2020年度の公認会計士試験短答式第Ⅱ回の願書受付が2月27日で締め切られました。今年も多くの受験生が、会計分野の最難関と言われる公認会計士試験に挑みます。監査法人の仕事のハードさが喧伝されてか、試験の難易度が激変したせいか、近年避けられる傾向にあった公認会計士試験。ここ10年のさまざまな数字について見ていきたいと思います。

今年も受験者数は増となる見込み

2019年12月8日に行われた第Ⅰ回試験では、願書提出者数は9,393人、合格者数1,139人となりました。


表1 第Ⅰ回および第Ⅱ回短答式試験の傾向

2016~2020年度の短答式試験の結果を見ると、表1のようになります。

ここ5年を振り返ると、第Ⅱ回受験者数は第Ⅰ回受験者数の1.05倍~1.13倍程度になるので、2020年度の第Ⅱ回受験者数が第Ⅰ回受験者の1.1倍程度と仮定すると10,300人程度の願書提出者数になる見込みです。不確定要素がない限りは全体で2019年度試験よりも受験者数が増える予測となります。

ただし、新型コロナウイルスの影響により今年の短答式試験の受験を避ける受験者がいるかもしれず、非常に予想が立てづらい今年度試験です。

10年間の推移をみると、公認会計士試験という最難関試験の試験としての安定度はここ数年だいぶ改善されてきました。

受験者数(願書提出者数)の推移は図1の通りで、2015年度の10,180人を底に一貫して増加中です。


図1 受験者数推移

 2010年度ごろの受験者数の多さは、公認会計士の人数を増やすという政策を元に合格者数が跳ね上がったことを受け、受験者が殺到したことによるもの。ここ10年間で最も受験者数が多い2010年度には、その数は実に25,648人にのぼりました。2019年度の12,532人は2010年度の半分以下の数字ではありますが、2000年度ごろの基準までは戻ってきています。

合格者数が乱高下し試験としての安定度をすっかりと欠き、一時期は公認会計士の資格そのものの魅力が薄まっているという危機感が共有されていましたが、徐々に改善されてきているようです。

ここ数年の合格率は減少中

2011年度には6.5%というここ10年間での最低を記録した合格率ですが、図1にあった通りの受験者数の減少を受け、徐々に回復してきました(図2)。しかし、2017年度をピークに緩やかな減少となっています。


図2 合格者数および合格率推移

これが誤差の範囲なのかこれ以上年間の合格者数を増やすつもりがないのか、受験者数が増えるであろう今年でその傾向が分かってきそうです。

合格率については低下に転じていますが、受験者数の増加から、最終的な合格者数はここ5年間一貫して増加しています。

2019年度の合格者数は1,337で、2,041人だった2010年度と比べると6割ほどまで下がってしまっていますが、2015年度の1,051人という底から見れば上昇しています。ただし、2018年度は1,305人、2019年度は1,337人とその増加幅は非常に小さいものとなってきています。1,300人程度が年間合格者数の上限とみるべきかもしれません。

なお、2018年度に短答式試験合格者数が増えすぎたためか2019年度には短答式合格者数が減っていますが、最終的な合格者数は前年度比増となっています。