テレワークにより「機能体組織」思考が増える
さて、現代の企業は当然に機能体組織です。
しかし、物事はそう簡単ではなく(特に日本企業は)、実際にはコンパをやったり、運動会をやったり、「居心地をよくする」工夫を会社が行うことでつなぎとめる、という機能体組織に「共同体組織」的な色彩を盛り込むことで運営しているというのが実態ですね。
(最近はかなり会社と個人をドライに切り離して考える方も多いようですが、一般には欧米人に比べて「切り替え」が苦手だという傾向にあると思います)
大企業でも倒産することがあります、或いは倒産しかかることはあります。例えば、古い話ですが、1990年代の倒産した山一證券や倒産しかかった日産自動車(その後Ⅴ字回復はしましたが)。こういった例はおそらく「居心地の良さ」だけならよかったのですが、おそらくビジネスのやり方や進め方に関する見通しが甘くなったこと、つまりは組織が緩んで、結果的に「共同体的要素」に近い組織になっていたことが原因であろうと思われます。
また、立ち上げたばかりのベンチャー企業は、オーナー社長を中心に共同体組織的要素を多く取り入れて運営していることが多いようですが成長するにつれて、機能体組織に変わっていかなければならないと認識し始めて矛盾を抱え、矛盾の克服が課題となるというのが通常の成長シナリオです。(ある意味で組織は常に矛盾を抱えます)
結論付けとしては、これがテレワークによりある程度、今後の組織は、より一層、機能体組織の色彩が強くなる(意図的にというわけではなく、それで十分にやっていけることに気づき、雇用側も雇用される側も考え方がそうなっていく)のではないかと思っています。
もちろん、それは企業の本来の在り方に近づく、ということにすぎないとも言えますが。
テレワークで日本の「メンバーシップ型」雇用は変わるか?
もう一つ「日本型雇用」の論点も避けて通れませんね。給与は何(誰)に対して支払われるか?2つ回答があり、人に対して支払われる、或いは職務(仕事)に対して支払われる。前者は人物重視、後者は職務遂行力重視。
日本は、年功序列・終身雇用・労働組合という、いわゆる「三種の神器」という存在からも分かるように、人に対して給与を払ってきました。つまり前者の人物重視です。議論をわかりやすくするために日本と欧米の違いを表にしてみます。日本は左側のメンバーシップ型(人に対して給与を払う)、欧米は右側のジョブ型(職務に対して給与を払う)です。

参考:週刊東洋経済(2015.5.30)
さて、「テレワーク」に話を戻します。このテレワーク導入企業が最も不安なのが「本当に仕事をしているのか?」ということだそうです。もちろんこれには 「出社してパソコンの前に座っていても何もしていない人もいます。信用した方が楽ですよ」という切り返しで背中を押せばいいわけですが・・・・
テレワーク導入の大前提として、業務や成果の明確化、可視化、数値化(これらはなかなか中小企業では難しい課題)が整備されていなければなりません。
日本企業の場合は「人」に対して給与を支払ってきましたので、どうしても業務の与え方が「あいまい」だといわれています。
今回のコロナ禍では、日本企業が「業務」ということをより痛切に意識し始めるよいきっかけになると思います。そのための準備を企業側も雇用される側も着々と準備を始めているかのようにも思えます。時代の流れは誰も止められません。
会社との関係が「業務」或いは「職務」中心的なものになり、「共同体的組織」的な色彩が薄くなり、ドライな関係になっていくであろう、というのが今回の結論付けの一つです。



