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巨人軍選手の賭博事件 儲けが有れば税金問題に

3月25日からプロ野球が開幕した。今年第一四半期の球界の話題といえば、巨人軍の賭博問題をはじめ、「声だし」による金銭授受と、野球とは関係のないところに関心が集まった。賭博で金銭のやり取りがあれば、課税問題も浮上してくる。勿論、賭博の儲けを申告する人もいないだろうが、こうしたときの税金関係はどうなるのであろうか。

賭博でもお金が動けば税金が発生

球界の賭博事件といえば、1969年から1971年にかけて相次いで発覚した「黒い霧事件」が有名だ。半世紀もすると、このときの教訓を忘れてしまったかのように読売巨人軍で野球賭博が発覚した。
巨人は東京・大手町の球団事務所で緊急会見を開き、野球賭博に関与していた福田聡志、笠原将生、松本竜也の3選手を契約解除とする方針を決定。また、監督責任を取って原沢敦・読売巨人軍専務取締役兼球団代表が球団側に引責辞任を申し入れ、同日付で受理された。
賭博事件はこれで終息と思われたが、3月に入り高木京介投手も関与していたことが発覚。さらには、阪神やヤクルトの甲子園を舞台とした高校野球クジ問題、西武球団関係者の笠原・B氏とのマージャン同席問題などがここに来てメジロ押しとなった。

賭け事が行われたのであれば、金銭授受があるわけで、実は課税問題も浮上してくる。おそらく、賭博で儲けたお金を申告してもいないだろうが、野球賭博などを主催している主催者と客、それぞれに税金がかかるのだ。違法な所得であっても、人の担税力を増加させる利得はすべて所得になるというのが税金の世界だ。

そこで本来あるべき税金面での処理であるが、所得あるところに課税ありで、基本的には競馬の場合と同じく一時所得が適用されよう。継続的に利益を求めた場合の所得である雑所得とは考えられず、あくまでも賭け事の結果たまたま儲けたものつまり臨時・偶発的なもので対価性のないものである。
特別控除50万円が控除され、その上で他に総合課税の長期譲渡所得があれば合算(マイナスの場合は通算)され二分の一にされる。一時所得(他に総合課税の短期譲渡所得±で加味の上)は赤字のときは0なのでマイナス分を他の所得と損益通算できない。

ただしプロ野球選手ではあまり考えられないが、本業である事業所得或いは不動産所得、譲渡所得などにマイナスがある場合は、一時所得がプラスであれば損益通算が可能となる。
今回の野球賭博では、どれだけ金銭授受があったか明らかにされていないが、ある程度儲けがあれば上記のように税金問題が発生する。

コミッショナーは旧大蔵省にメス入れた検事

現在、プロ野球のコミッショナーを務める熊崎勝彦氏は、検事出身(最高検察庁公安部長で退官)。実は旧大蔵省関係者なら忘れたくとも決して忘れられない、1998年の大蔵省接待汚職事件、いわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」を東京地検特捜部長(1996年12月~1998年6月)として指揮した人物なのだ。

この事件は、歌舞伎町のローラン(楼蘭)を舞台に、大手銀行の対大蔵省折衝担当者(MOF担)が、旧大蔵省・日銀関係者を過剰接待していたことでマスコミを大いに沸かせた。特捜部は第一勧業銀行利益供与事件における大蔵省の検査の甘さが総会屋への焦げ付き融資拡大の発端になったとして、大手銀行などから業務日誌や接待伝票を把握したとされている。この結果、大蔵省の官僚ら合計7名が逮捕、起訴され、幹部に対しても停職・減給などの厳しい処分に。さらに、当時の大蔵大臣と日銀総裁が引責辞任する事態にも発展した。これをきっかけに、大蔵省は急速に弱体化していくことになる。

このコミッショナーであれば、金銭授受に関して徹底した聴き取りを行うのではなかろうか。査察部門を通じて課税当局とは旧知の仲であろうし、正すべきものは正し、かつ本来あるべき税金面での取扱いをもバランスよく求めていくのではないかと考えられる。球界の膿を出し、再生への道を示してくれることに期待したい。

著者: 松本大路

税金ジャーナリスト/元税務調査官

税務調査官として約13年、都内の税務署などで法人税調査などを行う。その後、外資系生命保険会社の営業職員として約10年間、資産家及び法人、会計事務所向けに、役員退職プランや決算対策などをサポート。現在はフリーの税金ジャーナリストとして活動する。

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