国税庁が7月1日に発表した2019年分の路線価(1月1日時点)は、全国平均で前年を1.3%上回り、18年の0.7%上昇から大きく拡大。統計が残る1992年以降で初めて4年連続で上昇した。47都道府県のうち、前年比で上昇したのは19都道府県、下落したのは27県だった。上昇率が高い地域とそうでない地域の差は依然としてあるものの、地方都市も回復傾向にある。
相続税や贈与税の算定基準となる2019年分の路線価(2019年1月1日時点)が国税庁から発表された。
路線価は、道路(路線)に面する宅地 1㎡あたりの土地の価格のこと。国税庁が算出し、その年の相続税や贈与税を計算する際の目安となる。土地取引の指標となる国土交通省の公示地価の約80%評価となっており、立地条件がよい角地は側方路線影響加算率を乗ずることで評価額を高く、間口が狭ければ間口狭小補正率を乗じて評価を低くするなどの調整がなされる。
今回発表された全国約33万1千地点(標準宅地)の対前年の変動率は、全国平均で前年度比1.3%上昇し、18年の0.7%上昇から伸び率が拡大した。前年度比の4年連続となる。訪日外国人観光客の増加によるインバウンド需要や、市街地の再開発計画がある地域が全体を押し上げた。
首都圏の上昇は東京都(上昇率4.9%)、千葉県(同1.0%)、埼玉県(同1.0%)、神奈川県(同0.9%)がいずれも6年連続。愛知県は7年連続で上昇した。最も上昇率が高かったのは沖縄県で8.3%。好調な観光需要や人口の増加で那覇市の地価が高騰し、割安感の出た周辺の浦添市や宜野湾市などでも上昇傾向だ。
沖縄県に次いで上昇率が高かったのが東京都で、宮城県(同4.4%)、福岡県(同3.6%)、京都府となっている。
一方で、26県が前年に続いて下落したが、うち22県で下落幅は縮小。上昇から下落に転じたのは滋賀県だけだった。
都道府県庁所在地の最高路線価をみると、上昇は33都市と前年の27都市から拡大。下落は鳥取市のみで、横ばいは13都市。
路線価が一番高かったのは、路線価トップの常連である東京都中央区の銀座中央通りの「鳩居堂」前で、1平方メートル当たりで4560万円。前年比2.9%アップで、バブル期を超えた前年に続き、過去最高を更新している。ただ、18年の9.9%上昇からすると伸び率に高止まり感がでている。
<都道府県庁所在地都市の最高路線価ベスト10>
*1平方メートルあたり、単位万円、カッコ内は前年比上昇率
1:東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り 4560( 2.9%)
2:大阪市北区角田町 御堂筋 1600( 27.4%)
3:横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り 1160(13.3%)
4:名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り 1104(10.4%)
5:福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り 787(12.4%)
6:京都府下条区四条通寺東入2丁目御旅町四条通 570(20.0%)
7:神戸市中央区三宮町1丁目三宮センター 490(25.0%)
8:札幌中央区北5条西3丁目札幌停車場線通り 488(15.1%)
9:さいたま市大宮区桜木町2丁目大宮駅西口駅前ロータリー 370(12.1%)
10:広島市中区胡町相生通り 305(8.9%)
土地評価の指標について
さて、国内の土地評価の指標には、路線価のほかに公示地価、基準地価などがある。
毎年3月中旬に国土交通省が発表するのが「公示地価」。公示価格は、毎年1月1日時点の土地評価で、公共事業用地や一般の土地取引などの取得価格の参考とされる。
「路線価」は、7月1日に国税庁が発表する。1月1日時点の評価になるが、計測地点が多いため、集計に時間がかかり7月になる。相続税や贈与税などの算定基準となる指標だ。
そして9月中旬に地方自治体が発表するのが「基準地価」。公示地価とほぼ同じような意味合いで、基準日が7月1日と半年ずれる。さらに公示地価には含まれていない林地なども含む。
このほか、3年に1度、都や市町村が発表するのが「固定資産税評価額」。マンションでも戸建てでも、持家ならば固定資産税を納めるための指標だ。