今年もやってきました、確定申告!この業界のお祭りみたいなものですね。私は、最近では「確定申告し放題」とか言ったりします。食べ放題、飲み放題のように「~放題」とつけるとテンション上がる気がして…笑。それでは私の「確定申告し放題」についてお話してみたいと思います。 

BrandingEngineer様と弥生様共催の確定申告セミナーに登壇した際の様子

私自身は個人のお客様の数は少ないので、「確定申告」そのものはそれほど多くありません。それでも通常業務に加えての業務になりますし、12月の年末調整から1月の法定調書などで忙(せわ)しなくなり、「税理士って季節労働者だなぁ」なんて思います(笑)。そして、支部の無料相談会の相談員(例年2、3回)や、確定申告セミナーでお話(数回)したり、いくつかのネットチャンネルで確定申告にまつわるお話をしたり…と、それこそ「確定申告し放題」です。ちなみに、非常勤講師をしている大学院での2年生修了直前の論文公聴会、新入生の入学試験&採点、地域の小学校の租税教室など土日も休みがほとんどありません。

所得税の確定申告の大きな特徴は、事業者(納税者)が、会社の経営者に比べて税金について初心者な方が多いことだと思います。毎月の顧問契約をしている方でしたら、法人であれ個人であれ、税金のお話をする機会も多いのですが、年に一度の確定申告のときだけお会いする方々には、まずは何も知らないと思ってゼロからお話しする必要があります。私自身、この業界に入る前は、税務署と都税事務所と区役所の違いもよく分からなかったし、所得税・住民税は「租税公課」という経費かな?と思っていました(※所得税・住民税は経費にならず、事業税・消費税は「租税公課(経費)」です)。「青色申告」と「白色申告」の違いは学んでも、じゃあ事業をしていない人の「確定申告」は何色申告なのか?(事業をしていない方は決算書は作成しないので何色でもありません。)申告書と決算書の違い(事業をしている方は両方出します)、収入・売上と所得の違い(全然違うとは!)、どこまで経費になるのか、領収書は申告のあと捨てていいのか…など、知らない方も多いです。知らなくて当然なのです。ごくたまに、納税者の方も知っているという前提でお話をしている税理士の先生を見ることがありますが、それだと相手の方は混乱してしまうこともあると思います。

先日、定期健診で通ってる歯医者で、歯科業界の方なら当然知っている(らしい)ことを私が質問したところ、その歯科衛生士さんが困ったように苦笑して「え…」と言って、そばにいた別の衛生士さんにちょっと笑ってそのことを話したことがありました。その瞬間は、「すみません知らなくて…」と思って謝ったのですが、今なら、その衛生士さんが「一般の方は知らない(かも)」という感覚を忘れてしまっていたのだなと思います。誰しも、自分のいる業界のことに詳しくなっていくと、初心を忘れてしまいがちです。私は、今でも新鮮な質問を受ける機会が多いので、そのたびにハッとして、ゼロから説明する大切さを思い出します。それでもまだまだ、もっとわかりやすくお話したいな…と反省することもありますが。

税金の計算のことはよく分からない、でも申告はしないといけない、と不安に思っている方々にご説明をして、「これなら自分でもできそうな気がしてきました!」と言って頂いたり、または私が代理で申告書を作成する場合には、出来上がった決算書・申告書をそのままただお渡しするのではなく、売上や利益、前年対比などについてご説明して、よく分かったと言って頂いたりすると、この繁忙期も楽しく思えて、まさに「確定申告し放題」です(笑)。

同業のみなさまにおかれましては、これから忙しくなり多少無理をしたくなる時期になりますが、体調を崩さないように気を付けて「確定申告し放題!」しましょう。それが終わったら、通常業務が溜まっているかもしれませんが、「飲み放題」の打上げでもして(笑)、春以降も頑張りましょう。では、また!

▶YouTube動画はこちら『白色申告と青色申告の違い☆解説!』