治体へ行き過ぎた返礼品の自粛をさらに求めるため、自治体から実情や意見を聞くとともに有識者や自治体の実務者などの意見も参考にしながら、どのように改善できるのかを検討の検討が省内で進めていた。

予想より早い総務省の対応

ふるさと納税の返礼品については法律事項ではなく、あくまで自治体が感謝の意を表すためのものであることから、総務省がどこまで返礼品の改善に踏み込めるかとともに、その公表が何時になるのか注目されていたが、意外にも4月1日付で返礼品のガイドラインともいえる新たな通知「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」(総税市第28号)が出された。これは、返礼品問題が国会で想定以上に取り上げられたこと多かったことは勿論のこと、東京都特別区など地方交付税を受けない自治体から住民税の減少に早く歯止めをかけるように要望が出されていたことも影響している。

返礼割合「3割以下」に

今回出された通知は、同省の自治税務局市町村税課が、ふるさと納税の評価や今後の在り方、返礼品に対する考え方や返礼品競争についての問題と対応について、1)大学教授を中心とした有識者、2)全国10市(地方団体)の実務者、3)全国知事会・全国市長会・全国町村会に対してアンケート調査を行い、これを踏まえて作成している。

通知では、「返礼品の価格や価格の割合(寄附額の何%相当)といった返礼品の送付が対価の提供との誤解を招きかねないような表示の自粛」、「返礼品を受け取った納税者には一時所得が掛かる場合があることの周知」など、これまでと同様の事柄に加えて、要請レベルであったふるさと納税の趣旨に反する返礼品及び自治体の住民からの寄附への返礼品の送付を“中止”するよう明記された。ふるさと納税の趣旨に反する具体的な返礼品としては、

①プリペイドカード・商品券等の金銭類似性の高いもの
②電子機器・貴金属・宝飾品・カメラ等の資産性の高いもの
③価格が高額なもの
④寄附額に対する返礼品の価格の割合(返礼割合)の高いもの

が該当するとし、これらについては「換金性」・「地域への経済効果等」の如何にかかわらずふさわしくないとした。また、寄附額に対する返礼品の価格の割合(返礼割合)に関しては、「社会通念に照らし良識の範囲内のものとし、少なくとも返礼品割合が3割を超える地方自治体は、速やかに3割以下とすること」を求めた。

もう一つの通知の存在

通知が「返礼割合は3割以下」、「電子機器等はふさわしくない」など踏み込んだ内容となったことから、「とうとう総務省が介入した」と見た向きもあるようだが、実はそうではない。というのも、同日付でもう1通、都道府県知事に対する通知の補足説明的内容が明記された都道府県総務部長等宛の通知「ふるさと納税に係る返礼品の送付等に関する留意事項について」(総税市第29号)が行われているからだ。内容を見ると、通知で最もインパクトのあった「返礼品割合を速やかに3割以下とすること」については、自治体間の返礼品競争の過熱が指摘される中心となっている、とくに返礼割合の高い自治体に対して速やかな見直しを求めるために行ったものとした上で、「返礼割合の妥当な水準を3割とする趣旨ではない」と説明している。これには、ふるさと納税の趣旨を踏まえて謝礼状のみ送って謝意を表してきた自治体もあることから、実質3割という数字にこだわる必要はなく、返礼品の調達コストを考えて良識ある対応を促すための通知であることを示したもののようだ。

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