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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:海外取引と源泉徴収⑥ 出国後に支給される給与・賞与の取り扱い

社員が海外に出国し、非居住者となった後に給与や賞与が支払われることがあります。この場合の源泉徴収はどのように行えばよいのでしょうか。ここでのポイントは給与の計算期間と出国日の関係です。

≪ケース1≫出国後に支給される給与①

当社は、前月16日から当月15日までの給与を当月25日に支払うこととしています。海外支店で勤務するため9月10日に出国した社員Xに対して、9月25日に給与を支給する予定です。日本での課税はどうなりますか。
 

給与所得者(役員を除く)が1年以上の予定で海外勤務となった場合には、出国日までの期間に対応する給与は国内源泉所得となり、出国後の期間に対応する給与は国外源泉所得となります。

この場合、出国して非居住者となった後に支払いを受ける国内源泉所得は、原則として20.42%の源泉徴収がされることになります。

よって、原則的には日数按分を行って国内源泉所得の部分を計算して、この部分に対して源泉徴収することになります。

しかし、これには例外規定があり、次の条件を満たす場合には、その総額を国内源泉所得に該当しないものとしてよいとされています(所基通212-5)。

 

【例外の要件】

  1. 給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となったこと
  2. 給与等の計算期間が1月以下であること
  3. 給与等の全額が国内勤務に対応するものでないこと

実務上は、この例外規定に従って処理することとなります。

このケースでは、社員Xは給与の計算期間の途中で出国しており、上記例外の要件を満たしているため、9月25日に支給する給与は国内源泉所得に該当せず、源泉徴収の必要はありません。

≪ケース2≫出国後に支給される給与②

≪ケース1≫において、社員Xの出国日が平成29年9月20日だった場合はどうなるでしょうか。

このケースでは、社員Xは給与の計算期間後に出国しており、給与の全額が国内勤務に対応しているため、9月25日に支給する給与は全額国内源泉所得に該当し、20.42%で源泉徴収する必要があります。

≪ケース3≫出国後に支給される賞与

当社の社員Yは3年間の予定で海外支店へ派遣されることとなり、10月20日に出国しました。12月10日に賞与を支給することとなっていますが、この賞与について日本での課税はどうなりますか。

 

支給対象期間:6月1日から11月30日
支給日:12月10日
支給額:80万円

賞与については、計算期間が1カ月を超えるため例外規定は使えません。

よって、原則通り按分計算し、日本国内で勤務した期間に対応する金額が国内源泉所得として源泉徴収の対象となります。

国内源泉所得の金額は次の算式で計算されます。

12月10日に支給する賞与の計算期間は6月1日から11月30日までの183日間で、Y氏はそのうち6月1日から10月20日までの142日間を国内で勤務したことから、国内源泉所得の金額及び源泉徴収税額は次の通りとなります。

年の途中で海外勤務をすることとなった社員に対して賞与を支給する場合に、賞与を支払う時点で「非居住者」に該当するため、源泉徴収をする必要がないものと誤認して、源泉徴収をしていなかったケースが見られます。これは、税務調査でよく指摘される点です。


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著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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