2、くみ取り便所まで確認

くみ取り便所のくみ取りの有無から居住の実態を調査した事例があります(国税不服審判所、平成30年3月5日)。

裁決書によると、問題になった住宅は、納税者Aさんが平成22年8月まで両親から相続した住宅と敷地3筆(以下=本件住宅)でした。家屋は父親が建てたものですが、その後、母親が建てた別の住宅(乙)に転居しましたが、直後にAさん本人が住宅(甲)を新築し転居していました。Aさんが本件住宅に舞い戻ったのは、母から相続を受けた平成22年9月ごろで、母を介護していた住宅(乙)や住宅(甲)とも行き来していました。平成25年になって不動産業者に仲介依頼し、Aさんはその4月末までに本件住宅の家屋を取り壊しで売却し、3,000万円特別控除の適用をして確定申告したと言います。しかし、税務署側がAさんは本件住宅に居住していなかったとして、3,000万円特別控除の適用を否認したことから争いとなりました。

国税不服審判所は3,000万円特別控除に適用対象となる「居住の用に供している家屋」について、「本件特例の適用を受けるために、短期間臨時にあるいは仮住まいとして起居していたというのみでは足りず、真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の拠点として利用している家屋をいうものと解される」とのこれまでの解釈を確認。

その上で、居住の実態を確認するため税務署が調べた事項を次のように整理しました。

  1. 電気については平成22年11月9日に供給が開始されているものの、本件不動産売買契約の締結までの聞の使用実績はまったくない
  2. 水道については給水契約も締結されておらず、いずれも本件不動産売買契約の締結から本件家屋を取り壊すまで2カ月間の一時的な使用が認められるだけであった
  3. 入浴や洗濯は、甲家屋又は乙家屋で行っている

さらに、「本件家屋にはくみ取式の便所があったと認められるが、本件家屋を取り壊すとき以外にくみ取りが行われた事実はない」と、くみ取り便所のくみ取りまで調べていました。こうしたことから、審判所は「本件家屋は、請求人が真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の拠点として利用していたものとは認められない」としてAさんの言い分を退けています。

3、ペットの移動、クレジットカードの住所もチェック

接道義務を充たしていなかった貸家において、隣地の土地の譲渡を受けて接道義務を充たした後、納税者が居住し、すぐに(同年中)売却して、3,000万円控除の適用をうけようと確定申告したところ、税務署は「一時的な利用を目的とする家屋であり、生活の拠点ではない」として、3,000万円控除の適用を否認し、更正処分等を行ったことから、納税者側がその取り消しを求めて争いとなりました(国税不服審判所、平成30年1月12日)。

納税者はAさんとその母親。住宅の敷地は平成27年4月に隣地の譲渡を受け、5月には賃借人による家屋の原状回復工事を終了。敷地の測量は7月までに行い、8月から「売り物件」として不動産業者の広告に掲載し、9月末までに買い手がつき、10月に引き渡しを行なっています。この間、Aさんは住民票を、元の住まいから8月26日にこの住宅の所在地に移し、10月になって、元の住まいに転居していました。

国税不服審判所は、Aさんの行動について「家屋の賃貸期間中から一貫してその売却に向けた行動をとっている」と認定。また、Aさんの話を総括し、「風呂、トイレ、照明等を使用しておらず、その滞在時間も午前零時頃から午前 6時ごろまでに限られていた」こと、入居したのは「家財道具や固定電話を設置せず、請求人が本件家屋に入居した目的は主に放火や空き巣による被害を防止するため」だったと述べていたことを指摘。

一方で、もともとAさんが生活していた住宅では、①電気、ガス及び水道を従前と同様に使用、②飼育していたペットのは虫類や家財道具を残していること、③郵便、金融機関及び クレジットカードの登録住所を売却した住宅の方に変更しなかったことも指摘しました。こうして国税不服審判所は「一時的に使用していたにすぎず、本件家屋を真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の拠点としていたとはいえない」とし、売却した住宅につき「居住用」ではないと判断しています。

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