コロナ禍の影響で売り上げが減少した企業が、期中で役員報酬を減額したら、損金処理できる役員報酬の「定期同額」として問題になるのかどうかについては、「定期同額役員給与  コロナの影響で期中に一度下げたら元に戻すのはNG」(https://kaikeizine.jp/article/16145/)で紹介した。ここにきて、読者から質問をいただいたのが、「更に経営の見通しが立たなくなったため、社長の給与をもう一度減額したらどうなるのか」という問題だ。

社長などの役員報酬は、「今期は売上が上がりそうだから、節税も含めて決算前に上げておこう」とはできない。ならば「決算賞与でボーンと出そう」ということも、損金処理するならNGだ。

社員と違い、役員報酬を会社の経費として損金処理するためには「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」の3つの中から選択しなければならない。ただ、原則は「定期同額役員給与」での支払となっており、定期同額給与は、事業年度開始から3カ月以内に役員報酬の金額を決定する必要がある。株式会社なら、「株主総会議事録」または「取締役会議事録」を作成・保管した後、期中は毎月同じ額の給与を「定期同額給与」として支給し続ける。

コロナ禍の影響で、この「定期同額給与」が問題になっていることは、「定期同額役員給与  コロナの影響で期中に一度下げたら元に戻すのはNG」でも紹介したが、読者から「減額した後、更に減額が必要になった場合はどうなのか」との質問があった。

定期同額の減額については、「法人税法基本通達9-2-13」に、経営の状況の著しい悪化に類する理由として、定期同額給与の範囲等に規定する「『経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由』とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する」とある。