令和元年度の確定申告が2月17日からスタートした。今年は新型コロナウイルス感染症に備え、申告期間が1カ月延び、4月16日までという非常事態。ただ、この非常事態で国税庁は思わぬ恩恵が。というのも、人混みを避けて申告したい納税者が、パソコンやスマートフォンによる申告「e-Tax(イータックス)」に積極的に取り組む動きがあるのだ。皮肉にも、この非常事態がe-Taxの利用促進に追い風となっている。

国税庁はこのほど、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、 申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消 費税)の申告期限・納付期限について、令和2年4月 16 日まで延長するとした。これにともない、申告所得税及び個人の消費税の振替納税も延長された。
ところで確定申告シーズンになると、相談者が例年、税務署に殺到する。今年も相談者が訪れているが、「例年よりは少ない感じ」(税務署職員)という。新型コロナウイルスの感染からできるだけ人が集まるところを避ける傾向が強いのだ。そのため、確定申告書を税務署に持参するのではなく、自宅のパソコンから申告するe-Taxの利用者が例年よりかなり増えそうなのだ。
国税庁では、行政事務の効率化などからe-Tax利用を推進しており、事業年度の初めに「達成すべき目標」を定めている。令和元年度の目標数値ついては、所得税及び消費税(個人)の2手続に係るe-Taxの利用状況については「中長期計画を踏まえつつ、マイナンバーカードの交付枚数の現状やこれまでの取組実績等に基づき61%」に設定している。過去の実績は、平成27年度が目標値56%に対して実績52.5%、同28年度は58%%に対して54%、平成29年度は明確な数字は出さず目標値を「増加」とし実績値は55.1%、同30年度は56%の目標数値を設定しており、その結果はまだ公表されていない。
国税庁はe-Taxの普及及び定着に向け、平成31年1月から、個人納税者に係るe-Tax利用の簡便化をはじめ、マートフォン専用画面の導入、e-Taxの受付時間や送信容量の拡大など更なる利便性の向上を図っている。とはいうものの、実際にe-Taxをやってみると、操作性の問題など申告書作成にはハードルの高さを感じる。
年金受給者の多くは、「税務署に行って、説明を聞きながらでなければ確定申告書を作成できない」との声は多い。新型コロナウイルスの感染においても、最も人が集まる場所を避けた方が良いのが高齢者だ。せめて年金だけで生活しているような高齢者に対しては、確定申告をもっと簡便にし、税務署に来署しないでも申告が済むような制度を設けるべきではないだろうか。
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