寡婦控除が令和2年度税制改正により見直され、「未婚のひとり親」にも適用されることとなった。時代が変わり、女性の社会進出も進み、家族のカタチも多様化する中でのこの改正。なかなか上出来ではないか。

令和2年度税制改正では、くすぶっていた「未婚のひとり親」問題はようやく解決。

所得500万円以下を条件に、35万円の所得控除が受けられることになった。

同時に、従来の寡婦(寡夫)控除も見直され、適用要件に年間合計所得金額500万円以下という条件が加わり、「特別の寡婦」は廃止されることになった。

また、従来は異なっていた「寡婦(女性)」と「寡夫(男性)」の適用条件が見直され、性別による差もなくなる。

この改正、なかなか上出来ではないか。

寡婦控除はそもそも、戦争で夫を亡くした妻を救済する目的で導入されたもの。

このため「未婚のひとり親」への適用はなかった。

しかし時代が変わり、女性の社会進出が進み、家族のカタチも多様化する中で、旧態依然とした寡婦控除の制度はちょっと無理が出てきた感がある。

特に「結婚」を前提としている点だ。

結婚というカタチをとらずに生活をともにし、子供を育てる家族が増えている。

結婚せずに一人で子供を産み、育てるワーキングマザーも増えている。

養子を受け入れ一人で育てている男性だっている。

今や家族のカタチは実にさまざま。

そんな時代に「結婚」を前提とした法律は、それ自体が骨董品だ。

自民党の一部の議員が「伝統的な家族観が崩れる」とかワケのわからないことを言って最後まで反対していたらしいが、結果として時代に促されるように今回の決着となった。

自民党の税調会長の甘利議員いわく、「子供の立場で見た場合、同じ一人親なのに結婚経験の有無で税制が異なるのはおかしい」。

私は決して自民党びいきではないけれど、本件については甘利さんの名言に一票投じたい。

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